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ピンキリなキリ箪笥だけに! 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.3

ピンキリなキリ箪笥だけに! 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.3

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元『きものSalon』編集長・古谷尚子さんが見つけた素敵なもの。おうち時間に古谷さん自らひらめいたアイデアを商品化した桐箪笥は、現代の着物ファンの率直なニーズにぴったり。”ちょうどいい”桐箪笥、お探しではいらっしゃいませんか?

この夏、褒められまくったアバカの籠バッグ 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.2

元『きものSalon』編集長・古谷尚子さんが見つけた素敵なもの。今回は、この夏の思い出に寄り添った自然味あふれるバッグについて。優しい人たちの気持ちが繋がり合い生み出されたプロダクトには、南の島の気配がたっぷりと詰まっています。

やっぱり、きものと洋服は別に収納したいのですよ

コロナ禍にあって思いがけずよかったことは、家にいる時間が増えたことかもしれません。やろうやろうと思っていた箪笥の片づけをしようと引き出しを開けて、きもの類の整理を始めたのですが、そこで思考がスタックしてしまいました。

やっぱりきものは桐箪笥に収めるべきだ!きもの用の桐箪笥が欲しい!

さっそくネットで桐箪笥を検索すると、まさにピンキリ。
安価で簡易的なボックス型は本当に桐なのか?クオリティに不安。かといって本格的な桐箪笥は欲しいけど高価でなかなか手が出ず。さて、どうしたものか……。

桐箪笥

良質な桐の無垢材を用いた高級桐箪笥。大阪・泉州の田中家具製作所「初音の家具」、定番デザインの「楓」は定価185万円(税抜)。

なんと美しい箪笥なのでしょう。憧れます。

きっかけは東日本大震災後の心に響く話

東日本大震災から4年後の2015年、とある東北の呉服店に取材に行きました。
海岸に近かった店舗は跡形もなくなってしまい、当時まだ仮設住宅に住んでいた店主が取り組んでいたのは、津波で流されたきものの洗い張りでした。

なんと、桐箪笥は水に浮くので、汚れはしたものの中のきものは無事。二千枚近くを再生できたと言うのです。

津波に負けずに持ち主の元に戻った桐箪笥の話を聞き、タイタニック号のルイ・ヴィトンの鞄の伝説を思い出しました(防水と密閉性の高いトランクだったため中の宝石やドレスが無事だった、という逸話)。

桐のチカラ、日本の知恵の素晴らしさを実際の出来事を通して再認識し、「きものは桐箪笥に仕舞うもの」という自分に刷り込まれた常識に従うべきだ、いつかは私のきものたちのために桐箪笥を買おう、と心に強く思ったのでした。

桐箪笥

密閉度がいのちの桐箪笥。湿気や温度で変化する木材ならではの使い心地。

「呼吸する箪笥」が中のきものを守ってくれている感じがします。

ロックダウン中に湧いてきたアイデア

話は箪笥の整理に戻ります。

これだ!という桐箪笥が見つからないので、ピンとキリの中間の桐箪笥を作ってもらえないか、最高峰の桐箪笥の産地である大阪・泉州の「初音の家具」田中家具製作所に掛け合ってみることにしました。

まず一番困っていた帯の収納。
場所をとらないコンパクトな設計の「オカモチ式」を思いつき、絵に書いて写メして、工房を仕切る田中美志樹専務に相談。突拍子もない私の話に「まぁ、試しに作ってみましょう!」と快いお返事をいただきます。

こだわりポイントは、

〇木材は高級な桐箪笥と同じ桐素材を使用する
〇金属を一切使わない昔ながらの製法のアリ組と木釘で作る
〇リビングに置いても絵になるシンプルで美しい仕上げ

出来上がったオカモチ式の「帯たんす」。『家庭画報特選きものSalon』の公式通販・和美人百貨店で販売したところ、大変好評をいただきました!
ウォークインクローゼットの中でもリビングに置いても、とうれしいお声が続々。

桐の原木

日本の東北地方やアメリカ・バージニア州の良質な桐の原木を丸太の状態で買付け。美しい桐にこだわる田中家具製作所。

切り出した材は2~3年自然乾燥させてアクを抜きます。軽量で調湿効果、抗菌効果、難燃性、気密性の高さが桐箪笥の特徴。

丁寧な手仕事

田中家具製作所の工房には5人の伝統工芸士をはじめ、技術力の高い家具職人さんが揃います。手組にこだわり、ひとつひとつ丁寧に作られていく箪笥。

伝統製法のアリ組によって金属を使わずに組まれていきます。

桐箪笥のあり組み

好評のお声に応えて次々とアイデアが!

帯箪笥が予想以上に好評を得たので、さらにやる気を出し、飽くなき挑戦へと続きます。

 ─── 私 「田中専務、またアイデアが浮かびました!扉を、こう、上にスライドさせて入れ込めたら、スタッキングして重ねることもできると思うのです!」

 ─── 田中専務 「はぁ…うーむ。。。やってみんことにはわからんなあ」

実は、最初はうまくいかず諦めかけたというのは後で聞いたのですが、予想以上の仕上がりになった、きものサイズのミニ箪笥ができました。それが「フラップ式総桐たんす」です。メンテナンス時にフラップ部分を取り外せるように、そこだけは金属の金具を使用していますが、あとは帯箪笥と同じように泉州の伝統工芸士の技が存分に生かされています。

フラップ式の桐箪笥
桐箪笥、このように開きます
桐箪笥、扉が収納できます
桐箪笥・着物用

さらにさらに、このフラップ式バージョンの帯サイズ版も試作中だったのですが…
本日より松屋銀座店で開催される銀座の「きもの」市の催事(10月26~11月1日)の一角「和文化コーディネーター古谷尚子のセレクトショップ」コーナーでお披露目となりましたので、ぜひ見に来てください。

京都きもの市場のオンラインショップでも、同時にお取扱いスタート!ご遠方の方はぜひこちらから。

手前の扉部分をスライドさせて上部に収納できるようにしたフラップ式。二段、三段と重ねることができます。また、お手持ちの箪笥の上部空きスペースにも活用できます。

(きもの版のサイズは幅100×高さ42×奥行き45.5㎝)

帯箪笥
桐箪笥、重ねられます

仕切り板が可動な、帯締め・帯揚げ収納箱も。とにかく軽いのにびっくりしますよ。

帯締めケース
仕切りは可動
重ねられます

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