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大谷亮平さん&錦織良成監督が見どころを語る『遥かな町へ』 「きもの de シネマ」vol.83

大谷亮平さん&錦織良成監督が見どころを語る『遥かな町へ』 「きもの de シネマ」vol.83

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銀幕に登場する数々の着物たちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だって着物で愉しみませんか。先週公開の『汝、星のごとく』に続く注目作は、漫画家・谷口ジロー氏の世界的名作を実写化した『遥かな町へ』です。

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“大人のアオハル”を描く、名作漫画の日本初実写化

ようやく暑さが和らぎ、日中も秋めいた風が吹くようになってきました。ごきげんよう、椿屋です。

不思議なもので、秋は何かと郷愁を誘う季節。その空気に溶けた匂いなのか、色が移りゆく風景なのか――。今回ご紹介する『遥かな町へ』は、そんなノスタルジックな気分にぴったりの映画です。

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

原作は『孤独のグルメ』『神々の山嶺』で知られる漫画家・谷口ジロー氏の同名作品。フランスのアングレーム国際漫画祭をはじめ、イタリアやドイツなどで数々の漫画賞を受賞した世界的名作として知られています。

48歳の建築デザイナー・中原博史(大谷亮平)は、出張帰りにふと思い立ち、故郷である鳥取・倉吉を訪れます。墓参りを済ませた彼は、意識は48歳のまま14歳の身体で、なぜか昭和38(1963)年へとタイムスリップ!

本作は、人生の折り返しを迎えた中年男が、思春期の少年として友人や初恋の人と再会し、再び家族と向き合う時間を通して、自らの人生の選択を見つめ直す“大人のアオハル”を描いた物語です。

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

主演を務めた大谷亮平さんは、本作の見どころを次のように語ってくださいました。

「ここ!というシーンではなく、全編通してひとつの見どころになっている作品です。映画を観た後、きっと家族に対する想いが変化すると思いますので、自分自身や家族との関係を見つめ直すきっかけになれば嬉しいです」

昭和期の面影を色濃く残す、着物が似合う町「倉吉」

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

オーディションにて14歳の主人公役を射止めた及川桃利さん(原作のキャラクターにそっくり!大谷さんにも似ている!)をはじめとする物語の世界観を構築するのにこの上ないキャスティングに加えて、もうひとりの主人公のような存在感で物語に説得力を担保しているのが、倉吉という町そのものです。

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

玉川沿いに続く白壁土蔵に赤い石州瓦、どこか懐かしさ漂う商店街の風景など、レトロな町並みをいまに伝える倉吉は、江戸後期から明治初期の建物が現存し、工芸やアートを身近に感じられるスポットも多く、着物がとても似合う町。

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

そして、倉吉といえば――倉吉絣の産地としても有名です。

作中、主人公の祖母・静江(紀比呂子きのひろこ)が着ている衣裳も、もちろん倉吉絣!絵をそのまま織り込んだような複雑な模様が特徴の倉吉絣は、江戸時代末期からの歴史をもつ美しい織物です。

稲嶋大助が花鳥山水の絵絣を普及させ、明治時代には諸外国の万国博覧会で受賞するなど、世界中で名声を博しました。

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

娘婿の与志雄(滝藤賢一)が営む中原洋服店の片隅で機を織るシーンと併せて、静江の装いにどうぞご注目あれ。

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物語から飛び出した家族写真目当てに、ロケ地巡りを

倉吉ロケにて昭和の町並みを再現するため苦労したのが、「エアコンの室外機でした」と教えてくださったのは、本作の脚本・監督を務めた錦織良成にしこりよしなりさん。

「いまはどこもかしこも室外機だらけですから、それを隠すのは大変でした。また、白壁土蔵群の川沿いの道はアスファルトを剥いで、当時の状態を再現しています。さらには、エキストラさんが着用する衣裳を一千着ほど持ち込み、ヘアメイクも時代の流行に合わせています。体操服や水着は当時のものが手に入れられなかったため、スタッフが一から手づくりしてくれました」

加えて、戸田菜穂さんや藤野涼子さんが提げている鞄も全て当時のものを復刻したのだそう。地元全面協力のもと揃えられた衣裳や小道具の数々、じっくりとご覧ください。

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

14歳に戻っている間、たまに思わぬカタチで姿を見せる以外、大谷さんはほぼモノローグベース。

そんな大谷さんに倉吉で印象に残っていることをお訊きしたところ、面白いエピソードが飛び出しました。

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

倉吉銀座商店街にある「ミタ写真館」。店頭には、初代店主が親交のあった三國連太郎氏の若かりし頃の写真が飾られています。

ここで撮った写真をオーディションに持っていき、合格したという知る人ぞ知る写真館なのですが……。

「前を通ったときに、三國さんのお写真の近くに滝藤さんと戸田さんのお写真を見つけて。え、いつの間に?!と。滝藤さんに訊いたら、『撮ってもらったんだよ』って。それなら、平成家族も負けていられない!と、ある日の撮影終わり、閉店間際に駆け込んで、僕らも家族写真を撮ってもらったんです」

と、大谷さん。

「そのままの衣裳で撮影したんだよね。大谷さんの写真も飾ってあるので、倉吉を訪れた際はぜひ見てみてください」(監督談)

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

©2026 映画「遥かな町へ」BARCOS

最後に錦織監督から読者へのメッセージです。

「本作は、当時をご存じの方からすると懐かしさを感じると思いますが、多くの人にとってはファンタジーでしょう。タイムスリップもののエンタメでありつつ、普遍的な家族の物語でもあります。ぜひ大切な人と劇場でご覧ください」

ちなみに、物語の現代パートは平成10(1998)年の設定で、冒頭のシーンには新しくなったばかりのJR京都駅※が登場します。開業当時のホームの様子もお愉しみあれ。

※JR京都駅……現在の新駅舎は平成9(1997)年に開業。建築家・原廣司氏によって設計され、駅ビル施設としては全国最大級の大規模複合施設となっている。

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