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神社オタクが愛す、“葵と馬”の「葵祭」コーデ 【YouTube連動】「着物沼Interview」vol.15 秋尾沙戸子さん

神社オタクが愛す、“葵と馬”の「葵祭」コーデ 【YouTube連動】「着物沼Interview」vol.15 秋尾沙戸子さん

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国際ジャーナリスト・ノンフィクション作家の秋尾沙戸子さんが再びご登場。祇園祭に続き、京都三大祭のひとつ「葵祭」の魅力を語ります。上賀茂神社御神紋の二葉葵にちなんだ葵柄の着物や帯、今年の干支である午モチーフの帯など、そのコレクションもご覧ください。

2025.09.05

ライフスタイル

“祇園祭オタク”の祭と着物の楽しみ方 秋尾沙戸子さん(後編)【YouTube連動】「着物沼Interview」vol.2

上賀茂神社の神事には葵文の着物で

本連載の最初のゲストとして「祇園祭」にまつわる着物愛を語ってくださった秋尾沙戸子さんが、再びご登場です。

今回、秋尾さんがお話しくださるのは「葵祭」について。語りの場としてお借りしたのは、 葵祭が斎行される上賀茂神社の参籠殿さんろうでん。

コレクションと

「京都にはたくさんの神社がありますが、上賀茂神社はその中でも最も祓いの力が強く、霊験あらたかな神社」だと常日頃から感じている秋尾さん。

そんな格式高い上賀茂神社で、同社にゆかりある秋尾さんのリッチなコレクションをお届けします。

上賀茂神社の御祭神は、賀茂別雷大神かもわけいかづちのおおかみ。上賀茂神社は通称で、正式名は「賀茂別雷神社」。国宝2棟、重要文化財41棟を含む広大な敷地全てが、ユネスコ世界文化遺産に登録されています。

上賀茂神社

年間70以上の神事が斎行されている上賀茂神社で最も重要な祭儀(例祭)が「賀茂祭」――「葵祭」の名で親しまれている京都三大祭のひとつです。

可能なかぎり、それらの神事に足を運んでいるという秋尾さんが参列時に身に纏う「葵文」。まずは、この日のお召し物から。

着姿

セールで見つけたときは「私にしては(地色が)地味じゃないかな」と思った着尺。実際に着てみたら「これが一番便利」とのこと

葵の小紋に合わせたのは、桜色の櫛織の帯(誉田屋謹製)。そこに葵の帯留めがキラリと光ります。

「なぜこういう出で立ちでやってきたかというと、上賀茂神社の御神紋が二葉葵だからです。私は常々、神社に参拝するときや神事に参列する際には、できるだけその神社の御神紋や伝承にゆかりある文様を選ぶようにしています」

参拝風景

ハート形の葉っぱを2枚生やすフタバアオイは、「神と人を繋ぐ聖なる草」とされてきた。葵紋は、徳川家康が天皇家からの菊紋・桐紋の下賜を断って、使用し続けたことでも知られる 提供/秋尾沙戸子

「なぜなら、それが私にとっては神様へのリスペクトだと考えているから。そういった装いで訪れることで、神様と繋がったような、見つけてもらえたような、あったかい気持ち、もしくは清々しい気持ちになれるので、皆さまにもお勧めしたいと思っています」

2025.09.05

ライフスタイル

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格式高い「葵祭」の真髄と見どころ

「私が葵にこだわるようになったきっかけが、葵祭でした。5月15日、新緑・若葉の眩しい季節に斎行されます」と、秋尾さん。

社殿に葵を飾り、祭の奉仕者が葵を身につけていることから「葵祭」の名で広く親しまれるようになった祭は、正しくは「賀茂祭」といいます。

社頭の儀

頭につけられた飾りは、葵と桂の葉をからませてつくったもので、葵桂(きっけい)と呼ばれる 提供/秋尾沙戸子

拝観場所の車争いのエピソードが有名な『源氏物語』をはじめ、この時代の書物等には賀茂祭を単に「まつり」と記したものが多く残っており、祭儀の盛大さはもちろん、賀茂祭が典型的な行装と儀式であったためだといわれています。

葵が飾られた、斎王代が乗る御腰輿(およよ)

葵が飾られた、斎王代が乗る御腰輿(およよ) 提供/秋尾沙戸子

「美しい行列につい目を奪われますが、実は、社頭の儀が葵祭の真髄なんです。天皇陛下から御使い――勅使と呼ばれる方が陛下の御言葉を記した御祭文を読み上げられまして、その御祭文を宮司さんが神様にお届けするという、非常に格式高いお祭りです」

牛車

いまはもう京都にしかない貴重な牛車が練り歩く様子は葵祭の見どころのひとつ。今上天皇が皇太子の頃にご覧になられたことでも知られる 提供/秋尾沙戸子

斎王代と童女

斎王代(かつて賀茂社に使えた未婚の皇女「斎王」の代理)の美しさ、側仕えの童女たちの鮮やかな衣裳も見応えあり 提供/秋尾沙戸子

「葵祭の少し前に秘密の神事が行われると、境内は神気に満ち溢れ、本当に清々しい気持ちになって、祓われる感じがあるので、ぜひ5月に参拝してください」

行列風景

見事な平安装束も、着物好きとしては見逃せない 提供/秋尾沙戸子

2025.07.06

エッセイ

高貴な正妻、葵の上 「源氏物語の女君がきものを着たなら」vol.5

葵を求める長い旅のきっかけは「葵祭」

「最初に、京都御所の観覧席チケットをいただいて葵祭を拝見したときに何より驚いたのが、そこにいらっしゃったご婦人方が全員、葵のお着物や帯を身に纏ってらっしゃったこと。

それも気軽な、というよりは、ご立派な、素晴らしい衣装が並んでいて、うっとりと感動しながら眺めていました。と同時に、ひょっとすると京都というところは葵祭のときに葵の文様を着なきゃいけないんじゃないかな……と思い込み、必死で葵を探し歩くことになるんです」

お守り

「葵は、古くは『あふひ』と書きました。『あふ』は逢う、『ひ』は神様を意味します。神様に逢える、神様と通じるということから、『あふひ』なんですね。そんなことを知ってしまったら、もう参拝のときに葵を纏いたいと思ってしまったわけです」

最初の一枚

こちらが、初めて出合った葵文の紗の着尺から仕立てた一枚。

「コートにするか、紗の夏着物にすることを想定して売ってらしたものを、2枚重ねて紗袷にしたいと考え、どうにかしてほしいとお願いしました。紗袷というのは、絵の描いてある絽の着物の上に無地の紗を重ねると聞いていましたが、私はこの紗の生地を深緑で染めてしまって、裏にもう1枚紗の白い生地を重ねることによってズレ感が出て、紗袷の感じに見えるのではと思ったんですね。

最初は顰蹙ひんしゅくを買いましたけれども、出来上がってみれば、職人さんも『なんだ意外と面白いじゃないか』と言って楽しんでくださった思い出の着物です」

撫松庵の帯

大丸の呉服売り場で見つけた一条。秋尾さん好みの紅色と本紫にターコイズが入った配色が気に入って購入

撫松庵の帯2

翌年、東京の呉服店で見かけた帯は、好みの京紫とピーコックグリーンが着物にぴったり! 作り帯にして愛用している

何かと重宝している葵の小紋を着用していると、よく声をかけられると笑う秋尾さん。

「祇園祭のときに、『あなた、葵祭に来てたでしょ。葵の着物着てたでしょ』って言われたこともあるぐらい、人の目を引く着物です」

コレクション

豊かで多彩な葵コレクションの全貌は、ぜひYouTubeにて。

葵祭と馬の意外な関係性とは

「葵祭は、実は馬も関係しているんです」と、教えてくれた秋尾さん。

神馬

境内にある神馬舎。代々、白馬を神馬として迎え、現在の神馬は戦後七代目となる「神山(こうやま)号」。普段は近くの大学厩舎におり、日曜祝日と祭典日の9:30-15:00に出社(神山号の体調によって変更あり)。神馬出社日限定「神馬みくじ」500円もお見逃しなく! 提供/秋尾沙戸子 

「平安時代、馬には邪気を祓う力があると信じられていました。ここ上賀茂神社では、5月5日の端午の節句に、賀茂競馬かもくらべうまという宮中由来の馬の駆け競べが行われます」

これは、天下泰平と五穀豊穣を祈って宮中で行われていた競馬会を神社に移したことに始まる神事。

「境内をバーッと2頭ずつ馬が走り抜けて、勝った馬が舞楽を披露するのが宮中での習わしでした。そのため、この賀茂競馬で馬に跨る、乗尻のりじりといわれる騎手たちは舞楽装束をまとって馬を走らせます」

賀茂競馬

提供/秋尾沙戸子

「この乗尻の青年たちは、葵祭でも先頭を行くんです。意外と知られていないので、そこも今年はぜひ注目してください」

「また、葵祭の最後には、一ノ鳥居から二ノ鳥居まで馬が疾走する走馬そうまの儀が行われます」

走馬の儀

提供/秋尾沙戸子

「それが終わると、私たちは本殿へ行ってお参りすることができるんですが、普段と全く違う神気は素晴らしいものがあります。もう、すっきりします!

だから、葵祭の途中で帰らないで、ぜひとも最後の最後まで残って本殿に手を合わせてください。感謝を込めて手を合わせれば、それだけで祓われて、清々しい気持ちになります」

午年にちなんで買い求めた4本の帯

賀茂競馬を毎年観に行くという秋尾さん。

「午年と引っ掛けて、たくさん集めてしまったわけです」と、取り出されたのは馬が描かれた帯たちです。

馬柄の帯

「いままでは、端午の節句をイメージする飾り馬の帯を締めていましたが、今年は午年ということもあって、張り切って4本も買ってしまいました」と言って、まず最初に見せてくれたのが、竹と綿の混紡生地の名古屋帯。

「馬の躍動感が気に入ってこれを選びました」というのも納得のダイナミズムあふれる1本です。

次に出合ったのが、こちらの2本。

馬柄の帯2

写真左の帯は、この日の着物に合わせても色味がリンクする一条。黒地の帯は、「馬が上を向いて走っている姿が良いですよね。秋冬にも使えそう」と秋尾さん

「どちらも馬が走っている感じが良くて……どっちにしようか決められなかったので、両方求めてしまいました(笑)」

さらに、「本当に驚くような値段でネットで買った」という龍村美術織物の袋帯。公家の青年が馬を引いている図案は、雅な行事のときに出番がありそうです。

馬柄の帯3

「グリーン系にのせたら意外と綺麗なんじゃないかな、と思ったり。もちろん焦げ茶とか黒にもってきてもいい。黒の源氏香の飛び柄小紋は絶対使えるだろうなと思います」

2026.01.20

エッセイ

どうなる?午年コーデ! 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.104

葵&馬モチーフの小物たち

秋尾さんは、手持ちの小物も概念コーデに上手く取り入れています。

「その最たるものが、この指輪です」

指輪

帯前の柄として描かれているホースシュー(馬蹄・蹄鉄)は、幸福を呼ぶアイテムとしてアクセサリーのモチーフとしても人気です。

前帯の柄

下向きの馬蹄には不運を落とす=厄除けの解釈もあるとされる

「馬蹄が上向き(U字)だと幸運を受け止める、くぼみに幸運が溜まります。運を受けて、入れて、また入れて、貯め込む……馬蹄が上下交互になったデザインの指輪は、長らく私のラッキーアイテムです」

ダブルハートの指輪

提供/秋尾沙戸子

もうひとつは、ダブルハートの存在感ある指輪。「2つハートが重なっているのが、これこそ二葉葵だと思って、よくつけています」

他にも、文様のない帯のときに付けるという二葉葵の帯留めには濃いグリーンの三分紐を合わせるなど、小物にも秋尾さんのセンスが光ります。

「神社の授与品の中にアクセサリーにできるものがいくつかあるんですね」と取り出されたのは、二葉葵のお守り。

お守り

毎年5月限定で授与される『あふひ守』800円

「例えば、いままでは鞄につけてましたけど、このお守りを根付みたいにするのもありかな、と思ったり。葵祭の頃にお守りを戴くのであれば、ぜひこれをお勧めします」

全身

「午年の今年、葵祭がどんなふうになるのかいまからワクワクドキドキしています。たくさんある着物と帯の、葵と馬をどうやって組み合わせるか考えるのが楽しいですね。

嫌なことがあったら祓ってもらえる、楽しいことがあったらもっと元気になるという意味でも、葵と馬にあやかって、ぜひ5月には葵祭か賀茂競馬のどちらかに足を運んでいただければなと思います」

撮影協力/賀茂別雷神社

文/椿屋
スチール撮影/スタジオヒサフジ

2026.03.30

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