着物・和・京都に関する情報ならきものと

安田淳一監督に直撃!スピンオフドラマの魅力に迫る BS-TBS『心配無用ノ介 天下御免』 「きもの de シネマ」番外編

安田淳一監督に直撃!スピンオフドラマの魅力に迫る BS-TBS『心配無用ノ介 天下御免』 「きもの de シネマ」番外編

記事を共有する

2024年、たった1館の上映からスタートした『侍タイムスリッパー』は、自主映画ながらアカデミー賞受賞という異例の快挙を成し遂げました。その話題作の劇中劇が、今夏、スピンオフドラマとして現実に!ロケ地の太秦映画村で、安田淳一監督にお話をお聞きしました。

こちらも公開中!

2026.06.19

カルチャー

時代と身分を映し出す四季の着こなし『黒牢城』 「きもの de シネマ」vol.79

興行収入10億円超!時代劇コメディ『侍タイ』

みなさま、ごきげんよう。椿屋です。

7月16日からスタートする連続時代劇『心配無用ノ介 天下御免』の放送を前に、作品のメインロケ地となった「太秦映画村」にて、監督・安田淳一さんにお会いしてきました。

まずは、映画『侍タイムスリッパー』についてのおさらいから。

本作は、“時代劇の聖地”である東映京都撮影所の全面協力のもと、脚本・カメラ・編集などひとり11役をこなす安田淳一監督が自費を投じて製作された自主映画です。

©2024 Samurai Time Slipper. All Rights Reserved.

©2024 Samurai Time Slipper. All Rights Reserved.

2024年夏、池袋シネマ・ロサのみで封切られたにもかかわらず、口コミであっという間に全国300館以上へと上映拡大。

『侍タイ』の愛称で親しまれ、リピーターが続出するなか、第48回日本アカデミー賞最優秀作品賞の栄光に輝き、大きな話題となりました。

©2024 Samurai Time Slipper. All Rights Reserved.

©2024 Samurai Time Slipper. All Rights Reserved.

幕末の会津藩士・高坂新左衛門(山口馬木也まきや)が藩命にて長州藩士・山形彦九郎(冨家ふけノリマサ)を襲撃した夜、新左衛門は落雷によって現代の京都・撮影所にタイムスリップしてしまいます。

元の世界に戻る術も分からず、侍としての使命を果たせぬことを悟った新左衛門が、記憶喪失になった役者と勘違いされながら、得意の剣術を活かし「斬られ役」として生きていくため奮闘する物語です。

『侍タイ』劇中劇がまさかのスピンオフドラマ化

その『侍タイ』の劇中劇が、今夏、奇跡の外伝ドラマ連続時代劇『心配無用ノ介 天下御免』としてBS-TBSに登場します。

©「心配無用ノ介 天下御免」製作委員会

©「心配無用ノ介 天下御免」製作委員会

主演は、映画でも同役を演じた田村ツトムさん。

物語の舞台は、江戸。貧困にあえぐ庶民らを尻目に暴利を貪る悪党たちを、正義の侍・心配無用ノ介が、仲間たちと共に懲らしめる痛快!勧善懲悪時代劇です。

特別キャストとして、映画で主演を務めた山口馬木也さんやライバル役として登場した冨家ノリマサさんをはじめ、名バイプレーヤーとして知られる本田博太郎さん、大竹修造さん、竹中直人さんら豪華怪優陣も出演します。

©「心配無用ノ介 天下御免」製作委員会

©「心配無用ノ介 天下御免」製作委員会

「舞台挨拶を重ねるなかで、田村さんが登壇すると『京さまぁー!!』って声が飛び交うことにビックリしました(笑)」

と、安田監督はスピンオフ企画のきっかけについて振り返ります。

「京さま」とは、田村さんが演じた錦京太郎のこと。

監督曰く、

「ご年配の女性たちからの、黄色い……いや、茶色い(笑)声援を聞いて、京太郎がこんなにも愛されてるキャラクターなんだと知りました。普段は真面目な好青年の田村さんがスター気取りでファンサービスしている姿を見ながら、これは面白い、イケるな!と思ったんです」

©「心配無用ノ介 天下御免」製作委員会

©「心配無用ノ介 天下御免」製作委員会

「将軍の弟である京太郎は、世の中に疎くて、ちょっとボケてるところが魅力。下戸で、甘いものに目がない愛すべきキャラクターです。そんな京太郎を、田村さんは嬉々としてイキイキと、調子に乗って(笑)やってくれました」

監督が絶賛する心配無用ノ介の活躍に、期待が膨らみます。

ロケ現場を一般公開!ファンからの応援を力に

映画に引き続きメガホンを取った安田監督は、ドラマでも脚本・撮影・編集を担当。相変わらずの超人っぷりで現場を率います。

ケ風景

去る3月28日にクランクインした本作は、「太秦映画村」のリニューアルオープンに合わせて公開撮影が行われたという点でも、かなりの意欲作。

新しくなった村内で連続時代劇の撮影風景が見学できるとあって、ロケ日には多くの観客が詰めかけ、現場はキャストやスタッフも驚くほどの熱気に包まれていました。

かく言うわたくしも、初日と二日目にちゃっかりお邪魔してきました☆

ロケ風景

厳しい暑さを物ともせず、見学者たちが見守るなか、何度も同じシーンが繰り返されます。

オーダーを重ねながら微調整し、テストに続いての本番。監督が臨む画のため、俳優およびスタッフ陣は集中力を保ちながら、ブラッシュアップに余念がありません。

ロケ風景はテストと本番以外は、撮影OK&拡散大歓迎!という太っ腹さ。いざカメラが回ると、その場にいる面々が静かに進行を見守ります。

それは、出演者とて同じこと。カットがかかれば緊張は少し和らぎ、次のシーン撮影のため、にわかに慌ただしくなるのも、生で撮影現場を見物する醍醐味です。

出番のないときは、仲間たちの仕事ぶりを真剣な表情で見つめていた田村さん

出番のないときは、仲間たちの仕事ぶりを真剣な表情で見つめていた田村さん

「立ち回りのシーンに苦戦するなど、撮影はけっこう時間がかかりました。ずっと何回も同じことを繰り返しているのに見てて面白いんかな?という僕の心配をよそに、中には朝から夕方まで見続けてくれる熱心なファンもいて、真っ直ぐな眼差しでの応援にアツいものが込み上げました」

と、監督自身初めてとなる試みを振り返り、

「このドラマは、『侍タイムスリッパ―』を愛してくれるファンの方々への恩返しです」

と語ってくださいました。

ドラマロケ風景の貴重なオフショットたち

安田監督&田村ツトムさん

撮影中、ファンサに余念がなかった安田監督と主演の田村さん。「ファンへの恩返し」をしっかり体現されていました。

ロケ風景

照明さんの背中には『侍タイ』!

熟練の職人さんたちがそれぞれの持ち場で無駄なくキビキビと為すべきことを為している姿は、見ていて惚れ惚れします。そこに作品への愛が垣間見られればなおさら。

安田組の一体感と団結力に感じ入る現場でした。

帯は引き抜き結びや矢の字結びで

帯は引き抜き結びや矢の字結びで

揃って笑顔を向けてくださった町娘たち。熱中症対策に水分補給をしながら、それぞれの出番を待っておられました。

田村さんバックショット

やっぱり萌える、“京さま”こと田村さんの後ろ姿!

着物の柄とリンクする色合いの角帯を浪人結び(片ばさみ)にし、腰には印籠を提げて。二本挿し、手には菅笠。これぞ、ザ☆侍の着流しです。

懐手で歩く姿も粋で、振り返るだけのちょっとした仕草も様になっているのは流石でございました。

“世界のシライシ”の現場から得た学びを活かす

本作は全6話の連続ドラマ。各回、様々な趣向が凝らされ、時代劇に馴染みのない人や映画『侍タイ』未修者でも、愉しめる作品になっています。

中でも、第2話は“世界のシライシ”として知られる白石和彌監督(『凶悪』『孤狼の血』など)が演出を担当。

「白石監督の現場は面白い体験でした。カメラを回しながら、彼のやり方を間近で見ることができて本当によかった。学ぶことも多く、欲しい画を撮りつつ定刻で終えられるようになるなど、僕自身のディレクションにも変化が生まれました」

と、目を輝かせる安田監督にとって、良き刺激になったようです。

安田監督&白石監督

白石監督(写真左)が担当した回、安田監督はカメラマンに徹した

スケジュール通りの進行を心掛けるようになった監督でしたが、ある日、1時間も押した上に撮り洩れもあったときには、「いやあ、落ち込みましたよ」と苦笑。

「第5話を撮るときに、冨家さんの衣裳を見た瞬間に、『ちょっとこれちゃうわ』と思って。最初のカットを撮る前からいきなり衣裳チェンジしたんです。それに45分かかってね。

元々の衣裳も僕が選んだものだけど、ちょっと濃い目の灰色がかった鶯色が囚人みたい見えて。高貴な身分の人には相応しくないな、と。

選んだのも、替えたのも僕の責任で、グダグダになってだいぶ落ち込みました。でも、翌日はビシッと予定通り終わって。あまりに嬉しくて、クランクアップかってくらい盛り上がりました(笑)」

レンズの前にあるものにこだわりをもって臨む

監督が衣裳を選ぶ上で心掛けていることを訊けば――

「まずは、渋めの地味な色味を選ぶようにしています。原色の黄色や、明るい水色は避けますね。使い古した感じのリアリティあるものを選びたい。個人的には茶色や臙脂は好みではないので、そういう色は外すようにしてもらっています」

と監督。

インタビュー風景

「そうはいっても、数が増えてくると派手な色や明るめの色が入ってくるのはしょうがないなと飲むときもあるんですが……。映るものにこだわりをもつというのは大事なこと。

カメラのレンズそのものに100万かけるなら、そのレンズの前にあるもの――俳優さんや衣裳に100万かけた方が、作品としてはグッと良くなると思っています。

だから、僕のこだわりについて、もう少し丁寧に衣裳さんに話してちゃんとミーティングしておくべきやったな、という反省はあります。これは次に生かしたいですね」

監督が「なんかちゃう」と直感的に判断した冨家ノリマサさんの衣裳については、ぜひ第5話放送回にてご覧あれ。

=監督と

撮影場所までの移動中、監督とのワンシーン。髪色に合わせた帯は、京都きもの市場で出合った結城紬の名古屋帯

昔ながらの勧善懲悪な時代劇が民放に蘇る――時代劇好きなら喜ばずにはいられない挑戦です。

新しく生まれ変わった「太秦映画村」と併せて、『侍タイ』ファンの京さま愛に応えるためにつくられた『心配無用ノ介 天下御免』の世界を、とことん愉しんでください。

インタビュー撮影/松村シナ
ロケ撮影/椿屋

2025.09.01

カルチャー

ってた?べらぼうなお江戸話

2026.03.29

ファッション

徒然雨夜話ーつれづれ、あめのよばなしー

シェア

BACK NUMBERバックナンバー

LATEST最新記事

すべての記事

RANKINGランキング

  • デイリー
  • ウィークリー
  • マンスリー

HOT KEYWORDS急上昇キーワード

記事を共有する