着物・和・京都に関する情報ならきものと

グラフィックアート(川崎景太)×京友禅(染匠市川)――新たなる挑戦の証。『Keita Kawasaki HANA GRAPHIC ART Exhibition in KYOTO』

グラフィックアート×京友禅――新たなる挑戦の証。『Keita Kawasaki HANA GRAPHIC ART Exhibition in KYOTO』

記事を共有する

嶋臺しまだいギャラリーで開催中のフラワーアーティスト・川崎景太氏の個展『Keita Kawasaki HANA GRAPHIC ART Exhibition in KYOTO』。そのレセプションに、きものと編集部がお邪魔してきました。

2026.10.21

カルチャー

野宮神社「斎宮行列」、第28代斎王代 石﨑杏さんのお支度に密着!

フラワーアーティスト・川崎景太氏による表現の新領域

日本におけるフラワーデザインの先駆者である「マミフラワーデザインスクール」の主宰として後進の育成に尽力した後、2014年、アーティストとしての表現領域を拡げるべく、株式会社KTIONを設立した川崎景太氏。

花を生ける、花を飾る――そんな従来のフラワーデザインに留まらず、花そのものの造形・色彩・リズム……そして、逞しい生命力を、グラフィックアートの視点で再編集する独自のビジュアル表現「HANA GRAPHIC ART」を生み出しました。

川崎景太氏

そんな川崎氏の個展『Keita Kawasaki HANA GRAPHIC ART Exhibition in KYOTO』が、昨日から嶋臺ギャラリーにて開催中です。

感性を刺激し、空間の印象や空気を変え、人の記憶に残る「HANA GRAPHIC ART」を間近で見られる展覧会。2025年に台湾・台北にある古跡「新芳春茶行」※で成功を収め、国内では初となる京都にやってきました。

※新芳春茶行(Sin Hong Choon)……茶商の王一家によって1934年に建設された製茶工場兼住居で、約500坪もの3階建て大邸宅。廃業後は台北政府に寄贈され、大規模な修復工事が行われた。台北市の歴史的建造物に認定され、2016年にリノベーション。現在は無料公開されている。

嶋臺ギャラリー

オリジナリティ溢れる“花を再構築する”アート表現

植物でありながら絵画のようでもあり、デザイン作品のようでもあり、さらには空間インスタレーションのようでもある、全く新しい視覚体験を与えてくれる「HANA GRAPHIC ART」について、川崎氏は次のように語ります。

「生花を使った立体作品は、限られた命です。枯れるからこそ美しいと承知していますが、アートを手掛ける者の性さがなのか、やはり後世に残したいという願いがあります。その想いを形にしたのが、HANA GRAPHIC ARTという新たな表現方法です」

数々の作品

近づいて見れば花々のディテールに目を奪われる数々の作品は、離れればその大胆なビジュアルで場を圧倒する力を持つ

会場には、1500年の歴史を誇る越前手漉き和紙に描かれた「WAKA(和華)」、金沢金箔やプラチナ箔を用いた「RINKA(琳華)」に加えて、時の流れと共に表情を変える金銀箔の屏風作品など、多彩なシリーズが一堂に会します。

本展最大の見どころ!京友禅工房「染匠市川」の新作

きものと読者にとってマストウォッチな作品は、京都の伝統工芸「手描き京友禅」と「HANA GRAPHIC ART」が初めて融合した新作。本展では、着物の左右に展示された原点となる金屏風作品との競演も見どころです。

金屏風作品

可憐な桜と存在感ある牡丹を肩から、裾にはチューリップやパンジーといった華やかな洋花を配置した白地が眩しい訪問着は、グラフィックアートを着物の意匠とする上品さを兼ね備えた豪華な一枚に仕上げられました。

京友禅工房「染匠市川」の熟練した職人技によって、鮮やかな花々が着物という芸術に生まれ変わったのです。

金彩で演出する立体的な美

着ると見えなくなる下前にまで、草花が贅沢にあしらわれている

金彩で演出する立体的な美

当初、紗綾型地紋の白生地も候補に挙がっていたが、あえて古典的な和の印象を抑えた霰地紋の絹地がキャンバスに

花をより優美に見せる金彩で演出する立体的な美は、京友禅の持ち味のひとつ。立体感と線の柔らかさに定評のある「染匠市川」ならではの表現です。

2025.09.01

インタビュー

染匠市川

金彩で演出する立体的な美

「人によっては運気が下がると好ましく思わない場合もあるかもしれませんが、やはりこの枝垂れの美しさは、平面よりも立体となる着物に描くことでひと際素晴らしくなりました」

と川崎氏。

「HANA GRAPHIC ART」の繊細さはそのままに、京友禅らしい雅やかな意匠に

「HANA GRAPHIC ART」の繊細さはそのままに、京友禅らしい雅やかな意匠に

写真でもこの美しさですが、実物は惚れ惚れするほどの極上品です。

どんなに好きなアート作品であっても屏風ごと持ち運ぶことはできませんが、お気に入りをその身にまとって愛でることができるのですから、改めて、着物って凄い!と唸らされます。

金屏風作品

着物に写すにあたってどのようなアレンジや工夫が施されているのか、じっくりと見比べてみてください。

「染匠市川」社長・市川昌史さんと

レセプション後に「エースホテル京都」で行われたパーティでは、「染匠市川」社長・市川昌史さんとのトークも

2025.07.18

インタビュー

染匠市川 市川昌史さん

歴史ある京町家をリノベーションした美しいギャラリー

会場として使われているのは、「嶋臺しまだいギャラリー」東館。1608(慶長13)年、糸割符商(屋号「北糸」)として創業し、1783(天明3)年には酒造業(屋号「丸岡屋」)を開始し、その後は両業を家業とされてきました。

いまも清らかな水が湧き出ている相生井にも作品が展示されている

いまも清らかな水が湧き出ている相生井にも作品が展示されている

現存する建物は1883(明治16)年に再建されたもので、伝統的町家建築の頂点に立つ存在として知られてきました。

1956(昭和31)年に半分以上が取り壊されて現状となったものの、2004(平成16)年には、大規模町家建築の遺構として国の登録有形文化財に指定されました。

ちなみに、ギャラリーの西館が旧北糸商店、東館が旧丸岡屋の一部分にあたります。

京町家の趣と作品が見事に融合した空気感

京町家の趣と作品が見事に融合した空気感が味わえるのも、本展の魅力です。歴史的空間に身を置いて、花々が放つ生命力を体感してみてください。

嶋臺ギャラリー

【開催概要】
Keita Kawasaki HANA GRAPHIC ART Exhibition in KYOTO
日程:2026年10月24日(土)~28日(水)〈入場無料〉
時間:10:00~18:00(最終日~16:00)
会場:嶋臺ギャラリー
場所:京都市中京区東洞院通御池上ル船屋町423

取材・文/椿屋
撮影/スタジオヒサフジ

2025.04.07

ファッション

歌舞伎俳優 ご夫人方の装い

2025.07.28

着物でおでかけ

京都できもの、きもので京都

シェア

RECOMMENDおすすめ記事

Related Posts

LATEST最新記事

すべての記事

RANKINGランキング

  • デイリー
  • ウィークリー
  • マンスリー

HOT KEYWORDS急上昇キーワード

記事を共有する