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野宮神社「斎宮行列」、第28代斎王代 石﨑杏さんのお支度に密着!

野宮神社「斎宮行列」、第28代斎王代 石﨑杏さんのお支度に密着!

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全国屈指の景勝地・嵐山で行われる「斎宮行列」。10月18日、天武天皇の御代まで遡る歴史ある「斎王群行」を再現する雅やかな隊列が練り歩きました。「きものと」編集部は、第28代の斎宮代に選ばれた石崎杏さんに独占密着。その模様をお届けします。

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斎宮と斎王群行と野宮神社

「斎宮(斎王)」とは、天皇に代わって天照大神の御杖代みつえしろとして伊勢神宮に仕えるため、天皇即位と共に卜定ぼくじょうによって遣わされた未婚の内親王(もしくは王女)のこと。

選ばれると潔斎けっさいの日々を送り、3年目の秋に伊勢神宮の新嘗祭にいなめさいに合わせて旅立ちました。

斎宮行列

野宮ののみや※を出た斎宮は桂川で禊を行い、大極殿での発遣の儀を経て、葱華輦そうかれんという輿に乗り、6日もかけて伊勢へと向かいました。

その際の斎宮に仕える官人・女官など500人余りが付き従う大規模な行列が、「斎王群行」と呼ばれたのです。

※野宮……斎宮(斎王)が伊勢に赴く前の1年間、身を清める場所として一時的に造営された殿舎。

斎宮が伊勢にて仕えるこの制度は、天武天皇の娘・大来皇女おおくのひめみこ以降、後醍醐天皇の時代まで約660年にわたって続き、64人の姫君が遣わされたと伝わります。

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野宮は一代で取り壊される習わしで、毎年異なる場所に建てられました。嵯峨天皇の代、仁子内親王のときから現在の野宮神社※の鎮座地に野宮が造られるようになり、制度廃絶後は天照大神を祀る神社として長らく親しまれています。

※野宮神社……嵐山の名所・竹林の小径の中にある神。学問・恋愛成就・子宝安産等にご利益があるとされ、縁結びの社として人気が高い。樹皮がついたままの「黒木鳥居」やクロモジで造られた垣根「小柴垣」、絨毯のような苔が美しい庭園が有名。紫式部が書いた『源氏物語』〈賢木〉では主人公・光源氏と六条御息所の別れの舞台として登場し、のちに能『野宮』の題材にもなった。

斎宮行列

「斎王群行」のごとき華やかな平安装束を身に纏った人々が野宮神社から御禊の儀が行われる嵐山北乗船場へと向かう「斎宮行列」は、現在、毎年10月の第3日曜に行われています。

これは1999(平成11)年に地元が主体となって、誰もが参加体験しやすいオープンな事業として復活させたものだそう。

今年、斎宮の代わりを務める「斎宮代」に選ばれたのは、石﨑杏さんです。

装束の着付け後

控室にて。装束の着付け後、鬘をつけた完成形

第28代斎宮代・石崎杏さん

ミスコン日本代表や世界大会クイーンなど華々しい経歴をもち、「KIMONORUNWAY COLLECTION. 」のアンバサダーを務める石﨑さんは、セルフ写真館「嵐山写真館」を経営する起業家でもあります。

装束の着付け

ふんわりとやわらかい、穏やかな雰囲気と朗らかな笑顔。初対面の誰もがそんな第一印象を抱くであろう彼女は、話してみると実直で勤勉でもあり、そういった一面を面に出さず努力する芯の強さも持ち合わせていました。

化粧を施す

9月1日に斎王代としての発表がされると、行列当日を迎えるまで精進潔斎の毎日を送ってきたという石﨑さん。

「千年前と同じことは無理ですが、アルコールを断ち、食事にも気を遣いながら自分なりに清らかな御身・御心をもてるように整えてきました」

斎宮代を務めるにあたって、当時の斎宮(斎王)という存在がどういうものだったのかをいろいろと調べた上で、

「どんな想いで臨んだのか……そのお心まで汲み取れるよう、家族や友人と離れて一人で行く決意や神に仕える覚悟などについて、とことん考えました」

という彼女が見せてくれたノートには、目指すべき斎宮代像について、多くの言葉が綴られていました。

ノート

「潔く美しく、気高く清らかに」記された言葉の一つひとつに揺るぎない気持ちが垣間見られる

斎宮代として、決意や覚悟を「一つひとつの仕草、目線や表情で、凛とした姿で表現したい」と強い眼差しで語る石﨑さん。

装束の着付け

「凛とした佇まいであっても冷たい印象ではなく、どこか温かさを感じてもらえるような……それが自分なりの斎宮代の在り方だと考えています」

娘への想い、着物に託して

体調は万全。

「ドキドキはしていますが、コンディションはばっちりです。無事に成功を収められれば、それが第一だと思っています。言葉で語ることはできないけれど、華やかさの裏にある歴史の重さをしっかりと伝えられるよう努めたいです」

と、強い心意気を見せてくれた石﨑さん。

装束の着付け

衣裳の力とは凄いもので……化粧を施し、いざ装束の着付けが始まると、衿を重ねていくに従って自然と顔つきが変わっていきます。

周囲でスマートフォンのカメラを構えていた行列参列者たちが、思わず手を止めて見惚れるほど。

裳唐衣(十二単)の魅力は、その色の襲ねにあり

裳唐衣(十二単)の魅力は、その色の襲ねにあり

色と文様が重なっていくにつれて、平安時代からタイムスリップしてきたような“神の遣い”が体現されていき、周囲の空気さえも清らかになるような――。

控室には、素晴らしい時間が流れていました。

祖母と手を取り合い、カメラに向かって笑顔を見せる石﨑さん

祖母と手を取り合い、カメラに向かって笑顔を見せる石﨑さん

娘の晴れ姿を見守る母・直実さんは、そんな石﨑さんを眩しそうに眺めながら、次のように本番前の想いを語ってくださいました。

娘の晴れ姿を見守る母・直実さん

「調べれば調べるほど、ただ歩くだけではない斎宮行列の奥が見えてきて、知れば知るほど大変なお役目だなと思います。

本人は、『(斎宮行列に)会えてよかったな、(斎宮代を見られて)何かいいことがありそうと思ってもらえたらいいな』って言ってました。そのための優しさや微笑みをどう表現するか苦心していたようです」

娘の晴れ姿を見守る母・直実さん

「母としては、3年という月日を経て子を送り出す親の心情に思いを馳せる日々でした。

ミスコンなどいろいろ出場してきた娘ですが、そういう晴れの舞台を直接見ることはこれまで叶わなかったので、初めて家族に間近で見てもらえる機会だからと意気込んでいましたし、それが地元、しかも氏神である野宮神社さんで叶ったこのご縁に深く感謝しています」

ちなみに、晴れの舞台のこの日、母・直実さんがお召しになっていたのは、流水文様が印象的な洗練された訪問着。

秋らしい深みある紫がかった絹地にしなやかな曲線で描かれた流水が、静けさの中に動きを感じさせる優美な意匠です。紫の暈しとリンクする帯揚げが、華やぎある帯に上品さをプラスしています。

嵐山の景勝をゆく王朝絵巻

全ての支度が整った斎宮代がエントランスに姿を現すと同時に、湧き起った歓声と拍手。

あっという間に人だかりができ、道行く人々が足を止めて優雅な斎宮代に見入っていました。

参列者全員揃っての記念撮影

参列者全員揃っての記念撮影

いよいよ、野宮神社への移動です。

斎宮代を筆頭に、その介添えを務める野宮神社の神職や、斎宮代を務める石﨑さんのご家族が人力車に乗り込み、人混みを縫うように大堰川沿いの道からメインストリートへと進んでいきます。

人力車に乗り込み、メインストリートへ

ザ・嵐山!な景観で人気を誇る竹林の小径を行き、野宮神社に到着すると、鳥居前の道は見物客で大賑わい。神聖なる空気に満ち、往時の趣きをいまに伝える野宮神社にて、修祓の儀が執り行われ、行列が出発します。

人力車に乗り込み、メインストリートへ

というところで、「きものと」編集部の密着はここまで。

最後に、クルーが惹かれた装束をいくつかご紹介しますので、どうぞお愉しみください。
そして来年はどうぞ現地にて、煌びやかな装束の数々を間近にご覧ください。

采女の装束には、笠松と椿が

采女の装束には、笠松と椿が!青海波の衣が重ねられ、その上に羽織った薄氷には蝶の柄。可愛いのミルフィーユ!

扮する役によって衣裳は異なる

扮する役によって衣裳は異なる。身に纏うものによって身分や役職が一目で分かるのも、この時代の特色

小さな包み「懸守(かけまもり)」

斎宮の身辺雑事を司る女孺(にょじゅう)の胸元には、長旅の無事を祈るお守りやいざという時のための薬などが入った小さな包み「懸守(かけまもり)」が

斎宮が乗る輿を担ぐ賀輿丁

群行の警備にあたった武官=将従(しょうじゅう)、斎宮が乗る輿を担ぐ賀輿丁(がよちょう)などに扮した男性たちがロビーで寛ぐひととき

群行の雑事や荷役を務める白丁

群行の雑事や荷役を務める白丁(はくちょう)は、地元中学・高校の生徒たちが参加

浅沓

「草履や下駄と違って歩くの大変そう!」とクルーが心配になった浅沓

【イベント概要】
イベント名:斎宮行列
開催日時:毎年10月第3日曜日 12:00~
場所:野宮神社・渡月橋一帯
アクセス:JR嵯峨嵐山駅・嵐電(京福電鉄)嵐山駅から徒歩約10分、市バス「野々宮」から徒歩約5分
公式サイト:https://nonomiya.com

取材・文/椿屋
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