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琉球紅型 知念紅型研究所 知念冬馬さん (沖縄県那覇市)「バイヤー野瀬の、きもの産地巡り」vol.10

琉球紅型 知念紅型研究所 知念冬馬さん (沖縄県那覇市)「バイヤー野瀬の、きもの産地巡り」vol.10

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沖縄へ仕入れに来たら、いつもお世話になっている知念紅型研究所・知念冬馬さんの顔を見ずには帰れません。紅型の若き旗手がいま制作する新作とは?

2024.01.23

まなぶ

宮古上布 宮古織物事業協同組合/工房がじまる(沖縄県宮古島市)「バイヤー野瀬の、きもの産地巡り」vol.9

2020.04.24

イベントレポート

知念冬馬氏トークショーin京都店 沖縄の歴史から紐とく琉球紅型について

青空のもと、琉球びんがた知念紅型研究所へ

知念紅型研究所

京都きもの市場の名物バイヤー・野瀬が足繁く通う産地のひとつ、沖縄。

産地での仕入れは常に過密な日程となりがちななか、トークショーや琉球染織ツアーなどでもお世話になっている知念紅型研究所、下儀保知念家十代目・知念冬馬さんの顔を見ずには帰れません。

いま制作中の新しい作品を、誰よりも早く見たい! はやる気持ちを抑えつつ……

知念紅型研究所

中(白枠)『稲妻に松窓絵模様』、右上(赤枠)『霞青海波に牡丹模様』。いずれも古典柄

知念紅型研究所 知念冬馬さん

美しい色味

バイヤー野瀬:わ!やっぱり知念さんの紅型は洗練された上品さがありますね!

とくに色合いが夏物の生地に合うんですよね。以前、上田の生地に染めていただいたものが本当にに美しくて、仕入れてすぐにお客様にお求めいただきました。

知念さんと野瀬

知念さん:それはうれしいです。あれは生地との相性が抜群で、仕上がりがとてもよかったですよね。

バイヤー野瀬:またぜひお願いします。普通の小紋ではちょっともの足りない夏のパーティや船旅のイベントなどには、紅型をおすすめしたいと思っていて。お客様からも「知念さんの紅型を着ると自分に自信が持てる」という声をよくいただきます。

両面染めに感激する野瀬

バイヤー野瀬:いまさしているこの柄はなんでしょう?

知念さん:「ダチビン(抱瓶)」と「ウマグワー(馬ぐわー)」「ハリュウセン(爬竜船)」です。

知念冬馬さん

中(黄緑色の帯)「ダチビン(抱瓶)」と「ウマグワー(馬ぐわー)」、下(白藍の帯)「ハリュウセン(爬竜船)」が波柄とともに

透明感がある“知念家の色”

バイヤー野瀬:楽しい帯がたくさんありますね。ところで、着尺の制作はいかがですか?

紅型の帯

知念さん:着尺を染めるときは工房全体が着尺だけに集中して制作するのでその期間は帯がまったくできないということになってしまい、なかなか難しくて。

バイヤー野瀬:それだけ手間がかかるから……わかっているだけに頼みづらい(笑)! 飛び柄の小紋など、需要がアップしている感覚がありますから、総柄でなくてもかまわないのですが。

染色

知念さん:年々そういったお声をよくいただきますので以前よりは小紋系を染める機会も多くなっていますね。紅型に西陣の帯はとてもよく合いますが、飛び柄の紅型きものに紅型の帯を合せるコーディネートとか、楽しみ方も変わってきているのを感じます。

バイヤー野瀬:たとえば2尺くらいの幅で柄を飛ばしても、付け下げに匹敵する華やかさはありますよね。

工房のようす

知念さん:いわゆる「紅型はこうでなければならない」というところから脱却して自由につくれるようになると作品の幅が広がります。おっしゃるように必ずしも総柄でなくてもいい。でも逆に、夏の透ける生地には総柄が映えるでしょ? 

デザインの柔軟性をもって制作していきたいなと思います。それに、県内と県外では紅型を着たときの気持ちに違いがあるというのを、ここ数年で理解できるようになりました。

知念冬馬さん

バイヤー野瀬:紅型の独特な配色は沖縄の光があるからこそ、というのは感じますね。

冬馬さんはそういった“知念家の色”を基本としながらも、今の色を意識されているのがわかります。色に透明感があるんですよね。

2022.05.18

よみもの

早く締めたい!紅型の名古屋帯 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.52

両面染め、祖父の作品が教えてくれること

バイヤー野瀬:こ、これは両面染めですね? やはり発色が違いますね!

やちむん(やきもの)の魚をモチーフ

『朧型・碧海』

知念さん:朧型おぼろがた」「両面染め」で、作品として(工芸展などへの出品ために)制作しました。やちむん(やきもの)の魚をモチーフにしています。

※朧型(おぼろがた)……通常1枚の型紙を用いて染めるところ、2枚の型紙を用いて染め上げる技法。複雑で奥行きのある文様を表現することができる反面、糊置きや色差しの手間が通常の倍以上かかり、かつ高度な技術力が求められるため現在ではほとんど作られていない。

バイヤー野瀬:素晴らしい! 

知念さん:とても気を遣う作業の連続になるので、生地との相性がものをいう仕事になりますね。そういえば駒上布でつくった両面染めがありますよ。

知念冬馬さんとバイヤー野瀬

バイヤー野瀬:駒上布で? お、図柄は工房を代表する『蕉葉福良雀』ですね?

知念さん:そうです。祖父(知念貞男さん)が南風原の大城一夫さんとこういった作品に取り組んでいたようで、うちの箪笥を探すと、これは?というものが出てくるんです。

祖父の遺してくれた作品が教えてくれることが、たくさんあります。

知念貞男さん

冬馬さんの祖父、故 知念貞男さん

工房に並ぶ賞状

貞男さんと冬馬さんのお名前が並んで。祖母・知念初子さん(貞男さんの奥様)もまたファンの多い紅型作家

知念さん:いまは丸正織物の大城幸司さんに壁上布や駒上布の白生地を織ってもらっています。紅型の染め方に合っている素材だと思いますね。

バイヤー野瀬:地色がまた紫のような墨のような微妙な色ですね。

知念さん:墨色を使わずに墨っぽくするために、7色混ぜているんです。

7色混ぜて

バイヤー野瀬:ぜひこの雰囲気で、きものもつくってください!

知念さん:はい、がんばります。

撮影/田里弐裸衣 @niraiphotostudio
取材・文/SOLIS&Co.

◆ 読者プレゼント ◆

紅型ノート01

さて、ここでうれしいお知らせです!

知念紅型研究所の紅型柄表紙ノートを「きものと」読者2名様へプレゼント!(各柄1名様。柄はおまかせとなります)

下記リンクより、InstagramもしくはX経由でご応募くださいませ。

◆Instagram
https://www.instagram.com/kimonoichiba

◆X
https://twitter.com/Kimono_ichiba

※応募期間:2024年6月2日(日)まで

紅型ノート02

2022.10.31

まなぶ

玉那覇紅型工房(沖縄県那覇市・琉球紅型)「バイヤー野瀬の、きもの産地巡り」vol.1

2023.03.21

まなぶ

城間びんがた工房(沖縄県那覇市・琉球紅型)「バイヤー野瀬の、きもの産地巡りvol.4

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