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娘たちと楽しむ、着物がある生活 豊田浩子さん (前編)【YouTube連動】 「着物沼Interview」vol.6

娘たちと楽しむ、着物がある生活 豊田浩子さん(前編)【YouTube連動】「着物沼Interview」vol.6

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着物沼に住まう人々の着物愛を追いかける、YouTube連動連載「着物沼Interview」。今回のゲストは、全国515ある商工会議所の中で4人しかいない女性会頭のひとりである豊田浩子さんです。ふたりの娘さんたちと一緒に楽しむ、幸せな”きもの時間”とは?

2025.09.08

ライフスタイル

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母娘揃って着物沼の住人に

今回、娘さんと共にご登場くださった豊田浩子さんは、管工機材や住宅設備機器、建材を扱う総合卸商社の代表取締役専務であり、全国515の商工会議所の中でわずか4人しかいない女性会頭のひとりとして、地域経済の発展と女性活躍推進に尽力されています。

前編では、長女・理那子さんと次女・華乃子さんと一緒に、母娘で愉しむ着物ライフを披露してくださいました。

「式典のときや家族で記念撮影をするなど、何か行事があるときに着物を着ます。TPOを考えて、着物が相応しいであろう場にはなるべく着ていくようにしています」

という浩子さん。

浩子さん

機械工具の専門商社に勤務する理那子さんは、

「家族でのイベントや結婚式などで着物を着ることが多いです

金融機関にお勤めの妹・華乃子さんも、

「幼い頃から着物という存在が身近にありました」

と笑顔に。

「着物沼Interview」

母・浩子さんを挟んで、右が長女の理那子さん、左が次女の華乃子さん

三者三様の紅葉リンクコーデ

3ショット

さて、母娘で選んだ紅葉の装いに注目してみましょう。

まずは、浩子さんから。

浩子さん

「吉川染匠」京友禅訪問着に、「宮階織物」で誂えた御召時地の両面袋帯を合わせて

上前に広がる緑から赤へと移り変わりゆく紅葉が目を引く装いで、

「ちょっと森のようにも見えるので、我が家では“トトロ”と呼んでいます」

とのこと。柄行が気に入った着物の生地をリバーシブルで仕立てた帯も、一面の紅葉です。

浩子さん髪飾り

着物に合わせたカラーで統一感を演出する髪飾り

理那子さんが纏うのは、滝と深紅の紅葉を取り合わせた訪問着。

理那子さん

「利へ以」京友禅訪問着に、祖母から受け継いだ真っ赤な袋帯ですっきりとしたコーデに

「合わせた真っ赤な帯は、私の母から受け継いだもので、母娘3代で愛用しています」

と、浩子さん。

時代を経て、同じ帯や着物を託していけるのも和服ならではの魅力のひとつです。

理那子さん

髪にも朱に染まったもみじを

対して、華乃子さんのお着物は、葉っぱが色づき始めた頃のもの。

「黄色からオレンジへと変わる、淡くて可愛らしいかんじの紅葉が描かれています」

華乃子さん後ろ姿

「染の北川」京友禅訪問着。後ろ姿の枝ぶりも可憐

そこに、西陣織の袋帯をON。たくさんの細かい紅葉と金糸の色合いが、着物の柄と馴染みます。

「帯揚げ・帯締めはそれぞれの着物に合わせて選びました。長女は若々しく、次女は薄い緑を差し色にして。私は赤をポイントにして決めました」(浩子さん談)

華乃子さん髪飾り

華乃子さんの髪飾も、纏う着物の柄に合わせた色合いで

好みと特徴をふまえた装い

誰がどの着物を着るかはどうやって決めたのかと問えば――

「早い者勝ちで、私が一番に決めました!」

と華乃子さん。

3人揃って

理那子さんが

「母が”トトロ”を選ぶかなと思ったので、私は赤色にしました」

と言うのを聞いて、浩子さんは

「私が着ている柄裄が一番派手だと思ったんでしょうね。なので、これを残して二人が分けたというかんじみたい(笑)」

「母は、私や姉の特徴を捉えた上で、コーディネートを組んでくれています。写真で送られてきた今回の着物を見たときも、『これは私、これは姉だろうな』という母の考えを見越していました」(華乃子さん談)

支度中の華乃子さん

それを聞いた浩子さんは嬉しそうに、

「着物は世代や体型をあまり気にしなくてもいいですし、多少膨らんだり細くなったりしても調整できちゃいます。洋服のように流行がないので、娘と3人で着られるのがいいですね。彼女たちは、私の洋服は絶対に着ませんが、着物はちゃんと共有してくれます」と。

バックショット

母の言葉を受けて、理那子さんは、

「幼い頃は着付けがきつくて苦手だったこともありましたが、大きくなってからは着物を着ている自分の姿が綺麗だなと思うようになりました。また、母と妹とみんなで着られることが楽しくて、『一緒に着よう』って言われると嬉しいです」

室内にて

「いま家族が一緒に住んでいるわけではないこともあって、季節ごとであったり、家族の誕生日であったり、そういったタイミングで声掛けしてもらえると、着物も着られますし、集まるいいきっかけになっていると思います」と、華乃子さん。

着物に沼った、そのきっかけは?

「私が物心ついたときから、母は着物しか着ていませんでした。いつも割烹着姿で台所に立っていたことを憶えています。母にとっては着物は日常着で、そういう着方がとても素敵だなって。私もいつかは母のように着物を着こなす人になりたいと思っていました」

と、浩子さんは振り返ります。

YouTube動画では、母娘で着物を着た際の思い出話もご覧いただけます。

すっかり着物沼にハマっている浩子さんですが、そのきっかけは何だったのでしょうか。

「『美しいキモノ』という着物雑誌で、着物姿の写真募集企画を目にして、私ひとりの写真と娘たちと揃って撮った写真を応募したところ、どちらも賞をいただきました。雛人形を背景にした3人のカットは、『三人官女のよう』と書いてあったのが嬉しくて」

授賞式

毎年元日~3月31日まで開催される「可睡斎ひなまつり」での記念の一枚。「素敵なお仲間賞」に選ばれた
提供/豊田浩子

受賞後、「第3回着物スナップギャラリー」年間大会にも出場し、見事大賞を受賞。

「思いがけず優勝したことで、私にとっての一番の晴れ着は着物だなと思うようになったんですね。そこから興味をもっていろいろ調べていくうちに、さらに着物に惹かれていって、どんどん着るようになりました」

授賞式での一幕、キティちゃんから副賞を受け取る浩子さん
提供/豊田浩子

そんな母・浩子さんに対して、理那子さんは、

「着物を着た母と東京で会うと、仕事ながら楽しんで生き生きとやってるなと感じます。パワフルで綺麗ですごいなと思っています」

とのこと。

また、華乃子さんの

「私の知人友人に会うときも母が着物を着ていると自慢に思います。母の着物姿は風格があって、娘としても誇らしい気持ちになりますね」

という言葉に、隣に座っている浩子さんが見せたこそばゆい表情が印象的でした。

アルバムを見ながら

娘ふたりに褒められて微笑む浩子さんが生きがいを感じるのは、「三人姉妹ですか」と言われる瞬間。三人一緒に着物ででかけたり、同じ着物をそれぞれのコーデで着回したり。母と娘ならではの着物の楽しみ方を満喫しています。

「同じ帯と同じ着物を着ても、中身が違うと全然違うように見えるんですよね」

という言葉こそが真髄では!

2025.07.07

ライフスタイル

親子できもの日和

母から娘へ、受け継がれる伝統の美

あるとき、着物で参列した結婚式で「素敵だね」と声をかけてもらい、着物の魅力を改めて感じたという理那子さん。

「ドレスのときは、そういうふうに褒められることがなかったので、着物っていいな」と思ったことが、着物沼へ足を踏み入れるきっかけになりました。

「着るとなんとなく日本人として誇らしい気持ちになりますよね、着物って。ドレスは世界中誰でも着ますが、やっぱり着物は特別感があります。芸術性の粋である着物をずっと引き継いで楽しんでもらえるといいなと思います」(浩子さん談)

思い出のアルバム

理那子さんと華乃子さんの成人式の装いについては、動画にてご覧ください

「一生に一度の機会だからと、成人式の前撮りで3着の振袖を着ました」

と、思い出のブックレットを開く華乃子さんも、その撮影で特別感を噛み締めたそう。

ハレの場に相応しい装いとして袖を通した際の、晴れやかな気分や背筋がシャンとする感覚、また周りの人たちの心まで明るくするような着物ならではの力を一度でも味わうと、なかなか沼からは抜け出せないのかもしれません。

理那子さんには愛娘がひとり。いずれは……と夢見る華乃子さんと共に、自分の子どもたちに祖母や母の着物を引き継いでいけたら、と思ってるそう。

ネイビーの着物

浩子さんが纏う菖蒲柄の訪問着は、華乃子さんが「ゆくゆくは……」と狙っている一枚
提供/豊田浩子

カエル柄の帯

動物好きの理那子さんが譲り受けたいと思っているのは、カエル柄の帯や蝙蝠柄の浴衣など生き物柄のもの
提供/豊田浩子

浩子さんに倣って、イベントごとをきっかけに着物に親しんでもらえたら、という願いを抱いています。
受け継がれていく着物たちは、家族の幸せな時間の象徴のひとつなのかもしれません。

階段にて

文章/椿屋
撮影/松村シナ

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