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大横綱 白鵬と、伝説の杜氏 農口尚彦―『農口尚彦研究所』「着物で一献、ふわり上機嫌」vol.4

大横綱 白鵬と、伝説の杜氏 農口尚彦―『農口尚彦研究所』「着物で一献、ふわり上機嫌」vol.4

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第69代横綱・白鵬翔さんとのひととき。後編ではなんと“酒造りの神様”農口尚彦杜氏もご登場! 着物と日本酒、異なる二つの世界をつなぐ深い一本の線をたどります。

2026.01.29

カルチャー

あの白鵬が惚れ込んだ酒蔵!『農口尚彦研究所』「着物で一献、ふわり上機嫌」vol.3

横綱・白鵬―「文化を背負う」ということ

よろずさんと白鵬さん

前編では、盃を酌み交わしつつ白鵬さんのお話を伺いました。

味わいの話だけなく、そこにあったのは「文化をどう受け止め、どう次の世代へつないでいくのか」という熱い想い。第69代横綱という立場は強さだけで成り立つものではなく、土俵に立つ責任と伝統を受け継ぐ者の自覚があってこそ。語らうそのまなざしには、土俵の上と変わらない芯の強さが滲み出ていました。

銀座ちゃんこ鍋『鵬』にて

前回登場した、農口尚彦研究所の日本酒と赤いボトル、縁起わけのまわし

取材時に白鵬さんから「ぜひ酒蔵へも来てください」とおっしゃっていただき……

これは行くしかありません。なんと私よろず、農口尚彦研究所へお邪魔させていただきました!!!

農口尚彦研究所へ ― 農口尚彦杜氏との出逢い

農口尚彦研究所にて

提供/よろず

憧れの農口尚彦研究所に到着! 小松駅より山中を車で向かうと、雪深い山の中にとても素敵な建物がありました。

農口尚彦研究所にて

農口尚彦研究所で白鵬取締役と 提供/よろず

こちらには白鵬さんも頻繁に訪れていらっしゃるそう。早速、白鵬さんに研究所の中をご案内いただきました。

酒蔵を囲む自然豊かな小松の風景についても丁寧にお話しくださって、土地とお酒が深く結びついていることを実感しました。

御年93歳! 農口尚彦杜氏ご本人ともお話しをさせていただきました。

農口尚彦研究所にて

積もった雪を背に 提供/よろず

「日本酒は飲んでもらってこそ価値が生まれる。造って売るだけではなく、そこに込めた想いがどれだけ人に届くかが何より大切です。自分はその想いを伝えることを、少し得意としてきたのかもしれません」

多くを語らずとも深く響く農口杜氏の言葉。積み重ねてきた時間そのものの重みが宿っているようでした。

農口尚彦研究所にて

優しくて深い空間の中で、お酒をいただきながら 提供/よろず

農口尚彦杜氏のお酒との出会いから白鵬さんとのご縁が生まれ、そして今度は白鵬さんにお誘いいただいて農口尚彦杜氏と言葉を交わしている――不思議な巡り合わせに、胸がいっぱいになりました。

「縁」とは、言葉では言い尽くせないほどに深く神秘的なもの。この時間は何にも代えがたいかけがえのないひとときとなりました。大切な宝物です。お会いできたばかりですが、またすぐにでもお会いしたいくらい(笑)! お忙しいなか、本当にありがとうございました。

相撲はなぜ神事なのか?

さて、ここからは、白鵬さんのお話に戻ります。

相撲は単なる競技ではなく、日本の祈りの歴史の中で育まれてきた文化です。

日本神話『古事記』の中には八百万(やおよろず)の神様が力比べをする場面が描かれており、これが相撲の起源のひとつとされました。

画像提供:白鵬ダヤン相撲&スポーツ株式会社

画像提供:白鵬ダヤン相撲&スポーツ株式会社

古来より相撲は「神意を問う神事」として扱われ、「勝敗を決めるためというより、神意をうかがう儀式」として行われていた背景があります。

塩をまく動作、四股を踏む所作、構えの姿勢。そのすべてが長い年月をかけて受け継がれてきた“型”です。

第69代横綱・白鵬さんは、史上最多の幕内優勝を記録した力士として知られていますが、その姿から感じられるのは記録以上のものです。横綱とは「強さの称号と共に、伝統を背負う役目」なのだと感じました。

相撲界に息づく着物の美学

第69代横綱・白鵬翔

画像提供:白鵬ダヤン相撲&スポーツ株式会社

日常生活においても和装が基本となる角界(相撲界)。

着物は単なる衣服ではなく、立場や役割を表すものでもあります。

番付が上がるにつれて素材や装い方が変わり、関取になると外出時の装いにも格が生まれます。相撲界において着物は身分や責任を映し出す存在でもあるのです。

こうした慣習は、見た目の伝統を守るためだけではありません。

「装いを整えることが、そのまま心を整えることにつながる」という考え方が背景にあるそう。衣服を変えることで気持ちを切り替え、役割を自覚する。そうした感覚は、長く受け継がれてきた相撲の精神性と深く結びついています。

白鵬が描く、文化継承のかたち

相撲の未来を育てる『白鵬杯』

白鵬さんが引退後、とりわけ力を注いでいる活動のひとつが、今年16回目の開催を迎えた『白鵬杯』です。

白鵬杯の様子

画像提供:白鵬ダヤン相撲&スポーツ株式会社

「相撲で世界を一つに」を掲げ、国内だけでなく海外からも子どもたちが参加する大会として続いています。また今年からは「女性の部」と「成人の部」も開催がスタート! さらなる盛り上がりを見せました。

よろずさんと白鵬さん

白鵬さんがこの大会に強い想いを持って取り組んでいる理由は、「相撲を未来につなげたい」という願いがあるから。

「相撲がオリンピック種目になることが今の大きな目標です!」と、笑顔で語ってくださいました。

文化は“届けてこそ”続いていく

よろずさんと白鵬さん2

世界各地での相撲大会の開催や、国際的な取り組みに積極的に関わる姿勢を通して、白鵬さんの歩みは日本文化そのものを広める試みとして注目を集めています。

相撲を象徴したピン

相撲を象徴したピンを制作。相撲を世界へ広げるという誓いの意味を込めて

現役を退いたあとも、相撲に関わる活動を国内外で続けている理由。それは競技として広めるというより、文化として知ってもらうための働きかけのように感じます。伝統は守るだけでは続きません。人に伝わり、受け取られて初めて次へと繋がっていきます。

「文化を残すということは、守ることと同じくらい、届けること」でもあるのだと思います。

白鵬さんとよろずさん、談笑中の後ろ姿

点と点が、一本の線になる

よろずさんと白鵬さん3

日本文化や日本酒への熱い想いをお話ししてくださいました

白鵬さんの活動を振り返ると、それぞれが別々の出来事のようでいて、実は一つの方向に向かっていることに気づきます。

日本酒の仕事の時間も、土俵での時間も、子どもたちと向き合う時間も、文化について語る時間も、すべて同じ軸の上にあります。

その軸とは、「文化をつなぐ」という役割です。

今後の活動について語る白鵬さん

銀座の街をぶらり。白鵬さんの今後の活動について熱くお話しくださいました。

前回も触れましたが、人の歩みは、あとから振り返ったときにはじめて意味を持つことがあります。点のように思えた出来事が、いつの間にか線になっている。その線が誰かの未来へ続いていくこともあるでしょう。

白鵬さんを見ていると、「伝統」とは決して過去のものではなく、今を生きる人の中で息づいていくものなのだと感じます。そしてその連なりこそが、日本文化の「本当の強さ」なのかもしれません。

旅の余白 ―文化と今を生きていく

握手

「お互い精進してまいりましょう」そう固く約束をして、この奇跡的で貴重な時間は終焉を迎えました。

日本という国と、この土地に息吹く文化と継承の数々。その重みを全身で受け止めて、この世界と向き合いながら今後も邁進してまいりたいと思います。

第69代横綱白鵬さん、本当にありがとうございました!

人生は何が起きるかわからない。だからこそ日々の積み重ねを大切に、時に牛歩でも一歩一歩踏みしめて、巡り巡って出逢えたご縁を大切にしながら、共に今を進んで参りましょう!

皆様、いつもありがとうございます。

着物とよろず旅、次回は何処へ……お楽しみに♪

撮影/五十川満
ヘアメイク/新井祐美子

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