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着物を愛して40年――着物研究家の唯一無二なコレクション シーラ・クリフさん【YouTube連動】「着物沼Interview」vol.19

着物を愛して40年――着物研究家の唯一無二なコレクション シーラ・クリフさん【YouTube連動】「着物沼Interview」vol.19

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自他ともに認める着物沼の住人たちが、着物愛について熱く語るYouTube連動連載。今回は、イギリス人でありながら着物研究家として活躍されているシーラ・クリフさんをお招きして、貴重な着物コレクションを含めた着物沼生活を一挙公開します。

2026.08.17

ライフスタイル

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着物研究家がセレクト!3タイプの装い

1985年に来日。大学で教鞭をとる傍ら、着物研究家として着物文化の発信に尽力されているシーラ・クリフさん。

現在は、国内外での着物展覧会やファッションショーの企画・プロデュースなど、多彩な活動で注目を集めています。

「プラチナエイジ」の表彰式でも着用したお気に入りの着物

ジップロックのCMや2024年に受賞した「プラチナエイジ」の表彰式でも着用したお気に入りの着物

まずは、着物を愛して止まないシーラさんのコーディネートから。

こちらの大正時代を感じさせる「ステンドグラスみたい」(シーラさん談)という青い薔薇が印象的な着物は、伝統を受け継ぎながら現代の生活にも融け込む“ふだん着物”を発信する「クリエイト エバラ」が手掛けたもの。

コーデ

着物の色に合わせたターコイズブルーの三分紐に、シルバー系の帯とリンクする雪の結晶の帯留めを

この着物との出合いについては動画をご覧ください!

続いての装いは、館林市の伝統織物「館林紬」の着物。館林紬は100%木綿の紬で、色彩豊かな縞模様が特徴です。

館林紬の紬

合わせたのは、博多の半幅帯。半衿とオレンジをリンクさせているのが、コーデのポイントです。カルタ結びで楽な着こなしが粋な印象に。

ヘッドドレスをつけてポーズを取るお茶目な一幕も

半衿も着物のカラーに合わせてカラフルな古布をチョイス。ヘッドドレスをつけてポーズを取るお茶目な一幕も

持っていた古い着物2枚を解いて、パッチワーク風に組み合わせてご自身の手で縫ったシーラさんらしい一枚は、「縞柄と花柄が合わさるとすごく素敵だなと思って。花柄はちょっと染めが粗いところがあったので、縞柄を多く使用しています」とのこと。

ご近所さんから頂いた丸帯を仕立て直した帯。

ご近所さんから頂いた丸帯を仕立て直した帯。このコーデは「東京キモノショー2026」で展示された

KIMONOとのファーストコンタクト

「41年前にイギリスから日本へ参りました。それで大変日本が好きになって、延長延長……という形で、大学に通い直して英語教師になって、日本に住み続けました」というシーラさん。

着物との最初の出合いは、フリーマーケットだったといいます。

緋色の長襦袢

目に留まったのは、鮮やかな緋色の長襦袢。

「友達に『着物を買いました』と見せたら、『これは着物じゃなくて、下着です』って言われて、『え~⁉』と思って(笑)。こんなに美しいものを隠すのか!と驚きました。すごく綺麗ですよね、ジャガード織の模様が入ってて、真っ赤で。

それが下着だっていうことにビックリしちゃって、ますます着物に興味が湧くようになりました」

2025.08.16

ライフスタイル

イギリスから、着物に一目惚れ! 【着物研究家 シーラ・クリフさん】(前編)「着物ひろこが会いに行く!憧れのキモノビト」vol.3

着物を知る前からファッション好きだったシーラさん。そのきっかけは、幼い頃の経験にありました。

「私は双子なので、小さいときはいつも同じようなものを着せられて、それが嫌でしょうがなかった。自分の服装で自分を表現したかったんです。なので、『これじゃなくて違うものを着たい!』と、その頃から服装にはすごくこだわってました」

そんなシーラさんが初めて購入したのは、こちらの訪問着。

訪問着とシーラさん

1992年には、着付師および着付け教師3級を習得したシーラさん

「着物のことを全然知らないで買ってしまったんですが、日本の伝統的な文様がいっぱい入っていて素敵だなと思いました。

あるお店で、着物を買ったけど着られないと言ったら、『うちの店は着付け学校もあるんですよ』と教えてくれて。あまり日本語は上手じゃなかったけど、先生がとても優しくいろいろ教えてくれて、そこから着付けの勉強と、同時に染め物の勉強も始めました」

シーラさんが型染めしたタペストリー。

シーラさんが型染めしたタペストリー。デザインもシーラさんが手掛けた

出版社を説得するために取得した博士号

「最初は中学高校で教えてたんですけど、修士号を取って大学教授になりました。大学では30年間、英語と着物文化を教えています。

着物文化のコースを自分で一からつくって、着物の歴史をはじめ、着物や帯の種類、コーディネート、友禅とか型染めとか絞りといったいろんな技法も教えました。浴衣体験もやりましたね。

毎年70人以上の受講希望者がいて、『ああ、やっぱり若い日本人女性は着物に興味があるんだ』と思います。ただ接点がないだけで、それをつくってあげればすごく興味をもってくれるんです」

シーラさん

「本当は着物についての本が書きたかった」と、シーラさん。けれど当初、出版社は話を聞いてくれませんでした。そこで、「博士号を取れば出版できるかな」と思い立ち、博士課程へ。

「着物は伝統衣装というだけじゃなくてファッションでもある、という論文を書きたかった。

ファッションはフランスやイタリアなどヨーロッパから世界中に広まったと書かれることが多いけれど、昔から日本には独自のファッションがあった、という主旨の論文に仕上げました」

シーラさんが「着物はファッションである」と考えるようになったのは、実際に着ていくうちに様々な時代によって変化があることに気づいたから。

「ヨーロッパでは形が変わることがファッションなんですけど、日本では形だけじゃない。模様を変えてもファッションだし、新しい技法がファッションでもある。

博士号取得のタイミングで『Bloomsbury』という大好きな出版社に企画を提案して、一年越しで本を出すことができました」

シーラさんの著書たち。

シーラさんの著書たち。シーラ流のスタイリングが存分に愉しめる

2025.08.16

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世界でも類稀なる”布天国”、日本!【着物研究家 シーラ・クリフさん】(後編)「着物ひろこが会いに行く!憧れのキモノビト」vol.4

職人の手技に想いが宿る一生モノの着物たち

年齢と共に趣味嗜好は変化し、表現したいものも違ってくる。だからこそ、「Fashion is a jaurney―― ファッションは旅」だと、シーラさんは言います。

ここでは、そんな彼女が一生モノとして愛する工芸着物をご紹介します。

最初に見せてくれたのは、染色作家・田邊慶昴さんの友禅。

訪問着

東京友禅の作品展で買い求めた、長女の振袖と同じ鳳凰柄の訪問着

所々、刺繍が入っている

「所々、刺繍が入っていて、それがとても可愛い」とシーラさん

「彼女の染めはとても素敵。ある着物のイベントで出会って話しかけたら、家が近いことが分かって友達になったんです。娘たちが成人するときに彼女の着物を買ってあげたいなと思っていました。

私はイギリス人なので着物は何ももらってないからこそ、レガシーをつくりたいと思ったんです」

ふたりの娘のために誂えたのは、鳳凰と龍の振袖。

袖と裾に鳳凰が優雅に舞う。

袖と裾に鳳凰が優雅に舞う。地模様の薔薇もまた、華やかさをプラスしている

明るい黄色の八掛

「慶昴先生がセレクトされた」という明るい黄色の八掛

次女がリクエストした龍。

次女がリクエストした龍。「慶昴先生は可愛いものが好きなので、龍も可愛くなりました」と笑うシーラさん

上野での思わぬ出会いから親しくなったという染織家・鈴木紀代子さんの絵絣が素晴らしい一枚も、シーラさんにとっては思い出の着物。

想い入れある一枚

娘の結婚式に行く道中で着たという想い入れある一枚

「最後の展示会でスピーチを頼まれました。出演費用の代わりにといただいた反物を自分で仕立てました。少し訪問着風になっていて、裾の鳥が濃い色で、肩の方へいくと薄い色になっています。

もう本当に彼女の仕事が素敵で、なんでもっと有名にならなかったんだろうと思います」

お気に入りの秩父産太織単衣については、こちらでご紹介!

2025.08.16

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イギリスから、着物に一目惚れ! 【着物研究家 シーラ・クリフさん】(前編)「着物ひろこが会いに行く!憧れのキモノビト」vol.3

「職人さんが一生懸命つくった着物が一番大切」

「最初は着物のことを知らないで買ってしまっていたけど、いまはやっぱり着物の裏にある物語……どうやってつくられているとか、誰がつくったかが大事だし、つくり手の仕事に対しての考え方が好きだったら、着物と一緒にその物語を買っていくという考え方になりました」と教えてくれたシーラさん。

ここで、記事冒頭で登場した「クリエイト エバラ」で誂えた着物をもうひとつ。

クリエイトエバラで誂えた着物

中には区別がつかないくらい微妙な違いの色が並ぶ段替わり着物。職人技が光る贅沢な仕上がりにシーラさんも大満足

21色もの色見本の中から好きな色を選んでくださいと言われたものの、どれも素敵でなかなか選べなかったシーラさん。そこでなんと!見本の21色を全部使ったスペシャルな一枚をつくってくれたというから驚きです。

「これは私の自慢の着物です。20cm織る毎に織機を止めて緯糸を抜いて別の色に替えて織るといった手順で、すごく時間がかかります。

とても大変なので『もう二度とやらない』と言ってました(笑)」

外出シーラ流収納術は分かりやすくて合理的。

シーラ流収納術は分かりやすくて合理的。日常着としての着物への想いが詰まった衣裳部屋だ

「職人さんが一生懸命つくった着物が一番大切ですよね。ひとりでずっと植物を育てて糸をつくってそれから織っていく――それをずっと繰り返している職人さんたちはすごいなと思います。そんな着物をとっても大切にしています。着物がない人生は考えられないんですよね……。

表現でもあるし歴史でもあるし、文化でもあるしファッションでもあるし。私の身近にあるものだし、一番よき友かもしれない。

本当にこの文化を守ってほしい。守るといっても博物館に入れるのではなくて、着る文化としてファッションとして、この文化を残してほしいです」

文/椿屋
スチール撮影/五十川満

2026.03.08

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