着物・和・京都に関する情報ならきものと

束の間、大切な故人に届く鐘の音 建仁寺塔頭禅居庵住職・上松正宗 「にちにちの みかた」vol.5

束の間、大切な故人に届く鐘の音 建仁寺塔頭禅居庵住職・上松正宗 「にちにちの みかた」vol.5

記事を共有する

臨済宗建仁寺塔頭禅居庵住職の上松正宗さんによる、心地よく過ごすための味方となるような“日日にちにちの見方”をお届けする不定期連載。お盆を目前に控えた今回は、六道珍皇寺の「六道まいり」と禅居庵摩利支天堂で行われる縁日の法要についてです。

2026.07.08

カルチャー

父と子の看取り時間は、師と弟子の最後の修行 建仁寺塔頭禅居庵住職・上松正宗 「にちにちの みかた」vol.4

盆行事の代表格「六道まいり」

8月はお盆のシーズン。

日本各地様々なお盆の過ごし方がありますが、京都では8月7日から10日まで六道珍皇寺ろくどうちんのうじの迎え鐘をついてご先祖のおしょらい(精霊)さんをお迎えする「六道まいり」に始まり、16日にはお盆にお迎えしたご先祖様の霊を再び浄土に送る「五山送り火」。

23,24日またはそのあたりの週末に各町内で行われる「地蔵盆」など、市内でさまざまな行事が続きます。

六道まいり

提供/六道珍皇寺

六道珍皇寺は小野篁おののたかむらがあの世とこの世を行き来したという冥土通いの井戸、黄泉がえりの井戸がある事でも知られていますが、ここにある迎え鐘は、あの世にまで響くと信じられている梵鐘で、そのお話は『今昔物語』にも登場します。

同じような話は『古事談』などにもあり、少しずつ違うところもあるのですが、当時誰でも知っている有名なお話であったことが窺い知れます。

六道珍皇寺境内

提供/六道珍皇寺

六道珍皇寺「迎え鐘」の謂れ

その昔、六道珍皇寺の開基、慶俊僧都けいしゅんそうずが腕の良い鋳物師を呼び寄せ梵鐘を造らせます。

あるとき僧都が唐の国に赴くにあたり、この鐘を3年の間地中に埋めておくようにと寺僧に命じて旅立ちます。しかし留守を預かる僧侶は3年が待ちきれずに、掘り起こして鐘を撞いたところ、その素晴らしい鐘の音は日本海を超えて唐の都にいる僧都のところまでも届きました。

僧都は「惜しいことをした。言いつけ通り3年待っていたなら、人が撞かずとも六つ時※になると自然に鳴る鐘になったものを」と悔やんだそうです。

※六つ時……江戸時代の日本で使われていた時間の数え方のひとつ。日の出(午前6時頃)を「明け六つ」、日の入り(午後6時頃)を「暮れ六つ」と呼んだ。

六道まいり

提供/六道珍皇寺

時間通りに鳴る鐘になったかどうかいまとなっては分かりませんが、この京の都から、中国の唐まで音が届くのなら冥土にも聞こえているだろうと考え、そこからお盆の迎え鐘「六道まいり」が始まったと聞いています。

2026.03.21

ライフスタイル

萬燈会とお盆飾り 「#京都ガチ勢、大西常商店・大西里枝さんの一年」vol.8

話変わって。

わたしの居ります禅居庵の摩利支尊天堂まりしそんてんどうでは毎月の縁日に法要を行うのですが、コロナ禍以降参加することが難しいという声をたくさんいただきました。

そこでお堂にカメラ5台とビデオミキサーを設置し、お経を読みながらカメラをスイッチングするライブ配信を始め、いまでは毎月の定番となりました。

法要の様子

禅居庵の「今」を届けるライブ配信

現在は外から見るお堂の様子を24時間365日ライブ配信で見ることができます。

冬は雪景色が広がり、夏は虫の声が聞こえるなど、画面を通じて禅居庵の「今」を感じていただけるようになっています。

お祀りしている摩利支尊天は日本だけではなく世界中にたくさんの信者さんがおられ、先日はロサンゼルスから来たという方が私を見つけて、「毎月見てますよ! 初めて会えました!」と声をかけてくださいました。

六道珍皇寺の鐘の音が中国まで届いたように、現代のテクノロジーは中国どころか世界中で同じ時間に手を合わせてお参りできるわけですから、もの凄いことです。

そして、このライブ映像が世界中の人に届くのなら、冥土にも届いているんじゃないかとも思っています。

上松さん

亡くなった父や祖父母、この寺の代々の和尚さんにあの世から「今の住職はちゃんとやってるか?」って見られていると思うと、カメラの前を通るとき、より背筋の伸びた気持ちがする――そんなお盆なのです。

話戻って。

六道珍皇寺の「六道まいり」は8月7日〜10日に行われます。詳しくはウェブサイトをご覧ください。
https://www.rokudou.jp/visit/

禅居庵のYouTubeライブ配信はこちらから。
https://www.youtube.com/@禅居庵

撮影/上松正宗
構成協力/椿屋

2025.06.23

よみもの

透明感あふれる白の世界。【日本画家 定家亜由子さん】(前編)「着物ひろこが会いに行く!憧れのキモノビト」vol.5

2025.07.07

よみもの

天井に描かれた双龍が有名な建仁寺。見どころは他にも盛り沢山!周辺おすすめスポットも併せて解説

シェア

BACK NUMBERバックナンバー

LATEST最新記事

すべての記事

RANKINGランキング

  • デイリー
  • ウィークリー
  • マンスリー

HOT KEYWORDS急上昇キーワード

記事を共有する