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『連獅子』役者自身にも通ずる、親子の情愛と絆 「十倍おもしろい!?歌舞伎ど定番演目大解剖」vol.3

『連獅子』役者自身にも通ずる、親子の情愛と絆 「十倍おもしろい!?歌舞伎ど定番演目大解剖」vol.3

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紅白の長い毛を振り回すことでお馴染みの演目。父が導き、子が遅れまい、合わせようと必死に喰らい付いて完成する獅子の舞は、芸の伝承に伴う苦難の道のりを舞踊の形をとって見せてくれているようで感動します。

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歌舞伎初心者にも有名な『連獅子』

きものとをご覧の皆さん、こんにちは。tomekkoです。

いよいよ春らしい気候になってきて、お着物でのお出かけもしやすく、また出かける先も増える時期ですね。

今回ご紹介する“ど定番演目”は、歌舞伎に詳しくなくても絶対知ってる!海外でも“THE KABUKI”なイメージのあるこちらです!

十倍おもしろい!?歌舞伎ど定番演目大解剖1

紅白の長い毛を振り回すことでお馴染みの『連獅子れんじし』。

こんなにも派手なパフォーマンスで有名な演目ですが、実は、元は能をベースにしたお話なんです!

謡曲『石橋しゃっきょう』を題材に、親獅子が千尋の谷に子獅子を落とし、這い上がってきた子を育てるという伝説を舞踊で表現したもので、「松羽目物まつばめもの」と呼ばれます。

能をもとにしているので能舞台を模した老松を背景に置き、衣装も能装束を思わせる張りのあるものですね。

獅子の親子が表現する厳しい子への試練。また、それを乗り越えた親子の深い情愛や絆。

これらは舞台だけに留まらず、親から子へ名と芸を継いでいく歌舞伎役者自身にも通ずるもの。実際、紅白の獅子は親子で演じられることが多いため、ファンにとっては嬉しいお披露目という部分もあるんですね。

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一般的には、アイコニックな隈取を施し、大きく長い毛のかつらを被った紅白の獅子が「毛振り」と呼ばれるダイナミックな技を披露するクライマックスが有名な連獅子。お話としては3部構成になっています。

十倍おもしろい!?歌舞伎ど定番演目大解剖2

序盤は、右近と左近という親子の狂言師の舞踊。紅白の獅子頭を手に、前述の謡曲『石橋』の様子を表現しています。

それ牡丹は百花の王にして 獅子は百獣の王とかや――

これ、聞いたことありませんか?

古来より獅子(唐獅子)のそばに描かれていることが多い牡丹。『石橋』でも、大輪の牡丹の中で勇壮に舞う獅子の姿が描かれています。

でも……虎だったら龍と対になるのに、なぜ獅子は恐ろしい顔をしながら艶やかな花と並べられるの?と違和感を持ったことがあるのは私だけではないはず!

花の王と獣の王。同じナンバーワンとして並べられている……だけではないんです!

中国の故事で「獅子身中の虫」という伝承があります。食物連鎖の頂点であり無敵の王者、獅子ですが、実は一つだけ弱点が……それはなんと小さな小さな「虫」(おそらく寄生虫ですよね)。この虫を退治する霊薬というのが牡丹の花に溜まる夜露だというのです。だから獅子は牡丹のそばを離れない。

これが獅子と牡丹がセットになる理由なんですって!舞台にも紅白の牡丹が華やかに飾り立てられ、後半では獅子が牡丹の枝を持って踊るシーンがあったりと重要な役割を持っているのです。

さて、話を戻して……

狂言師の舞う親子獅子の舞では、谷に突き落とした子獅子がなかなか上がってこないので心配そうに谷底を見つめる親獅子の姿。役者自身の子を想う心理に重なります。

そうして踊っているうちに、狂言師親子には獅子の精が宿ります。獅子への着替えの幕間を楽しませるのは「間狂言」と呼ばれるお芝居。

二人の僧が現れ、いわゆる宗派争いをするのですが、先ほどまでの舞踊とは打って変わってコミカルなムード。ここはリラックスして楽しみましょう。

そしてその後、ついに獅子の姿になった親子の出番、クライマックスです!

親子獅子のダイナミックな「毛振り」に感動

十倍おもしろい!?歌舞伎ど定番演目大解剖3

この「毛振り」。ただ振り回すのではなく、重さ3キロ長さ2mもの毛束を、二人が息を合わせタイミングよく右に左にと自在に操ります。まるで毛に命が宿ったように動かすのには凄まじい訓練が必要です。

毛振りには腕や首の力ではなく、体幹の強さが重要になるそうです。長時間大きく振り続けるので、腰を軸に腹筋・背筋を使いながら大技を完成させていきます。

特に子獅子役となる役者は早ければ10歳前後とまだまだ幼いので、観る方もその厳しい訓練を思うと親側の気持ちになって(がんばれ、がんばれ!)と心の中で応援しちゃいますね。

振り方にも種類があって、

・上下に振る「縦振り」 ※「菖蒲打ち」とも呼ばれる
・前に垂らした毛を地面に這わせながら左右に振る「髪洗い」
・毛がぐるぐると宙に舞う大技「巴振り」

など、知っておくと楽しみ方の幅も広がります。

見どころはもちろん、親子獅子が息を合わせて行う「毛振り」そのものではありますが、父が導き、子が遅れまい、合わせようと必死に喰らい付いて完成する獅子の舞は本当に、役者さんたちの、普段は表には見せない芸の伝承に伴う苦難の道のりを舞踊の形をとって見せてくれているようで感動します。

初心者向けの定番演目でありながら、そのまま屋号ごとファンになってしまう可能性も高く、沼要素が満載です。

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そんな連獅子を着物で観に行くなら?

せっかく華やかな演目なので、客の方もド派手にいっちゃっていいんじゃないでしょうか!? 海外からのお客様も多そうなことですし、大輪の牡丹と蝶の鮮やかな着物、とかね。

獅子柄の帯まで揃えたら迫力満点! 派手着物には帯も地味にしないで思い切った方がバランスが取れたりしますよ(ただしヘッドドレスなどは後ろのお客様がいるので控えめにね)。

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牡丹といえば初夏ではありますが、吉祥柄なので春先でもOK。4月2日から歌舞伎座で『四月大歌舞伎』があり、連獅子も演じられるのでぜひ。

親子の絆、情愛……と語ってきましたが、実は4月の歌舞伎座では尾上右近さんと尾上眞秀くんという、いずれも父が歌舞伎役者ではないお二人のコンビで演じるので大注目です。

お互いの境遇があるからこそ息をピッタリと合わせられる、そんな友愛の連獅子、ぜひ見に行ってくださいね。

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