商品番号:1555552
【 仕入れ担当 田渕より 】
沖縄の地に根差す祈りと手業が、ひと筋の光となって織り上げられた…
遥かなる海の青と、伝統のぬくもりに包まれた暮らしの記憶。
それらを糸に託し、時間の澱を美へと昇華させる稀代の織人。
その手から生まれたこの帯には、琉球の風土と魂が確かに息づいています。
本場首里の織物技能保持者、そして国画会会員の祝嶺恭子氏。
首里織といえば真っ先にその名が挙げられます。
更には国指定重要無形文化財「首里の織物」保持者、
所謂人間国宝に認定されております。
認定以前より室町でもその作品は中々お見かけしない
希少なものではありましたが、認定を受けられた後は
更に引く手数多となり、ご紹介の機会がより限られて参ります。
今回懇意にしている問屋さんとご縁あって仕入れることができました。
お手元でご覧いただければ、一層その美しさを実感いただけることでしょう。
どうぞお見逃しないようご覧下さいませ。
【 お色柄 】
程よくハリのある糸密度の高い帯地。
ごく淡い灰桜色を基調として、中紅色の間道に道屯織が全通渡り織りなされました。
重ねるように織り込まれた浮織の光沢が、その存在に陰影と奥行きを与えます。
あたかも織の中に呼吸する光と影、
細やかな織目の一つひとつが、かつての風景と記憶の断片を繋ぎとめるかのよう。
どこか懐かしく、けれど決して古びない。現代に息づく琉球の美学が、気品ある静寂として結晶しています。
この帯を締めるということは、沖縄の地に宿る文化の声にそっと耳を傾けるということ。
華美に走らず、しかし確かに胸を打つ存在感は装いの核となり、
あなたの感性をより深く、より豊かに映し出してくれるでしょう。
染織を愛するすべての方へ、自信をもっておすすめできる、まさに一期一会の逸品でございます。
【 祝嶺恭子(重要無形文化財保持者)について 】
【 生年・認定年 】
1937年 生まれ
2023年(令和5年)重要無形文化財「首里の織物」の保持者に認定。
染織工芸作家(首里織)
沖縄県指定無形文化財「本場首里の織物」技能保持者
国画会正会員
国展会員
沖展会員
民芸運動の提唱者・柳宗悦の甥で、染織作家・柳悦孝に師事。
沖縄の染織を含む幅広い染色技法を学んだ。
終戦後、大城志津子、宮平初子(重要無形文化財保持者)等と
共に、首里の織物を復興、発展。
今日に至るまで首里織物である首里花織や、花倉織、ロートン織、
絣の作品制作を続けている。
また、国内外に保存された琉球の染織品の調査・研究に
取り組むなど織物の研究も重ね、伝統的な首里の織物を
制作する卓越した技だけでなく、ドイツの博物館に
所蔵されている琉球王国時代の染織物の調査も精力的に
行い、その成果を自身の創作へと発展的に展開、後進の
指導・育成にも尽力している点が評価され2023年7月
重要無形文化財「首里の織物」の保持者に認定を受けた
【 経歴 】
1937年 那覇市生まれ
1962年 女子美術大学芸術学部美術学科工芸科卒業
1962年 首里高等学校染織科教諭として勤務
1976年 那覇伝統織物事業協同組合設立
専務理事に就任
1977年 第1回全国伝統的工芸品展 内閣総理大臣賞受賞
沖展会員
1980年 国展(国画会)会員
1986年 県立芸術大学勤務
1987年 沖縄タイムス芸術選賞芸術大賞受賞
1990年 沖縄県立芸術大学美術工芸部デザイン・工芸学科教授に採用
1991年 沖縄県指定無形文化財「本場首里の織物」保持者認定
1992年 文部省在外研究員としてドイツ海外研修
1997年 沖縄染織研究会会長
1998年 首里の織物保存会会長
2002年 沖縄県立芸術大学教授退官 同大学客員教授就任
沖縄民芸協会副会長
2003年 祝嶺染織研究所開設
2004年 第24回伝統文化ポーラ賞受賞
2006年 県立芸大名誉教授
2015年 県功労者表彰
2016年 女子美術大学平成28年度
「100周年記念大村文子基金」大村特別賞受賞。
2021年 瑞宝小綬章受章
2023年 7月21日 指定重要無形文化財「首里の織物」
(各個認定)保持者認定
【 首里織について 】
経済大臣指定伝統的工芸品指定(1983年4月27日指定)
「首里の織物」として沖縄県の重要無形文化財にも
指定を受けている。
※1998年に重要無形文化財に指定されたが、
2022年3月に保持者・宮平初子の死去により
指定が解除、2023年に改めて再指定された
琉球王国の城下町として栄えた首里の地で
織り継がれてきた絣織物と紋織物の総称。
分業せずに全工程を手作業で一貫して生産する
少量多品種の形態を取っている。
首里花織(ハナウイ)・道屯(ロートン)織、
花倉織、ムルドゥッチリ、手縞(てじま)、
煮綛(ニーガシ)芭蕉、花織手巾(ティサジ)
がある。
特に花倉織と道屯織は、首里王府の城下町として
栄えた首里のみで織られる王族や貴族専用の織物で、
花倉織は先染め紋織物、黄地、水地、紺地などの
無地や濃淡の配色が主流。
道屯織は琉球王朝時代には男性衣として用いられたが、
現在では着尺帯や小物類に使用されている。
絹100%
長さ約3.6m(お仕立て上がり時)
こちらの帯は長尺ですので、仕立て上がりの長さを約3.9mまでご指定いただけます。
※ご指定のない場合は弊社標準の約3.6m前後で仕立て上がります。
おすすめの帯芯:綿芯「松」
全通柄
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 芸術鑑賞、お出かけ、お食事、行楽など
◆あわせる着物 色無地、小紋、織の着物など
長尺の帯ですので、長さをご指定下さい。
※ご指定のない場合は標準の長さで仕立て上がります。
★名古屋仕立て(税込9,350円※綿芯「松」代含む)
胴に巻く部分から手先までを半分に折って縫製された仕立て方です。
お着付けの際に半分に折る必要がないので、楽に着付けることが出来ます。
★開き仕立て(税込12,650円※綿芯「松」代含む)
半分に折らずに帯地と帯芯をかがって仕立てます。
胴回りをご自身の好きな巾で結ぶことができます。
★松葉仕立て(税込12,650円※綿芯「松」代含む)
手先の部分だけを半分に折って縫製された仕立て方です。
胴回りは折らずに仕立ててあるのでご自身の好きな巾に調節することができ、
かつ手先は半分に折っているので楽に着付けをすることが出来ます。
※開き仕立てと松葉仕立ては縫製の関係上帯芯が見える状態です。
着用時には見えませんので問題はございませんが、気になる方は+1,650円で裏地を付けることもできます。
ご希望の方は、「モス裏地付き」のお仕立てをお申し込み下さい。