大島紬

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大島紬とは、鹿児島県奄美大島が発祥の絹織物です。奄美大島と鹿児島市が主産地で、宮崎県の都城でも少量が作られています。1995年に「本場大島紬」の名称で、経済作業大臣が指定する伝統的工芸品に指定されました。結城紬と並ぶ高級紬の代表です。
大島紬の最大の特徴は、精緻な絣模様と、軽くて薄く滑らかな生地。「紬」と呼ばれますが、現在は紬糸ではなく練糸(生糸)を使っています。
模様のもとになる絣糸は、「締機(しめばた)」と呼ぶ機で織って作ります。締機を用いて、絹糸に防染用の木綿糸を強く打ち込むことで、精密な絣が作られます。高機を使い、細かな模様を針で調整しながら織り上げます。
大島紬といえば、黒褐色の「泥大島」が有名です。奄美大島でテーチ木と呼ぶ植物(車輪梅)で染めて、島内の鉄分を多く含む泥田に浸しては揉みこむ媒染を行い、それを何度も繰り返します。
伝統的な泥大島の他、藍染の藍大島、藍染の絣に地を泥染した泥藍大島、白地の白大島、テーチ木以外で染めた草木染大島、化学染料で染めた色大島があります。
奄美大島、鹿児島市、都城と、3つの大島紬産地で作り方は同じですが、産地ごとの特徴はあります。奄美大島産(奄美大島紬)は泥染で経緯絣が中心。鹿児島産は色大島や白大島が多く生産が多量です。都城産は白大島や草木染中心で、現在は業者が1社のため、生産は少量です。反物に張られた証紙で産地がわかります。奄美産は「地球印」、鹿児島産は「旗印」、都城産は「鶴印」の証紙が貼られています。
経緯絣を作るとき、経糸、緯糸それぞれに含まれる、絣糸の本数を示す単位が「マルキ」です。マルキ数は5、7、9、12に分類され、一般的に出回るのは7マルキです。マルキ数が多くまるほど絣糸の本数が多くなり、細部まで繊細に表現できますが、絣合わせが難しくなるので高級品になります。
大島紬の歴史は古く、奄美大島では昔から養蚕と織物が行われてきました。奈良の東大寺や正倉院の献物帳に「南島から褐色紬が献上された」との記録があり、これはテーチ木染と泥染の源であると推測されています。江戸時代は、奄美大島は薩摩藩の支配下で、紬は黒糖とともに上納品として作られていました。
明治初期以後に商品生産が本格化。泥染の絣が人気となり、手紬糸から、昭和初期には絹練糸に切り替わりました。また、手括りだった絣を、明治後期に締機を使って絣糸を作る方法が開発され、精緻な絣模様ができるようになりました。多様な模様が生まれ、大流行した「龍郷柄」、竹網のザルを模様化した「秋名バラ」、男物の代表柄「西郷柄」などの伝統柄が有名です。
大島紬は、一般的にはおしゃれ用として楽しむ着物です。男性の着物にも最適です。滑りが良く、裾裁きが良いため活動しやすいのも利点です。華やかな帯を合わせたり、洋服風にシックに装うなど自由に楽しめます。
主な着用場所には、食事、格式張らないパーティ、観劇や美術鑑賞、買い物、旅行、気軽な外出などがおすすめです。
大島紬は平織で、撚りの少ない甘撚りの糸を使っているため、水に濡れても縮みにくいのも特徴。着物を着慣れた方には「雨が心配なときには大島紬」と言う方も。コートや羽織に仕立てるのも最適です。撥水加工をしておくとより安心です。
京都きもの市場では、幅広いラインナップで大島紬を取り扱っております。
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