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金彩伝統工芸士 志賀豊さん 【YouTube連動・体験編】 「紗月がゆく!祇園・人気芸妓が訪ねる京の技」vol.5-2

金彩伝統工芸士 志賀豊さん 【YouTube連動・体験編】 「紗月がゆく!祇園・人気芸妓が訪ねる京の技」vol.5-2

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人気芸妓・紗月さんが引退前に撮影された、“伝統工藝師”の作業場を訪ねるスペシャル企画。第5弾では、金彩伝統工芸士・志賀豊さんに指導をいただきながら友禅&金彩体験を行いました!絹の老舗白生地メーカー「伊と幸」社長 北川幸さんも駆けつけ、和やかな雰囲気あふれるオフショットも多数掲載しています♪

MCの紗月さんと志賀豊さん

先日惜しくも花街を引退した人気芸妓・紗月さん。こちらの連載は、引退前に撮影した第5弾~第6弾まで続々公開予定ですのでどうぞお楽しみに!!さて今回は、瑞宝単光章を授与された金彩伝統工芸士・志賀豊さんを訪ねて。京友禅における「化粧係」と呼ばれる金彩の繊細な作業を間近で拝見する貴重な機会…基本技である筒描きに苦戦する紗月さんのオフショットにも注目です!

いよいよ金彩に挑戦!【YouTubeリンク】

紬ちりめん地に竹笹文様が染め上げられた小紋に身を包む紗月さん
紬ちりめん地に竹笹文様が染められた小紋に身を包む紗月さん

約350年続く花街文化を支える職人さんたちの匠技を紹介することで後継者を発掘し、この先も絶えることない花街文化を継承していくお手伝いがしたい!そんな思いからスタートしたスペシャル企画番組「紗月がゆく!祇園・人気芸妓が訪ねる京の技」。

後ろには御所解文様を描いた京友禅の染め帯を背負って
御所解文様を描いた京友禅の染め帯で

YouTube動画では、今年の11月1日に花街を引退された元芸妓の紗月さんがMCを務めています。

今回訪ねましたのは、前編に引き続き、金彩伝統工芸士の志賀豊さんです。

「金彩」とは、染め上がった生地に金や銀の箔・金粉などを接着加工する技術のこと。別名“化粧係”と呼ばれる金彩を58年間続ける志賀さんはその功績を称えられ、2020年に瑞宝単光章を受賞されました。

金彩伝統工芸士・志賀豊さん
金彩伝統工芸士・志賀豊さん

そんな志賀さんに教えていただきながら、前編で少しだけ基本の技・筒描き(つつがき)を体験した紗月さん。
集中力を必要とする繊細な技術に苦戦されていましたが、後編ではさらに、帯揚げの柄の色を挿しその上から金箔を貼るという、本格的な友禅&金彩の体験に入っていきます!

下描きの状態の帯揚げと染料
下描きの状態の帯揚げと染料

絶え間ない努力が生んだ職人の技

志賀さんのお手本を見ながら、下描きされた模様を好きな色で染めていく紗月さん。
「(完成したら)帯揚げとして使ってください」と言われ、俄然やる気が出ます!

ポイントは筆に染料をたくさん付けず、少しずつ模様の内側から塗っていくこと。

作業に集中する紗月さん

桜の模様をかわいらしいピンク色で塗っていきます。

気になるのは、色を重ねていくことで出てくる色ムラ。しかし、志賀さんは「金箔を貼ると、ほとんど色ムラも分からなくなるので大丈夫ですよ。ぬり絵みたいなもんですよ」と落ち着いた声で教えてくれます。

桜の模様をかわいらしいピンク色で塗っていきます。

気になるのは、色を重ねていくことで出てくる色ムラ。しかし、志賀さんは「金箔を貼ると、ほとんど色ムラも分からなくなるので大丈夫ですよ。ぬり絵みたいなもんですよ」と落ち着いた声で教えてくれます。

塗り絵のように下描きされた模様に色をつけていく

今回撮影させていただきました京都室町の絹の老舗白生地メーカー『伊と幸』は、着物ファンにとっては憧れのブランド。
同社が志賀さんのマネージメントもされているということで、実は今回、代表取締役社長 北川幸さんも撮影に立ち合い、紗月さんと一緒に体験をしてくださいました!

紗月さんと「伊と幸」代表取締役社長・北川幸さん
紗月さんと「伊と幸」代表取締役社長・北川幸さん

力加減が難しいと苦戦されながらも、器用な手先でとても綺麗に色をつけていらっしゃった北川さん。お二人とも童心に返ったように、作業に没頭されていました♪

「楽しい!」と体験中の北川さん

毎日この作業を続けている志賀さん自身も、楽しく仕事することを心がけていらっしゃるよう。そしていつも、着る人のことを考えているのだそうです。
そんな志賀さんの魅力を、北川さんは“お人柄そのもの”と語ります。

「先生ってね、朝すごく早くご起床されてね。そのあと散歩に行かれたり、どういう状況でも生活リズムを崩されずに生き生きと生きてらっしゃいますの。いつも励まされています!」

紗月さんに「かっこいい」と褒められて少し照れ笑い
褒められて少し照れ笑い

志賀さんの仕事は365日無休。毎日1時間でも2時間でも必ず筒を持ち、作業する時間を作られているのだとか。

「旅行とか行かない限り、家におる時は仕事はとりあえずします」

金彩職人になり58年、その絶え間ない努力に頭が下がります。

努力の先に生み出された志賀さんの作品。見れば見るほど細やかな職人技に驚かされます

黒地に金彩の技がくっきりと冴えたひと品は、志賀さんの努力の先に生み出された作品。

見れば見るほどに、吸い込まれそうな世界観があります。

「金彩が私を選んでくれた」58年間の感謝

模様に塗った色をドライヤーで乾かしていく
模様に塗った色をドライヤーで乾かしていく

色塗りが終わるとさっと乾かし、今度は上から金箔を貼っていきます。

金箔を破いてしまい、慌てる紗月さん

金箔はとても柔らかく、少し触っただけでもすぐに破けてしまいます。端っこを破いてしまい、「怒られる!」と大慌ての紗月さん。

でも大丈夫!
金箔を少しずつ破り、糊の部分(模様のフチ)に貼っていく作業なのです。上から金箔を乗せ、アイロンを当てると自然にくっつきます。

細かな作業が続きましたが、ここでは豪快にペタペタと金箔を貼っていきます!

一見簡単そうですが、上から押さえると手に金箔がくっついてしまいます。「(若い人は)手が潤っているからくっつくんです(笑)」と志賀さん。

模様の上からペタペタと金箔を貼っていく
紗月さんと志賀さんの共同作業

ここからは共同作業で、紗月さんが金箔を乗せ、志賀さんが手で押さえていきます。

二人でやると、より楽しさが増しますね。

そしてアイロンで定着させ、豪快に掃除機で金箔を払ったら……

掃除機で金箔を払う
紗月さんが色塗り&金箔を貼った帯揚げ
帯揚げが完成です!

花柄の素敵な帯揚げが完成!金箔で縁取られることによって、より華やかさが増します。

この出来上がりに紗月さんも大満足。
「まさか私が塗ったとは、誰も気づかへん!」と喜びます。

色紙を書く志賀さん

最後に、志賀さんにとっての「金彩」について伺います。色紙に綴られたのは、志賀さんが58年間向き合われてきた金彩への想い。

「金彩が私を選んでくれた」と書かれた色紙

そこには、「金彩が私を選んでくれた」という感謝の気持ちが書かれていました。

「15歳でこの仕事について、何も分からずこれまで続けられたのは私が仕事を選んだのではなく、仕事が私を選んでくれたかなと思っているんですよ」

いくつになっても、どれだけ地位を築き上げても技術を磨き上げる努力を怠らず、楽しむ心を持ち続けるーー
そんな志賀さんの生き様を間近で見させていただきました。

紗月さんと志賀さん

「自分が日頃着るものをあらためて間近で見させていただいたり、体験させていただいて、本当にお勉強になりました。言葉通り、まさに着物のお化粧だなと。
先生の手によって、どんどん綺麗になっていくのを感じられる金彩体験でした」(紗月)

志賀さん、北川さん。お忙しい中、本当にありがとうございました!

ファン必見・撮影オフショット

優雅に着物をさばく紗月さん
優雅に着物をさばく紗月さん
伊と幸ビルの前で、今日も元気にカメラテスト!
伊と幸ビルの前で、今日も元気にカメラテスト!
お部屋には志賀さんの作品を飾っていただきました。圧巻の並びです…!
お部屋には志賀さんの作品が並べられて
今回の取材には伊と幸さんの社長・北川さんも駆けつけてくださいました♪
「伊と幸」社長 北川さんと。割烹着姿がステキなおふたり♪
割烹着を着るのをお手伝いしてくださっています(笑)
あたたかな光景です♪
体験は終始和やかな雰囲気で行われ、紗月さんも楽しそう
体験は終始和やかな雰囲気で行われ、紗月さんも楽しそう
二人の共同作業も息ぴったりでした!
二人の共同作業も息ぴったりでした!
紗月さんを見守ってくださった北川さん
紗月さんを見守ってくださった北川さん
金彩の魅力がビシバシ伝わる取材でしたね
金彩の魅力がビシバシ伝わる取材でしたね
最後にお三方で記念撮影♪
最後にお三方で記念撮影♪

京都で花開き発展した京友禅。日本三大友禅の中でも最も歴史が古く、豪華絢爛な染めの技法として世界に名を馳せています。まさに日本を代表する伝統工芸品の一つ。日本のみならず世界中の着物ファンを魅了してやまない京友禅。知っておきたいその歴史や特徴、京友禅ならではの技法や魅力も詳しく解説しています。

京友禅染匠・富宏染工、京友禅の未来

彩琳社長、藤井友子さんのコラムはこちら!
「ひとつひとつの色をつくる 、京友禅染匠がみる景色」

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