【 仕入れ担当 田渕より 】
沖縄の芭蕉布(ばしょうふ)、静岡の葛布(くずふ)と共に…
日本三大古代布のひとつに数えられる織物、科布(しなふ)。
ご存知の通り、後継者不足や材料の調達難から、本当に創作数の限られる”幻の織物”とも呼ばれ、
近い将来その伝統が途絶えてしまう可能性が高い織物の一つと言われております。
今回ご紹介するのは、生成り色のしな糸を藍染で染めて織り上げ、
更にはお太鼓と腹部分に施された「捩り織」市松模様が通の織物好きにはたまらない創作品でございます。
今までに市松模様の捩り織をご紹介したことはございました。
しかし、今回ように細かい六通柄の作品は初めてのご紹介で、
室町の問屋でも流通は非常に限られておりますので、仕入れができる先も一、二件程度。
本当に貴重なお品でございますので、お探しの方も沢山いらっしゃることでしょう。
この機会をお見逃しなきようお願いいたします。
【 お色柄 】
風合いを真似て絹糸を用いた「絹科布(きぬしなふ)」ではございません。
紛れもない本物、手績み科糸織のお品でございます。
山間の村々で織られていた科布。
大麻布や苧麻布の普及によって織り上げ数が少なくなり、
江戸時代に木綿栽培が始まるとより一層生産地が減少、さらに第一次世界大戦後には風前の灯火、
もはや新潟県と山形県の一部にしか残らなくなりました。
その織り上げは、一年がかり。
木を切り、皮をはぎ、水につけ、煮る、洗う、裂く、績む、撚りをかける、織る。
20以上の工程を経て、はじめて布になります。
丹精込めた手仕事で作られますので、大変希少価値の高い織物と言えましょう。
その特徴は、ざっくりとした素朴な手触り、自然な色合い。
大変軽くて通気性に優れ、水に強く、陽射しによる変色の心配もございません。
使い込むほどに木肌の艶がでてまいります。
自生する科の木から素材をとり制作されており、
その強靱さ、耐水性、通気性、織り目の美しさと素朴さ。
人の心の通ったあたたかさは、現代の人々の感性に訴えるものがございます。
山里の暮らしの中で受け継がれてきた伝統と、
根気のいる作業を経て生み出される素朴な風合いの布には、
あふれだすような生命力を感じとっていただけることでしょう。
お着物を愛する皆様に自信を持っておすすめいたします。
どうぞこの機会にお持ち頂けましたら幸いでございます。。
≪科糸織帯の取り扱い≫
科の木の芯皮を糸に紡いで原料にしており、自然の樹木の香りがいたします。
また、織機が明治以前のいざり機なので、織る時に
タテ糸・ヨコ糸ともに水に濡らして織りますので、耳巾が不揃いになります。
このように原始的な織布ですから独特な自然の風合いと色彩になり貴重な商品です。
お召しの際には、乾燥しておりますと硬い風合いになる場合がありますので、
前の日に霧吹きをして掛けておきますと柔らかくなります。
ご使用後も同じように霧吹きして掛けてからシワを延ばして陰干ししてください。
また本藍染の為、摩擦や汗などにより色落ち、色移りする事がございます。
ご了承の上、お買い求め下さい。
【 科布について 】
「シナノキ」や「オオボダイジュ」の
樹皮からつくられる日本最古の織物のひとつ。
葛布・芭蕉布と並ぶ日本三大古代布。
樹皮から採れる靭皮繊維をはぎ、灰汁で煮て薄く裂き、
出来上がった糸を織り上げる。
茶褐色をしていて粗剛で織り目はあらく野趣に富み、
通気性がよく、軽く、水濡れにも強く、使いつづけるほどに
味わいが増す。
現在は新潟県や山形県の一部地域のみで生産されている。
手績み科糸100%
長さ約3.6m(仕立て上がり時)
六通柄
◆最適な着用時期 6月下旬~9月上旬の盛夏
◆店長おすすめ着用年齢 ご年代は問いません
◆着用シーン 行楽、お食事会、ショッピング、女子会、街着など
◆あわせる着物 小紋、織の着物
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