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きものすなおさんと訪れる着物海外縫製工場(ベトナム・ホーチミン)「バイヤー野瀬の、きもの産地巡り」番外編

きものすなおさんと訪れる着物海外縫製工場(ベトナム・ホーチミン)「バイヤー野瀬の、きもの産地巡り」番外編

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バイヤー野瀬の産地巡り番外編、旅路はベトナム&ラオスへ! 大人気着物YouTuber・きものすなおさんと、ベトナム・ホーチミンシティにある着物縫製工場を訪問しました!

まなぶ

バイヤー野瀬の、きもの地巡り

きものすなおさんとベトナムの着物縫製工場を見学!

ベトナムの縫製工場を訪れたすなおさんと野瀬

2024年2月下旬、京都きもの市場の名物バイヤー野瀬は、ベトナムのホーチミン空港に降り立ちました。

番外編となる今回の産地巡りは、着物インフルエンサー・きものすなおさんとのコラボレーション!

気になる着物の海外縫製の裏側を知るべく、すなおさんとベトナムの縫製工場を訪れます。

早朝に関西国際空港を出発!

早朝に関西国際空港を出発!

約6時間のフライトを終え、ベトナムに到着した野瀬

約6時間のフライトを終え、ベトナムに到着した野瀬

その前に、まずはベトナムの風景をお届け。縫製工場に到着するまでの道のりをみなさまもお楽しみください!

空港を出ると送迎の人だかりが。無事に通訳さんと落ち合いました

空港を出ると送迎の人だかりが。無事に現地のガイドさんと合流

通訳さんが運転する車でアンさんの工場へ

今回の旅路もかなりタイトなスケジュール。早々に縫製工場へと向かいます

現地の人の移動手段は主にバイク。ホーチミン市内は交通量も激しい

現地の人の移動手段は主にバイク。ホーチミン市内は交通量も激しい

至福のカフェタイムを過ごすベトナムの人々

道端のカフェにてゆったりとした時間を過ごす人々

車窓からのんびりとした南国の風景を堪能しました

車窓からのんびりとした南国の風景を堪能

清潔感ある職場で約100名が仕立てに従事

ホーチミン・タンソンニャット国際空港から車で約30分。今回の目的地であるキム・アン(Kim Anh)さんの工場に到着しました。

ベトナムに30箇所ほどある着物の仕立て工場。その中でもアンさんが率いるのは、従業員約100名の巨大工場です。

清潔感のある広々とした空間

一体、どのような職場なのでしょうか。ワクワクしながら扉を開くと、そこには広々とした清潔な空間が広がっていました。

最初に見学したのは、裁断の模様。アンさんの工場では完全分業制をとっており、ここでは8名ほどの従業員が裁断に当たっています。

慣れた手つきで裁断を進める従業員の方々

慣れた手つきで裁断を進める従業員の方々

アンさんの工場では、日本では見かけない特別仕様の長い物差しを使用

長い物差しで慎重に

最も難しい「裁断」の工程を任されているのは、ベテランの方ばかり。お給料もその分高くなってくるそうです。どの方も慣れた手つきで、お客さんの寸法を見ながら裁断されていました。

こちらのフロアでは、裁断されたパーツを一つひとつ手縫いで繋げていきます。80名ほどの方がパーツごとに分かれ、黙々と作業されていました。

大島紬を手縫いしている従業員の方も

真剣に見入るふたり

それぞれ得意分野があるそうで、こちらの方は「ぐし縫い」を担当

驚異のスピードでぐしびつけが完成

非常に細かな「ぐし縫い」もこの正確さ!

ぐし縫いは付けたまま着る“取らないしつけ”仕上がりの美しさが最も分かる部分とも言われています。

その丁寧さとスピードの速さに驚愕のすなおさん。今回の見学に同行してくださった和裁士の竹中志織さんも「ひと目ずつ、すごく細かくて均等なのでとても綺麗!」と驚かれていました。

野瀬も改めてその丁寧さに驚き

野瀬も海外の縫製工場を訪ねるのは初めて

すべてのパーツを縫い合わせたら、最後は検品作業

目視で検品に当たる従業員の方

検品も非常に丁寧に

アンさんの工場では、次の工程に進む毎に検品を行なっていますが、最後に寸法が合っているか、針が残っていないかなどを手作業で確認していきます。

着物を吊り、しっかりと縫えているか確かめている

検針器にも、畳む前と梱包前に二度かける慎重さ。さらには、日本に届いてからも再度検針器にかけられるそう!

従業員の方々の作業を見守るすなおさん

従業員の方々の作業を見守るすなおさん

作業場は、ゴミひとつ落ちていないとても綺麗な空間。

……にも関わらず、どの工程でも従業員の方々は着物が決して床につかないよう、とても丁寧に扱っていたのが印象的です。

まずは「身丈(MITAKE)」「袖口(SODEGUCHI)」といった用語を覚えてから仕事がスタートするというところにも、着物文化へのリスペクトを感じました。

すなおさんがご自身のYouTubeでさらに詳しく今回の産地巡りをご紹介してくださっているので、ぜひご覧ください!

着物の縫製工場に従事して30年以上、工場長・アンさんの思い

従業員100名を束ねるアンさん

従業員100名を束ねるアンさん

京都きもの市場では、海外縫製を選択されたお客様の着物は、ほぼ100%ベトナムの工場に仕立てをお任せしています。

その理由となっているのが、今回の見学でも見えてきた、勤勉で綺麗好きなベトナム人の国民性。

アンさんの工場は私語厳禁。皆さん黙々と作業に当たっています

アンさんの工場では、みなさん黙々と作業に当たっています

アンさんがこの工場を立ち上げたのは、約15年前。以来なんと、月に2000着もの着物の仕立てを請け負い、従業員の雇用を守っていらっしゃいます。

見学の最後に、すなおさんからアンさんにお話を伺いました。

すなおさん:従業員のみなさんとアンさんはすごく親密な関係に見えて素敵だなと思いました。一方で、きちんと言わなくてはいけないこともあると思います。その際に気をつけておられることはありますか?

アンさん:もちろん作業中は私語をつつしむなど基本的なルールはありますが、もっとも大事にしたい文化はとにかく楽しく明るく、笑顔あふれる職場であるということですね。

きちんと従業員の様子に目が行き届くような工夫はしていますが、毎日毎日私が厳しくチェックしてしまうと気が滅入ってしまうと思うので、要所要所で働きぶりをチェックしてそれに応じて給料をアップしたり、逆に違反を犯した従業員は給料をカットする仕組みをとっています。そのため自分で自分を律し、熱心に作業に取り組む環境ができていると思います。

仕上がった着物を丁寧に畳んでいく

仕上がった着物を丁寧に畳んでいく

すなおさん:工場についてのこだわりはありますか?

アンさん:床を綺麗に保つこと。またベトナムは暑い気候なので、作業中に汗が着物につかないよう、常に空調を稼働しています。時々停電も起きてしまいますが、工場内には発電所を備えていて、非常時にはそれを活用するようにしています。

また私が前の会社に勤めていた頃は、例えば生地の裁断が間違って行われた時も、誰が間違えてしまったのかわからない管理体制だったんです。この工場では、誰が・いつ・どの工程を担当していたのか、すぐわかるような管理体制を整えました。

裁断の工程

間違えると取返しのつかない「裁断」の工程

すなおさん:これから、この縫製工場をどのようにしていきたいとお考えでしょうか?

アンさん:着物という商品の特性上、今後も日本のお客様からの受注がメインとなります。日本からの発注量が減ってしまうと、その分社員への還元も減ってしまいます。ですから、これからも日本のみなさんに着てもらえるよう、一枚一枚丁寧に着物を縫い上げていきたいと思っています。

アンさんの工場前で記念撮影

すなおさん:最後にぜひ日本のみなさんにメッセージをお願いします!

アンさん:昔、新聞やテレビで目にする日本人はみんな着物を着ていたという印象があります。ですが今では、若者をはじめとして着物を着る方のほうがむしろ珍しくなっていますよね。

私は着物の縫製に従事してもう30年以上経っていて、日本のことが本当に大好きです。着物は日本の大切な文化で、着物を着ている人がいればすぐに日本人だとわかるほどに伝統的なもの。その伝統を絶やさないためにも、ぜひ日本の若者には着物を着てほしいと切に願っています。

すなおさん:ありがとうございました!

ベトナムでも注目の的だったすなおさんの装い

従業員の方々と記念撮影するすなおさん

従業員の方々と記念撮影するすなおさん

今回は、若い女性を中心に約100名が着物の仕立てに従事するアンさんの活気ある工場を見学しました。

なんと、着物を実際に着ている人を見るのが初めて、という方がほとんどで、すなおさんの周りには「一緒に写真を撮ってほしい!」と人だかりが。南国の花のような和装姿は、行く先々で注目の的でした!

実は、すなおさんがお締めの帯は、この次に行くことになっているラオスの帯。次回ラオス編にて詳しくご紹介しますので、そちらもどうぞお楽しみに!

工場見学が終わり、移動の車中から新鮮な感想をインスタライブでフォロワーのみなさんに届けてくださったすなおさん(※アーカイブはこちら)。

夜はそんなすなおさんを囲み、ホーチミンにあるレストラン『Nhà hàng Ngon』で夕食会。

夜はホーチミンのレストランで夕食会!すなおさんの隣で野瀬も笑顔

夜はホーチミンのレストランで夕食会!すなおさんのお隣で野瀬もこの笑顔

異国情緒あふれる店内でベトナム料理に舌鼓を打ちながら、楽しく1日を振り返りました。

夕食会には通訳さんもいらっしゃいました

ベトナム料理についてガイトさんを質問攻め

ベトナム料理で満腹に。満足げにレストランを後にする一同

銀座店店長菅野の姿も!

お店の人に説明を受けながら、お土産を選ぶ野瀬

すなおさんをホテルまで送ってから、野瀬はナイトマーケットへ!

ベトナムはコーヒー大国。良い香り!

ベトナムはコーヒー大国。良い香りです!

道端にはたくさんの屋台が。思わず吸い込まれそう

道端にはたくさんの屋台にも興味津々

もちろんチャレンジ!

もちろんチャレンジします!微妙な表情……!?

次回はこのまま、すなおさんとラオスに向かいます!どうぞお楽しみに!

次回はこのまま、すなおさんとラオスに向かいます!

ラオスでは織物工房を巡ります!

『すなおチャンネル』もぜひご覧くださいませ!

構成・文/苫とり子

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