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現役芸妓が屋形のおかあさんに! 祇園甲部・豆千鶴さんの新たなる挑戦 「令和の芸舞妓図鑑」特別編

現役芸妓が屋形のおかあさんに! 祇園甲部・豆千鶴さんの新たなる挑戦 「令和の芸舞妓図鑑」特別編

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特別編第4弾は、2025年最後の通常版に引き続き、現役芸妓ながら新しく置屋「野村」を構えた豆千鶴さんが登場です。祇園町への恩返しとして始めた置屋の女将業。オープンするまでの苦労、スタートしてからの喜びなど、豆千鶴さんの本音に迫ります。

2025.12.15

カルチャー

芸に秀で人望厚い、真の名妓 祇園甲部・豆千鶴さん 「令和の芸舞妓図鑑」vol.22

芸妓を天職だと胸を張れる幸せ

中学2年のとき、地元で開催された京都物産展の会場で舞妓さんに出会った豆千鶴まめちづさん。「こういうお仕事もあるんやと思いました」と、当時を振り返ります。

着物スタイリストだった母の影響もあって幼い頃から着物に親しんでいた彼女は、その母の力強い後押しを得て花街へとやってきました。

見世出しからまもなく37年。この仕事以外の未来を考えたことはなく、辞めたいと思うこともなく、「天職やと思います。幸せどすね」と、きっぱり。

渉成園の中心となる広大な「印月池」の前にて

渉成園の中心となる広大な「印月池」の前にて

そんな豆千鶴さん、現役の芸妓にして屋形(置屋)を立ち上げたばかり。これは異例のことです。

「置屋のするにあたって祇園甲部の役員の方々との会議があり、そこで、うちが置屋をしてもええのかが決まります」

屋形の運営をひとりで担うことは難しいため、人手や設備の面に関しても厳しいチェックがなされます。それをクリアして、“置屋の女将”と認められるのです。

「本名からとって、屋号は『野村』にしました」

これほどまでに開けた空の下、自然を全身で感じられるスポットは稀少

これほどまでに開けた空の下、自然を全身で感じられるスポットは稀少

開業1年未満で6名の仕込みさん!

芸妓としてのお仕事を続けつつ、バー「光貴」を経営し、さらには置屋業まで。身体がいくつあっても足りません。

「いまが頑張りどきどすねぇ」

軽やかに、朗らかに。口で言うほど容易なことではないはずですが、豆千鶴さんにかかれば、大したことがない話のよう。

縁あって元は料理屋だった場所に置屋を構えることになり、工事が始まったのがコロナ禍中でした。2025年1月には、通いで初の仕込みさんを受け入れ、あっという間に6人の仕込みさんを抱えるほどに(2025年11月現在)。ご紹介もあれば、いまどきはサイトなどを見て自分で調べて連絡をしてくるケースも。

「最初は、ひとりやったら可哀想やしふたりぐらいは……と思てて。せやけど、ご縁のあった子がいて、ひとり増え、ふたり増え。地方さんの子もひとりいます。そのうちの二人が、今年の2月21日にお見世出しが決まりまして、一緒にデビューすることになりました」

木造の反橋「侵雪橋」を渡る姿も画になる1コマ

木造の反橋「侵雪橋」を渡る姿も画になる1コマ

いま祇園町の舞妓さんは11名。「これまでそんなに少なかったことがなかった」と、豆千鶴さんは振り返ります。

「これはもう祇園の危機やと思うたので、仕込みさんは一人でも多い方がええかな、と。うちにとって芸妓は天職どす。祇園町に一生いてたいと思てます。だからこそ、育てていただいた町に恩返しせなあかんと思て、気張らしてもうてます」

大好きな祇園町にひとりでも多くの舞妓を

十代の女の子を仕込みとして引き受けるのは、それ相応の覚悟と責任が必要です。そのため、面接では必ず親御さんとも丁寧に話をし、一人ひとりと向き合います。

「なかなか上手に喋られへん子もいますし、大人しくて言葉数の少ない子もいます。第一印象というか、インスピレーションも大事どすけど、短い時間で決められるもんでもなければ、やってみんことには分からへんこともありますから。これもご縁やなと思て対応させてもらいます。

何より大切なんは、その子の気持ち。どうしてもなりたいって強い気持ちで来はる子もいはるので、その想いに心打たれて受けたげよかと思たこともありますね」

杮葺の屋根を持つ橋「回棹廊」にて。「渉成園」はフォトスポットが盛りだくさん!

杮葺の屋根を持つ橋「回棹廊」にて。「渉成園」はフォトスポットが盛りだくさん!

それだけ強い気持ちをもって花街へやってきても、皆が皆、舞妓として活躍できるわけではありません。

「この子は絶対舞妓さんに向いてるなと思う子でも、もったいないけど辞めてしまうこともありますし……こればっかりは、分からしません。去年は、舞妓さんとして出られた子が一人だけで、同期は彼女含めて7人いたんどすけどね」

芸の道を極めるのは簡単な世界ではない、と改めて感じさせられます。

色づき始めた紅葉を愛でながら

色づき始めた紅葉を愛でながら

「高校を卒業してからの子もいますし、通いやと14歳の中学生もいてます。その子は学校にも舞妓になることは言うてるさかい、授業は融通してもらってお稽古に来てくれてます。いま期末試験中なんです~とか、言うてますね(笑)」

慈しみをもって邁進する女将道

「縁あって来てくれた子らが活躍してくれたらええな、と願うばかりです。結婚して辞める子もいてますけど、旦那さんと来てくれて幸せそうにしている姿を見たらよかったなと思いますから」

という豆千鶴さんの言葉には、受け入れる仕込みさんに留まらず、祇園町全体の後輩たちに向ける慈しみがあふれていました。

芸舞妓として長く続けられる条件は、と問えば――。

「芸のお稽古はもちろんどすけど、お座敷での気配りも大切なお仕事のひとつどす。いろんなお客様にご贔屓にしてもらわんとあかんので、お客様の気持ちや立場になって動けることが一番大事やと思うてます。自分にとって、好きなお客様ばかりやおへんので、いかに上手に対応できるかも長く愛されるためには必要なことどすね。やっぱり好きでないと続かへんし」

とのこと。

――この仕事を辞めたいと思ったことは?

「そういうことはありませんねぇ」

――仕事で嫌なこともありますか?

「そりゃ、ありますよ!」

――ストレスは何で発散されますか?

「お酒どす。お酒でリフレッシュ! 毎晩呼ばれてます(笑)」

――舞妓に英語教育は必要でしょうか?

「話せるに越したことおへんし、喋れるならその子の個性になりますし……。まあ、『サンキューどっせ』くらいがちょうどええんとちゃいますか(笑)」

などなど。どんな質問にも豆千鶴節のお答えで、撮影現場を楽しい空気で満たしてくださった豆千鶴さん。

京都タワーを借景に。水面に映る景色も風情がある

京都タワーを借景に。水面に映る景色も風情がある

最後に、来年2月にふたりの見世出しを控えて怒涛の日々を送るなか、意気込みを語ってくださいました。

「置屋のおかあさんは初めてのことやし、指導や教育について、うちもいま勉強し直してるところどす。仕込みさんや見習いさんらとお互いに気張っていけたらええと思てます」

祇園町への恩返しの第一歩を踏み出したばかりの豆千鶴さんの今後の活躍にさらなる期待が高まります。

ロケーション協力/名勝 渉成園 枳殻邸

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