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世界の布を日本の暮らしでまとう アニバーサリーブック『PONNALET  布をまとい、布をいかす』 「きものと編集部の注目アイテム」vol.6

世界の布を日本の暮らしでまとう アニバーサリーブック『PONNALET 布をまとい、布をいかす』 「きものと編集部の注目アイテム」vol.6

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25周年を迎えたブランド「PONNALET(ポンナレット)」が、アニバーサリーブック『PONNALET 布をまとい、布をいかす』を上梓。ラオスやカンボジアの女性たちによって織り上げられた美しい布を、私たちの日常に寄りそう着物や帯、小物に昇華させ、着物ファンを魅了してきた主宰の江波戸えばと玲子れいこさん。その道のりを伺います。

2025.07.28

ファッション

浴衣を年中、楽しもう。 着物インフルエンサー・さんかくさんの浴衣本『さんかく浴衣のススメ』「きものと編集部の注目アイテム」vol.5

軌跡を編んだ本『PONNALET』を通して、世界の布を見る

『PONNALET 布をまとい、布をいかす』江波戸玲子・著 4,180円(税込)

『PONNALET 布をまとい、布をいかす』江波戸玲子・著 4,180円(税込)

伝統、織物、発展途上国。こうしたワードに自分との距離を遠く感じてしまう人は少なくないのでしょうか。しかしこの本はそういった方にこそ、ぜひ手に取って欲しい一冊です。

本書では、1章で世界各地の織物工房について、2章では各地の布を普段着として「まとう」ことの思いと姿、3章ではPONNALETを取り巻く世界や空間について、魅力的な写真と共に紹介されています。

読み終えると、前述したワードを遠い国の出来事ではなく、1枚の布やひとりの人生として親しみを覚えていることに気付きます。同時に、素敵な布を身にまとうことの美しさや、自らの暮らしと時間に思いを馳せ温かい気持ちに包まれる、物語のような一冊です。

江波戸 玲子さん

江波戸 玲子さん

江波戸さんと一緒に各地の工房を巡る

鮮やかなブルーの表紙をめくるとまず広がるのは、ラオス、カンボジア、インド、イタリアなど、各地の人々とともにある工房の風景です。

布を織る工房のようす、はたを並べて糸を扱う人々の表情、工房を見渡す江波戸さんの姿、土地の夕暮れ。ページを繰りつつ眺めるだけで、まるで江波戸さんと一緒に旅をしているかのような体験ができます。

まるで江波戸さんと一緒に旅をしているかのような体験ができます

もの作りに邁進していた江波戸さんが書籍を作るに至ったのは、コロナ禍に活動の節目が目前となったことがきっかけでした。

「人生ではじめて、気持ちが前に進めない時期がありました。今考えるとコロナの後遺症の影響もあったと思うのですが。ただ、もし活動を終えるにしても、私たちがやってきたことを知ってもらえたら、と思ったんです。それで本を作ることにしました。活動が25年を迎える頃のことです」

関わってくださったすべての人の顔を思い浮かべながら本を作ったそう。目指したのは「読んで楽しい本」。

発展途上国であるラオスやカンボジアへ長年通い、技術的指導やNPO活動のサポートも手がけた江波戸さんですが、根っこにあるのは「着物を楽しむ」、という思いでした。

江波戸さんの語りの端々からも、そのスタンスが伝わります。発展途上国支援やエコの観点を前面に叫ぶのではなく、大切に育まれた布文化を魅力的に楽しく伝えようと、暮らしと人々の姿を礎に語る口調からは愛を感じます。

まさにその狙いどおり、本書を読んでの感想は「着物ってやっぱり楽しい」「着物の楽しみ方はまだまだこんなに幅広い」と思わせてくれるものです。

贅沢に写真のスペースが取られており、まず目を楽しませてくれる構成

贅沢に写真のスペースが取られており、まず目を楽しませてくれる構成

江波戸さんの元にも同様の感想が届いているそう。

「スキマ時間に眺めるだけでワクワクしたり、泣けたり。癒される本です」

「お部屋に置いて、パラッと途中のページを見るだけで、気持ちがその国に飛んでいけるよう」

心の色んな部分に揺さぶりを掛けられる本ということが分かります。

2025.07.04

エッセイ

織の原点・ラオスで作った帯のお話 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.8

2025.07.06

カルチャー

ヒンディスタン・ジャーニー ジャイプール編 「忘れえぬこと その3」貴久樹・糸川千尋

発展途上国で出会い直した「着物」惹かれてまっしぐら

意外にも江波戸さんが着物に目覚めたのは、ラオスやカンボジアに関わることになった後のことでした。

幼少期にテレビ番組の影響で世界に興味を持ち、CAの職を経てアメリカに住んだ江波戸さん。文字通り世界を飛び回っていました。

「あの頃は日本のものにはまったく興味がなかったんです」

という言葉からも、江波戸さんの視線は世界に向いていたことが分かります。

そんななか、以前から興味を持っていた発展途上国支援をはじめた江波戸さん。出会った日本人ジャーナリストが「日本にいる時は着物を着ている」と耳にします。世界を股にかける人にも親しまれている着物。自国の文化に心が動かされた瞬間でした。

『PONNALET 布をまとい、布をいかす』

姉が日本舞踊をやっていて実家に着物は数多くあったのですが、見向きもしなかったこれまで。実は人生のそばにあったものでした。

そこからの行動は江波戸さんらしいものでした。雑誌で見かけて一目ぼれをした着物屋さんの元を訪ね、着付けの先生を紹介されます。

着物の畳み方すら知らないゼロの状態から、いきなりトップランナーの門を叩き、着物の世界に飛び込んでいきました。

ラオスやカンボジアの暮らし、営みから生まれる美しさ

25年間ラオスやカンボジアと関わる中で、江波戸さんの心に残っているのは「布を作っている風景そのもの」と話します。

『PONNALET 布をまとい、布をいかす』

逆に大変だったことは、と聞くと、ラオスでトラブルに見舞われた際のことを語ってくれた。同時に、現地大使館や警察官の女性職員が身に着けていたシン(民族衣装。筒状の巻きスカート)が美しかった、とも語る、どこまでも視点が豊かな江波戸さん

「カンボジアの織物が盛んな土地では、高床式の家のほとんどにはたがありました。そこで織られているのは、日本では人間国宝になるような素晴らしい絣。でもその機のすぐ横には牛舎があったり、鶏がコケコッコーって走っていたり。お母さんが赤ちゃんを寝かしつけていたり。そうした生活の中で美しいものを織っているんです」

特別なアトリエではなく、日々の暮らしの営みの中でごく自然に、そしてニコニコと楽しそうに美しいものが生まれていく。その光景に、江波戸さんは心を揺さぶられたそう。

「素晴らしいものが暮らしと共にあることを皆さんに知っていただきたい。そう強く思いました」

2025.07.28

着物でおでかけ

京都できもの、きもので京都

2025.07.06

エッセイ

古谷尚子がみつけた素敵なもの

世界のかけらを集め、新たな命を吹き込む江波戸さん

PONNALETの作る着物、帯、小物は、異なる国の、個性豊かな布たちを自由に組み合わせて使ったものばかりです。代名詞ともいえるのが、様々な布をはぎ合わせた「きりばめの半幅帯」。

この帯はPONNALETのアイコニックなアイテムとして根強い人気を誇っており、本書の表紙のモチーフとしても表現されています。

この帯はPONNALETのアイコニックなアイテムとして根強い人気を誇っており、本書の表紙のモチーフとしても表現されています。

中央のデザインは1冊ずつ手作業であしらわれている。表紙は5種類の中から好きなものをチョイスできる

不思議とどんな着物にもマッチすることで人気の帯。しかし、織られた国の違う布の組み合わせは、一見ぶつかり合いそうなものですが、表紙を見るとわかるように、意外なほどに違和感なくまとまっています。

「きりばめ半幅帯」を通して、各国の織物を笑顔で身にまとっている人が大勢いる

「きりばめ半幅帯」を通して、各国の織物を笑顔で身にまとっている人が大勢いる

これらを見事に繋ぎ合わせているのは、PONNALETオリジナルで染め上げた無地布の存在です。柄と柄の間に絶妙な色合いの無地を挟むことで、全体がすっとまとまり、主役である柄が一層引き立っています。

ただ価値ある布を散りばめているだけではない、かすがいとしての無地を介在させるセンスこそがPONNALETの魅力。懐深い無地こそ、多様な文化や人々を受け入れ、調和させる江波戸さんの眼差しそのもの。

表紙に差し込まれた深みのある無地の絣や、表紙の鮮烈なブルーが江波戸さんの笑顔と重なります。

2024.02.04

インタビュー

結城紬でおもてなし feat.和田明日香「きもの、着てみませんか?」 vol.7-1

◆書籍情報◆

『PONNALET 布をまとい、布をいかす』江波戸玲子・著 4,180円(税込)

『PONNALET 布をまとい、布をいかす』
4,180円(税込)

PONNALETの展覧会やオープンギャラリーでの販売、もしくは公式通信販売のみ。
通信販売をご希望の方は、以下メールアドレスに購入希望の連絡を
info@ponnalet.com

2025.07.07

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