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シャンシャンと鈴の音響く、御靈神社にて。〈五月 神楽鈴〉「日本画家・定家亜由子 帯のたもとに隠す花」vol.5

シャンシャンと鈴の音響く、御靈神社にて。〈五月 神楽鈴〉「日本画家・定家亜由子 帯のたもとに隠す花」vol.5

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日本画家・定家亜由子さんが届ける、扇のかたち(扇面)に閉じ込められた月々の自然たち。今月の作品は、御靈神社の御朱印を彩る銀杏の枝を描いた『神楽鈴』です。歴史あるお祭り、境内に咲くイチハツの花と共に、5月ならではの「美」をお愉しみください。

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一年で最も愛する五月、浮き立つ祭の季節

五月になりました。野山と木々の色が美しく、世界が明るく鮮やかな色にあふれて、私の一番好きな季節です。一年に一度、開催する個展も、この大好きな五月と決めています。

五月の京都には、伝統ある祭りが各所で開かれます。日本三大祭のひとつ「葵祭」も毎年楽しみですが、私にとって特に思い入れがあるのは、上御霊神社の「御靈祭」です。

お神輿

拝殿に並ぶ、三基の神輿。末廣の神輿(写真中央)は、「えらいやっちゃ」の掛け声と共に毎年行列の最後を行く

2025.05.25

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正式には御靈神社ごりょうじんじゃ。
寺町丸太町にある下御霊神社しもごりょうじんじゃに対して、「上御霊神社かみごりょうじんじゃ」の名で親しまれています。

平安遷都の際、早良親王らの御神霊を鎮めるため桓武天皇によって創建されたと伝わる古社で、皇室の産土神として、代々天皇の崇敬を受けてきました。

御靈祭の還幸祭は、祭礼として最古の御霊会を今に伝えるとされています。前日の宵宮祭には境内が賑わい、御神輿・御所車・剣鉾などが氏子地域を練り歩く様子は、まるで平安の絵巻物を見るようです。

何度拝見しても見惚れてしまうのは、400年前に後陽成天皇・後水尾天皇から寄進されたという、美しいお神輿。御靈祭のお神輿は、御苑への入場を許された、ただひとつの祭礼でもありました。

祭風景

5月1日の神幸祭に始まり、17日の宵宮、18日の還幸祭が執り行われる

シャンシャンと鳴り響く、鳴鐶なりかんの音。

すっかり暗くなった頃、午後一時に神社を出発した三基の御神輿が京都御所から御靈神社へ戻り、最後の力を振り絞って神前に勇壮な差し上げをする——その姿には、なぜなのか心が震えて、いつも涙が出てしまいます。

神楽鈴の音を想う、銀杏の枝をモチーフに

さて、今回の扇面画は、御霊神社で写生をさせていただいた銀杏の枝をもとに日本画に描いたもの。境内にお祀りされる厳島社・神明社のすぐそばに立つ樹です。

神楽鈴や鈴の音のイメージと重なって、『神楽鈴』というタイトルを選びました。

御朱印

photo by あかつき写房 川島龍佳

原画は、皆様が集う場所にとても素敵に飾っていただいています。

そこは、お祭りやご神事にむけて御霊太鼓の練習も行われているところ。早速、御霊太鼓を習うお子さんたちが気づいてくれて、それを聞いた親御さんからご連絡をいただくという、嬉しい知らせもありました。子どもたちの御霊太鼓に、銀杏の鈴がシャンシャンと——絵もさぞ楽しいことでしょう。

最後に、とても素敵なお話をひとつ。

昨年、御靈神社に記念すべき出来事がありました。地下鉄が引かれて以来、長く枯れてしまっていた井戸のお水が、清らかに豊かに復活したのです。場所は、この銀杏の木のすぐ近くの地下水から。

お祝いの直会なおらいでいただいた、そのお水で炊かれたご飯、お出汁のお味噌汁、わらびもち——そのどれもが美味しく、からだがすっと清くなるようで、こころもにこにこになりました。水とは、本当に不思議なものです。この水の復活には、他にも素敵なエピソードがたくさんあるそうで、またの機会にゆっくりと綴ることができたらと思っています。

早苗月の亜由子好み

今月のお気に入りは、御靈神社境内とその周辺のお堀に咲くイチハツの花。

イチハツの花

境内に咲くイチハツの花。鳥居の朱と花弁の紫、木々の緑が調和する

アヤメの仲間で一番初めに咲く花、イチハツ(一初)。五月の御靈神社境内を彩る紫の点描のような風景も、外堀を囲むように広がる群生も、私の大好きな景色です。

神社の周囲を歩くと、しなやかな曲線を描く水路の跡に気がつきます。イチハツが咲くこの場所は、戦前まで水が流れ、四季咲きの燕子花かきつばたが咲いていたそうです。当時の風景を偲び、湿地でなくても育つことのできる、燕子花かきつばたに似たイチハツが植えられた——そんな経緯があるそうです。

イチハツの花

イチハツは、茅葺屋根に植えると風や火事を防ぐと信じられていたという

有志「いちはつの会」の方々が大切にお世話をしてくださっていて、五月のお祭りの時期に開かれるイチハツの苗やコケ玉の頒布会も、毎年私が楽しみにしている五月のイベントのひとつです。

【告知】

好評!開催中  

白沙村荘造営110年特別企画 『定家亜由子の花まんだら 京都と手しごと展』

期間:2026年 5月2日(土)〜5月24日(日)
会場:白沙村荘 橋本関雪記念館 MUSEUM Ⅱ 
住所:京都市左京区浄土寺石橋町37
電話:075-751-0046

新作を中心に、老舗企業や職人らとのコラボレーション作品が展示される。花やいのちと向き合う「写生」を制作の根幹とし、相対する美しさと自身との境界線をなくすことを目指して描き続けてきた日本画家・定家亜由子の新たな活動の歩みと共に、山滴る五月、名園としても知られる白沙村荘にて、日本の手しごとと精神文化が現代に息づく姿が体感できる展覧会だ。

白沙村荘 橋本関雪記念館

白沙村荘 橋本関雪記念館

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定家さんプレゼント画像

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構成協力/椿屋

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