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ヨットで旅する家族の“きもの暮らし” 【台湾/座礁から始まった着物旅】「風まかせ、きものまかせ」vol.1

ヨットで旅する家族の“着物暮らし” 【台湾/まさかの座礁!そして台南へ】「風まかせ、きものまかせ」vol.1

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どこへ、誰と、どんな旅をするのか。旅先を思い浮かべながら着物を選ぶ時間は、きっと心弾むひとときになるはず。そして旅先で纏った着物は、帰国後も箪笥でふと目が合うたびに、その土地の風や香りを思い出させてくれる一枚に。

ヨットで世界を旅する、着物好きな家族です

「きものと」読者の皆さま、はじめまして。セーリングヨットで旅をしている前田まゆと申します。

ヨットで旅する家族の“きもの暮らし

写真の船が我が家の動く家、SANTANAです。

「……え?きもののコラムじゃないの?」と、少し不安になった方もいらっしゃるかもしれませんが、どうぞご安心を。

ヨットで旅する着物愛好家の私が、旅先での装いや現地で見つけた着物に似合うアイテムを、寄港地の風景とあわせてお届けしていきます!

どうぞ最後までお付き合いください。

浴衣×ライフジャケット

2022年出港当時の娘はな。浴衣×ライフジャケットは中々見ない組み合わせかもしれません……。

「着物」と「ヨット」の共通点!?

2022年、家を手放しカリフォルニアでヨットを購入したところから、私たちの世界一周の旅が始まりました。

ヨットには補助的なエンジンがついていますが、主な動力は風。まさに”風まかせ”の、のんびりとした旅をしています。太平洋の島々を含む13の国と地域を経て、2025年の今ようやく地球の半分を回ったところです。

飛行機なら何十周もしているかもしれませんが、それは考えないことにしています(笑)。

カリフォルニアでヨットを購入

けれど、この「急がない」「焦らない」旅のスタイルには、着物と共通する何かがあると感じています。手軽な洋服がいくらでもあるのに、あえてひと手間かかる着物を着ること。速さや便利さよりも、過程を楽しむことを選ぶ辺り、ヨットと着物はとても似ています。

またどちらも「お金がかかる趣味」と思われがちですが、実は工夫次第でずっと身近に楽しめることも、着物とヨットの共通点。風の力で進み、太陽の力で発電しながらオフグリッドな生活ができるヨットは、意外にもエコで経済的なんですよ。

どんな場所でも自分らしく。着物は心強い"旅のパートナー"

私にとって着物は、未知の土地を訪れるときの“お守り”のような存在。

旅を始める前、ニュージーランドで7年ほど暮らしていた頃も、着物は慣れない土地で奮闘する自分を包みこんでくれる大切な相棒でした。

着物を着ると、どこにいても自分らしくいられる――そんな安心感があります。

ニュージーランド時代の近所のママ友さんと。

ニュージーランド時代の近所のママ友さんと

身長140cmとかなり小柄な私は、洋服だとどうしてもバランスが難しいのですが、着物には体型に関係なくその人の良さを引き出してくれる大らかさがあるように思います。

この包容力こそが、着物は心強い旅のパートナーと思える所以。特殊な旅の性質上、浴衣や洗える素材を中心としたカジュアルな装いが中心ですが、どうぞ一例としてお楽しみくださいね。

浴衣でメキシコ・セドロス島を散策

浴衣でメキシコ・セドロス島を散策

思いがけず、台湾長期滞在!

3年以上にわたる航海の中、今年(2025年)4月に私たちの船は台湾の離島で座礁、船体は半沈没状態になってしまいました。

多くの台湾の方々の協力で無事に船を救出することはできましたが、大掛かりな修理が必要になったため、現在は台湾に長期滞在しています。

そのような事情から、第一回は、南部の歴史都市・台南からお届けします。台南は「台湾の京都」とも呼ばれ、古い街並みが美しく、着物がよく似合う街です。

「台湾×きもの」といえば、「きものと」でもお馴染みの着物ひろこさん。私自身も連載をくまなく拝読しており、台湾に来ることをとても楽しみにしていた一人です。

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台湾きものスタイル考

そんな中での台湾編。大変恐縮ではありますが、今回ご紹介する場所は南部の都市「台南」ということで、読者のみなさまには台湾の新たな魅力を発見していただけたら嬉しいです。

着物が似合う街、台湾・台南を歩く

秋がないとも言われる台湾。撮影に出かけた10月後半からぐんと気温が下がったため、思い切って袷の着物に袖を通しました。(後日、日中は30度台に逆戻り。着物選びが難しいところです。)

古い建物のリノベーションがお得意の台湾。着物の組み合わせも「レトロ×モダン」をテーマに、リサイクル品の幾何学模様の結城玉紬に、帯はモダンな音符柄の博多帯、半衿は市松柄を合わせました。小物類には、深緑や茶など個人的に感じた台南の景色に似合うカラーを取り入れてみました。

幾何学模様の結城玉紬

しかし……やはりここは南国。ほっこり系の紬はさすがに無理があったようで、少々暑かったです……。

人生の半分は船の上で育った娘は今では7歳、小学校一年生になりました。

人生の半分は船の上で育った娘は今では7歳、小学校一年生になりました。

まず訪れたのは、約400年前のオランダ統治時代に、実質的に台湾の首都として機能していた安平地区です。 

台湾でも特に歴史があるとされる商店街、安平老街(アンピン・ラオジエ)は、狭い路地に多くのお店がぎっしりと並び、週末には多くの屋台が出店して賑やかになります。

小学校3年生の息子、太郎との負けられない戦い?!

小学校3年生の息子、太郎との負けられない戦い?!

台湾の商店街や市場には、昭和な雰囲気漂うレトロなゲームが置かれていることが多いのですが、これが中々楽しく、子供だけでなく大人もついつい夢中になってしまいます。

台湾の定番、マンゴースムージーで一息。

台湾の定番、マンゴースムージーで一息。なんと3杯100元(約500円)と大変リーズナブルです。

「安平老街」周辺は、まるで映画のセットのようなノスタルジックな雰囲気で着物散歩に最適です。

「安平老街」周辺は、まるで映画のセットのようなノスタルジックな雰囲気で着物散歩に最適です。

旅先でアイテムを集める楽しみは、着物版RPG?

小さなブローチを見て「帯留にどうかしら…」などと、つい考えてしまう時、「あぁ、すっかり着物脳になっているな」と感じます。

船の上はスペースが限られる上、常に潮風にさらされ、湿度もかなり高いため、持てるものや装いの選択肢は限られます。それでも、旅先で思い出に残る小さなアイテムを見つけることは、何より楽しいひとときです。

風まかせ、きものまかせ

今回使用しているプラスチック製のカゴバッグは、エルサルバドルに寄港した際に購入したもの。帯飾りには、台湾で見つけたお守りを使っています。

寄港先で見つけたアイテムを少しずつ身につけていくのは、まるで“着物版ロールプレイングゲーム”のようで面白く、旅の終わりには、各地の記憶をまとった最強の着姿が完成されるのではないか、そんな妄想をしてしまいます。

さて、台南ではどんな出会いが待っているのでしょうか。

日本統治時代の面影をたどって

思わず写真に収めたくなるレトロな外観。

思わず写真に収めたくなるレトロな外観。

安平地区からバスに揺られること20分、台南観光の中心に位置し、日本統治時代に建てられたかつての総合デパート「林百貨店」を訪れてみました。

リノベーションを経た現在は、レトロな店内でセンスのある台湾土産が手に入る人気スポットとなっています。着物好きの方には、ぜひ立ち寄っていただきたい場所のひとつです。

練り香水

着物の時は、練り香水を使うという方も多いのでは。そんな方におすすめなのが天然香料が優しく香るこちら。台湾マジョリカタイルから着想を得たパッケージも素敵です。私もこちらの蓮の香り(金魚柄)を愛用しています。

イグサの帽子やバッグ

丁寧な手仕事が光るイグサの帽子やバッグは、着物にも洋服にも合いそうです。

続いて目に留まったのは、台南で生産されている通称「漁師網バッグ」を現代風にアレンジした、林百貨店のオリジナル商品です。

もともと漁師網バッグとは、イグサで編まれた農作業用の袋を、丈夫なナイロン素材で再現した台湾土産として人気を集めているものですが、こちらはさらにデザイン性を高めた進化版です。

林百貨店のオリジナル商品
浴衣やカジュアルな装いによく似合いそうな軽やかな巾着タイプ

一押しは、浴衣やカジュアルな装いによく似合いそうな軽やかな巾着タイプです。

屋上には、着物がよく似合うレトロなカフェや神社まであり、隅々まで見どころ満載の林百貨店。台南にお越しの際はぜひ訪れてみてください。

そして最後は、ノスタルジックな雰囲気を漂わせる神農街で、1日を締めくくりたいと思います。

提灯の灯りに包まれる夜

その昔、商人たちが暮らし、賑わいを見せていた神農街。現在では、歴史的な建物をリノベーションした可愛い雑貨店やカフェが軒を連ねる、人気の観光スポットになっています。

よく見てみると提灯の柄がどこかゆるくて、思わず笑顔になってしまうこと間違いなし。

アラフォーの肌にも優しい、あたたかな提灯の灯り。

アラフォーの肌にも優しい、あたたかな提灯の灯り。

地元の人おすすめのバーで、南国らしいバナナが香るオリジナルカクテルをいただきました。

地元の人おすすめのバーで、南国らしいバナナが香るオリジナルカクテルをいただきました。

2階のテラス席で夜風に吹かれながら神農街を眺めていると、過去と現在が静かに溶け合うような、不思議な感覚に包まれます。

このほかにもご紹介したい場所はたくさんありますが、今回はスペースの関係でここまでとなってしまいました。

実際に生活してみて、台南は着物がしっとりと溶け込む、風情のある街だと感じます。このコラムを通して、その魅力が少しでも読者の皆さまに伝われば幸いです。

旅する着物は、思い出をまとう

どこへ、誰と、どんな旅をするのか。人によってベストな装いはそれぞれですが、旅先を思い浮かべながら着物を選ぶ時間は、きっと心弾むひとときになると思います。

そして、旅先で纏った着物は、帰国後も箪笥でふと目が合うたびに、その土地の風や香りを思い出させてくれる一枚に。また、旅先で見つけたアイテムは、日々の着こなしに新しいストーリーを添えてくれるはずです。

それでは今後も、不定期で「ヨット旅 × 着物」の異色コラボレーションを寄港先からお届けします。どうぞお楽しみに。

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