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茶のエキスポ!栄西禅師の降誕を祝う『四頭茶会』を巡る日 建仁寺塔頭禅居庵住職・上松正宗 「にちにちの みかた」vol.3

茶のエキスポ!栄西禅師の降誕を祝う『四頭茶会』を巡る日 建仁寺塔頭禅居庵住職・上松正宗 「にちにちの みかた」vol.3

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臨済宗建仁寺塔頭禅居庵住職の上松正宗さんが、心地よく過ごすための味方となるような“日日にちにちの見方”を差し出してくれる不定期連載。3回目は、毎年4月20日に建仁寺で開催される貴重かつ稀少な「四頭茶会」を、体験レポートでお届けします。

2026.03.15

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お茶のエキスポ!?建仁寺の「四頭茶会」

京都市無形民俗文化財に登録されている建仁寺四頭茶礼けんにんじよつがしらされいは、毎年4月20日に行われる栄西ようさい禅師降誕会ごうたんえに引き続き開催される「四頭茶会」における喫茶儀礼のことで、禅宗寺院に伝えられてきた茶道以前の作法と言われています。

茶の湯の原型ともいわれ、禅寺の伝統的な茶礼をいまに伝える建仁寺四頭茶礼は、京都市登録無形民俗文化財にも指定されている稀少な行事なのです。

今回は、そんなとても珍しい四頭茶会のお話です。

「私のおります禅居庵は、建仁寺の境内にある塔頭寺院です。建仁寺は鎌倉時代1202(建仁2)年に鎌倉幕府二代将軍・源頼家が寺域を寄進し、栄西(ようさい/えいさい)禅師を開山として建立された、京都最古の禅寺です」

と、上松さん。

禅居庵

建仁寺境内の南西角に位置する禅居庵。年中無休、参拝自由(10:00~16:30)

栄西禅師は中国(宋)より茶の種を持ち帰り、喫茶の作法を伝えたことで、日本の茶祖として知られています。4月20日は、そんな栄西禅師のお誕生日。

「建仁寺では、毎年この日に、誕生慶讃法会として四頭本席・表裏抹茶席・煎茶席・番茶席・点心席(御膳)と多くのお茶席を一日で巡り楽しめる、お茶エキスポのような(笑)お茶会を開いているのです。

お茶に詳しい方でもなかなかご存じでない『四頭よつがしら』という言葉。建仁寺四頭茶礼とは、起源は中国の南宋・元の時代、大きな寺院にて行われていた茶礼で、日本には鎌倉時代に栄西禅師が禅と共に伝えられたとされています。

4名の正客に準じて相伴客6名が従い4列、計28名で行われる茶礼は、供給の僧侶4名が口に茶筅を挿した浄瓶じんびんを持って入堂し客人が捧げ持つ天目台に載せた茶碗にお湯を注ぎ、立った姿勢のまま茶筅で点てるという、現代では珍しいものです」

四頭茶会

撮影/上松正宗

「当日は、この四頭茶会をぜひ一度体験したいと願う方々が、全国(近年は世界中)からお越しになります。またこの晴れの日には着物姿の方も多く、一日華やかな空気が満ちています」

という上松さんの言葉通り、建仁寺境内はお茶エキスポ会場であると同時に、着物エキシビジョンでもありました。

茶席制覇のため、余裕をもって受付を

早くも夏の訪れを感じるような、少し汗ばむ陽気の朝。四頭茶会を余すところなく清遊するため、上松さんのアドバイスを胸に、方丈前の受付へと向かいます。

8:00 受付

何をおいても大事なのは、本席の受付です。受け取った票には、10:05からの7席目と記されていました。

開山栄西禅師ご生誕慶讃法要は8:00に始まるので、法要目当ての人たちは薄っすらと暗いうちからやってくるといいます。

拝服券と茶席見取図と共に、この日だけのオリジナル懐紙がいただけるので手ぶらでも参席できますが、懐紙入れや茶扇子があるとなお良いでしょう。

懐紙

チャノキの花と蕾、葉と実がデザインされた今年の懐紙は、上松さんの妻でありイラストレーターのカンバラクニエさんが手掛けたもの 。よく見ると、「建仁寺」の文字が!

8:20 副席 薄茶席 表千家長生庵 堀内宗完宗匠@久昌院

本席まで時間があるので、まずは「久昌院」で薄茶をいただきます。

先に出来立てのお茶菓子(二条駿河屋「柳絮りゅうじょ 」)を味わってから、お茶席へと移動するスタイルです。

9:10 副席 煎茶席 花月菴家元 田中香坡先生@両足院

次に、北門からほど近い「両足院」で煎茶を味わいます。

煎茶席では、お菓子(柏屋光貞「茶ノ実」)は1煎目と2煎目の間にいただくものだそう。煎茶道の基本的作法に則り、玉露の旨みに感嘆の溜め息が洩れました。

古式ゆかしい茶会のおもてなしを体感

10:00 四頭本席@方丈

大本命の本席です。控えの間では本席の流れが分かりやすくまとめられた動画が流れているため、何も知らず訪れてもしっかり予習ができるのでご安心を。

また、控室前の廊下には祇園辻利や松栄堂といった有名店の売場もあり、待っている間や参席後に買い物を愉しむこともできます。

栄西禅師像

本坊小書院では栄西禅師像も間近に見ることができるのも、この茶会ならでは。

いよいよ、1席28名が列を成して方丈へと誘いざなわれます。正客(四主頭4名)を先頭に入室し、コの字形にめぐらされた椅子に座ります。進行役を務めるのは、両足院の伊藤東凌副住職。

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一同の着席後、侍香じこうの僧による献香が行われると、一気に空間が清められます。

方丈の室礼

中央には栄西禅師の頂相(ちんぞう)、向かって右に「龍図」、左に「虎図」の3幅がかけられ、その前には花卉鳥獣螺鈿前卓(らでんまえじょく)が置かれ、香炉・花瓶・燭台の三具足が飾られている

菓子器かしきと抹茶入りの天目茶碗を受け取ります。

浄瓶を持って入堂した僧の前で天目台ごと捧げ持った茶碗に湯が注がれ(ドキドキ!)、僧が中腰で立ったまま点てた茶を、そのまま喫するのです。

菓子器

椿の葉に載せられた「ぴりコン(醤油で炊いた蒟蒻)」をいただいてから茶を飲み、ほとんどの人が紋菓は持ち帰る 撮影/上松正宗

「四頭茶会」でしか味わえない滋味に舌鼓

メインイベントの方丈で出会った上松さんに、「まずは両千家という方が多いので、本席前の煎茶席は正解です!」と賛してもらって一安心。

緊張が解け、いざ昼食へ!

11:00 点心席@禅居庵

点心は、本坊大書院か禅居庵を選べるため、迷わず禅居庵へ向かいます。

点心

新緑が眩しいお庭を眺めながら、「泉仙」の精進料理をいただきます。

栄西禅師が中国より持ち帰って広めたと伝わる桑が練り込まれた生麩や、山内のお茶の葉の新芽をふりかけにした茶飯など、四頭茶会でしか味わえない逸品の数々は口福の極みでした。

点心をいただく座敷からの眺め

点心をいただく座敷からの眺め

11:45 開山堂

華やかで美しい御膳に満足した後は、境内を散歩がてら開山堂(旧護国院)まで。法堂周辺に咲き誇る色とりどりの牡丹や垣根の茶の木の新緑を愛でるひとときは、まさに清遊。

法堂周辺に咲き誇る色とりどりの牡丹

撮影/上松正宗

法堂周辺に咲き誇る色とりどりの牡丹

撮影/上松正宗

12:10 番茶席

拝観後は、堂前に建立された茶碑北側に設けられた番茶席にて、祇園辻利のお菓子とほうじ茶で一服。この茶碑の奥には「平成の茶苑」なる小さな茶どころも。茶会の季節には、瑞々しく芽吹く様子を眺めることができます。

新茶が芽吹く建仁寺境内

撮影/上松正宗

12:30 副席 薄茶席 裏千家方圓庵 金澤宗維社中@霊洞院

南東角に位置する「霊洞院」で最後。霊洞院は、建仁僧堂といって、普段は修行僧が生活する修行の場。

法堂周辺に咲き誇る色とりどりの牡丹や垣根の茶の木

撮影/上松正宗

そのため、参拝客が訪れることができるのは「四頭茶会」のみ。本当に貴重な機会です。また、霊洞院と久昌院の茶席は、隔年で裏千家と表千家が入れ替わると、上松さんが教えてくれました。

“薄茶に始まり薄茶に終わる”、きものと的四頭茶会となりました。

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年に一度のお茶のエキスポは、お茶のワンダーランドと言ってもいいくらいのワクワクドキドキが詰まった茶会でした。茶道に馴染みのある人はもちろん、まったくの初心者でも十分に味わい尽くせるお茶の祭典。ぜひ、一度訪れてみてください。

一生に一度は体験したい!茶の魅力が詰まった「四頭茶会」

建仁寺四頭茶礼

毎年4月20日に建仁寺で行われる、栄西禅師の誕生を祝い、その遺徳を偲ぶ厳かな古式ゆかしい茶礼。

禅院茶礼の伝統を今日に伝える行事。昭和29(1954)年に禅師の降誕会と併せて一般公開され、山内塔頭では釜が掛けられ、点心が供される。拝服券は、本席のほか、薄茶席が2つ(裏千家/表千家)・煎茶席・点心席(昼食)の5枚綴りで、「開山堂」拝観券も付いています。

毎年拝服券の一般申し込みは数分で完売するため、一生に一度体験できるかどうかと言っても過言ではない貴重かつ稀少な茶会。2012年3月には京都市登録無形民俗文化財に認定された。

申し込みの期日や方法など、詳しくは公式サイトにてご確認ください。
https://www.kenninji.jp/yotsugashira/

構成協力/椿屋

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