着物・和・京都に関する情報ならきものと

千五郎家の若奥様好みを大公開! 「大蔵流狂言師・茂山千五郎家の365日」番外編

千五郎家の若奥様好みを大公開! 「大蔵流狂言師・茂山千五郎家の365日」番外編

記事を共有する

現当主である茂山千五郎さんの母・恵津子さんと、その義妹・紀世江さんにご登場いただいた3月の記事に引き続き、今回は番外編として、おふたりにとって嫁に当たる4人の若奥様たちにお話をお伺いしました。

2025.03.05

まなぶ

千五郎家における縁の下の山の神 「大蔵流狂言師・茂山千五郎家の365日」vol.8

茂山千五郎さんの妻・みゆきさんの春の装い

まずは、ご当主である茂山千五郎せんごろうさんの妻・みゆきさんから。

お庭にて

玉子色の訪問着は、流水に花筏の華やかな柄。合わせたのは金糸の入った橙色の帯で、その髪色ともマッチした着こなしです。

普段ははっきりとした色あいや柄行きのコーディネートが多いというみゆきさんですが、この日は、春らしい古典柄をチョイス。

後ろ姿

七五三しめさんがお社中さんとのご縁から出された『七五三好み』という着物です。つくられた際に新作発表の場で着させていただきました。入学式などハレの日に出番がある1枚で、橘など装束の柄行が入っています」

※七五三好み……狂言装束の柄を小ぶりにしたモチーフで、古典的なやさしい色味の上品な訪問着や小紋が仕立てられた。

帯まわり

パールの帯留めは、夫である千五郎さんからの贈りもの

クラシカルな組み合わせの中で、何よりもみゆきさんの個性光るのが帯揚げです。ビビットな青と黄緑というツートンカラーをさり気なく。そこに、同じく黄緑の帯締めを合わせて、帯留めに上品なパールをもってくる、絶妙なコーデ!

さらに、そこで目を引くのが、手元の指輪です。

イヤリング

大ぶりなアクセサリーは耳元にも。

いまお気に入りだというリング&ピアスは、「KISSO(キッソオ)」という鯖江発のアクセサリーブランドのアイテムです。

眼鏡のフレームにも使われている材料を使ったアクセサリーは、ボリュームがあるのに軽くて丈夫で重宝しています。天然由来の素材のため、肌にやさしいのも嬉しい。そんなに高くないのも魅力です!

リバーシブルピアスはボールでもキャッチのキューブでも、どちらを見せることもできるのですが、不器用で裏からピアスを通せないので、いつもボールが表になっています(笑)」

茂山茂さんの妻・茜さんの思い出の被布

続く、茜さんには、思い出の品についてお聞きしました。

そこで取り出されたのが、装束の縫泊と同じ生地で仕立てた被布です。

被布

「四世千作夫人が長女の七五三詣りのために誂えてくださいました。お宮詣りの着物に合わせて、可愛らしく華やかな色柄を選んで用意してくださったこと、そのお心遣いがとても嬉しかったです。その後、次女と、逸平いっぺい君の娘さんの七五三でも活躍しました」

花は、藤と牡丹。一目絞りと金駒刺繍があしらわれた紅白の被布は、長らく呉服業界に身を置くきものと編集部スタッフが、「こんなに立派な被布、初めて拝見しました!」と興奮するほど。

アップ

茂山千五郎家だからこそ叶った素敵な被布は、娘さんの次の代にも受け継がれていくことでしょう。

茂山宗彦さんの妻・裕子さんが誂えた着物

裕子さんの思い入れある着物は、こちら。

着物

「園遊会で雅子さま(皇后陛下)がお召しになっていたお着物が素敵すぎて!」と、甕覗き色ありきで誂えた一つ紋で格をあげた飛び柄の付け下げは、義父・茂山七五三しめさんが人間国宝に認定されたことを祝う会のために、半年かけて仕立てたもの。

柄アップ

いくつかの紋には金刺繍も施されている

2023年NHK大河ドラマ『どうする家康』で松本潤さんが着用していた家康の衣裳からヒントを得た宗彦もとひこさんが柄を勧めてくれたことから、「私の身長に合わせて、ひとつひとつの紋の大きさや配置を考えました」と裕子さん。

「茂山家や縁のある紋、夫の干支である卯や私の干支の辰、扇や松といった能楽に由来ある意匠を散りばめてもらいました」

そうして出来上がったのが、唯一無二の晴れ着なのです。

茂山逸平さんの妻・奈都子さんが憧れる品

奈都子さんが見せてくれたのは、宮古上布の着物と芭蕉布の帯

着物

お着物は、おじいちゃん(四世千作)のお弟子さんのお知り合いから譲り受けた宮古上布です。着物をたくさん持ってらした方が、お子さんがおられず、譲り先がないことから反物のままで頂き、仕立てた1枚です。

これほどの着物に合う帯がないことを夫が祇園のお茶屋さんに相談したところ、そのおかみさんから雰囲気にぴったりなこちらの趣味高い帯を頂くことになりました」

と、奈都子さん。

帯

実はまだ、一度も袖を通していないのだと言います。

「身の丈に合わないような気がして気後れしてしまって…」と呟く彼女に、横から夫である逸平いっぺいさんが「鮎食べに行くしかない!」とひとこと。

不慣れなところに嫁入りして手探りだった私を本当に可愛がってくださった方からの品なので、いつか粋に着こなせたら、と思っています」

撮影/スタジオヒサフジ

2024.06.07

まなぶ

宮古上布 宮古織物事業協同組合/工房がじまる(沖縄県宮古島市)「バイヤー野瀬の、きもの産地巡り」vol.9

2023.10.26

まなぶ

”最後の七五三”で叶えたいこと 「3兄弟母、時々きもの」vol.24

2025.01.04

まなぶ

正派西川流・西川喜優先生 お稽古時の装い 移ろう季節に寄り添うコーデ 「日本舞踊の愉しみ」vol.4

シェア

BACK NUMBERバックナンバー

LATEST最新記事

すべての記事

RANKINGランキング

  • デイリー
  • ウィークリー
  • マンスリー

HOT KEYWORDS急上昇キーワード

CATEGORYカテゴリー

記事を共有する