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呉服屋の倅に見る、立場を体現する恰好『幕末ヒポクラテスたち』 「きもの de シネマ」vol.78

呉服屋の倅に見る、立場を体現する恰好『幕末ヒポクラテスたち』 「きもの de シネマ」vol.78

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銀幕に登場する数々の着物たちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だって着物で愉しみませんか。今回ご紹介するのは、京都が舞台の時代劇『幕末ヒポクラテスたち』。藤原季節さん扮する、医学を志す青年の衣裳に注目です。

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2026.04.08

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幕末の京が舞台となる爽快!医療時代劇

ごきげんよう、椿屋です。

京都出身の俳優といえば?で、真っ先に声が上がるであろう佐々木蔵之介さんが主演を務める映画『幕末ヒポクラテスたち』は、命に真っ向から向き合う医師たちの奮闘を描いた時代劇。

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

本作で佐々木さんが演じておられるのは、貧富や立場の区別なく診療する蘭方医・大倉太吉。とにかく好奇心旺盛で、妻子と共に畑仕事にも励みながらひたむきに医術の道を探究し続ける、人間味あふれたチャーミングな人物です。

いいかんじのツッコミで笑いを誘うかと思えば、解剖や手術をやり遂げる真摯な情熱で惹きつける――コメディからシリアスまで多彩な役柄を演じる佐々木さんの魅力が存分に詰まったキャラクターで、物語を牽引します。

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

目の前の命を救うために奔走する太吉と犬猿の仲で、どんな病にも葛根湯を処方する漢方医・玄斎には内藤剛志さん。ふたりのディスリ合いもまた、物語の味わいのひとつになっています。

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

加えて、太吉と玄斎が縁側にて時間の残酷さを語らう終盤のシーンは秀逸です。

精神的にはまだまだ若く現役の医師として勤しむ主人公が、長年の好敵手と共に人生を振り返り、時代に取り残されていく寂寥感を滲み出す……なんとも言えず、胸に迫る場面。目頭が熱くなりました。

新左の成長に寄り添う衣裳の変化に注目

着物好き視点での本作最大の見どころは、藤原季節さん演じる相良新左さがらしんざの衣裳の変化です。

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

登場シーンは、こんなかんじ。太吉の診察所まで籠で乗りつけた男は、呉服屋「相良屋」の使いの者だと名乗ります。気性が荒くて喧嘩腰、ガラの悪い乱暴な態度ゆえ太吉に追い返された青年は、実は相良屋の放蕩息子だと知れます。

なるほど!思わず唸ったのは、博打好きのワルな割りにえぇもんを着てたから。縞柄の長着が粋で、ちょいといい男。帯に提げた煙草入れもいい趣味してるわぁ、と思わず見入ってしまいます。

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

そんな彼は、瀕死の状態を太吉に救われます。そして、決意するのです。「蘭方の医者になりたい」と。

太吉に弟子入りを志願し、下働きをする太吉。身軽な恰好をしていますが、やっぱり他の人たちとはどこか違う装いです。

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

それが最もよく分かるのが、斬首後の死体の解剖に立ち会うシーン。

熱心に観察している他の蘭方医たちと比べても、やっぱりお洒落なんですよね。太吉と並ぶと、一目瞭然でございましょ?

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

そして、極めつきは長崎から見違えるほど立派になって戻ってきた日の装い。ここはやっぱり洋装ですよー!!!

立場と共に変化する新左(のちの新三郎)の衣裳こそ、本作の最たる魅力と言っても過言ではありません。

説得力ある人物造形に欠かせない衣裳

長崎帰りの新左と連れ立って太吉の元を訪れたのは、妹の峰(藤野涼子)。太吉の診療によって元気になった過去をもちます。

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

自宅で療養しているときの寝間着さえも、品があって可愛らしい!さすが、裕福な呉服屋の娘です。

本作の華やか担当・藤野さんの装いもお見逃しなく。

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

そして、ヒロインと言うには少々貫禄がありすぎますが……太吉の妻・フミ役の真木よう子さんの着姿も物語に説得力をプラスします。

監督が明かした

「最初におっしゃっていたのは、『きれいな役はもうやりたくないです』ということでした」

というお言葉からも分かるように、畑仕事をしながら子育てをし、夫の不安を受け止め、「万事うまくいきます」という声がけで常に太吉を支える肝っ玉母さんを見事に体現する姿には、もう安心感しかありません。

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会

ロケ地となった撮影所&映画村に凱旋!

去る4月25日、新しく生まれ変わった太秦映画村にて映画公開記念トークイベントが行われました。

主演・佐々木蔵之介さんと緒方明監督、西脇隆俊京都府知事と松井孝治京都市長も駆けつけ、「京都の映画文化」について語らうひととき。

事前告知は一切ないゲリラ企画にもかかわらず、村内にいた多くの方が集いました。

集合写真

写真左より、松井市長、緒方監督、佐々木蔵之介さん、西脇府知事

「子どもの頃に遊びに来ていた場所で、こんな機会に恵まれて本当にありがたいです。学生時代には東映の撮影現場でお手伝いしていた経験もあるので、感慨深いです」

と挨拶された佐々木さん。今回の撮影で、改めて京都という町が時代劇を撮るのに最適だと感じたとのこと。

また、普段から使っている京都弁での芝居には自然と気持ちが乗り、最高に撮影を楽しめたと笑顔に。

登場シーン

イベント前の関係者試写における舞台挨拶では、冒頭の池シーンが真冬の撮影だったことを振り返り、

「昔の人はほんまに素足やったん?!と衣裳さんに詰め寄ったら、そうなんですって言われて、それでも、ほんまかなぁ……って思いながら裸足に草鞋で、寒さに耐えてました」

と印象に残っているエピソードを語ってくださいました。

舞台挨拶

写真左から、緒方明監督、佐々木蔵之介さん、森重晃プロデューサー

オール京都ロケの時代劇『幕末ヒポクラテスたち』、佐々木さんのナチュラルな京都弁での絶妙な間合いのツッコミを、ぜひ劇場でお愉しみください。

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