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衿替え、そして妹たちの見世出しのこと 「京都・祇園甲部芸妓、佳つ雛日記!」vol.12

衿替え、そして妹たちの見世出しのこと 「京都・祇園甲部芸妓、佳つ雛日記!」vol.12

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「衿替え」とは、芸妓になる日のこと。花街によって慣習は違うのですが、祇園甲部では、衿替えが決まりましたら1ヶ月くらい前から日々のお支度が変わっていきます。

梅から桃、桜へと開花情報が楽しみな季節となりました

梅から桃、桜へと開花情報が楽しみな季節となりましたが、みなさまいかがお過ごしですか。

二月中旬に白川沿いを散歩していたら、旅館白梅さんのところで咲いていた梅どす。
たまたまメジロが飛んできて絵画のよう。
着物や帯の柄にした〜いと思いながらパシャリ!

今回は、芸妓姿でお馴染みの「襟替え」までのお話しをしたいと思います。

「襟替え」当日までの慣習

「襟替え」とは、芸妓になる日のこと。
花街によって慣習は違うのですが、祇園甲部では、襟替えが決まりましたら1ヶ月くらい前から日々のお支度が変わっていきます。

まずは1週間ほど「奴島田(やっこしまだ)」を結います。
これは、「おふく」の舞妓の正装の時・お正月・始業式・八朔(はっさく)のときなどに結う髪型です。

1週間ほど「奴島田(やっこしまだ)」を結います。
舞妓として色のついた衣装は最後どすね。

この時は色紋付を着てます。
舞妓として色のついた衣装は最後どすね。
お母さんが出してくれはった衣装は、銀鼠色に竹、帯は松、簪は2月なので梅をさしてますね。
なんと…「松竹梅」になってます!

舞妓の最後とあって、かわいらしい色よりも大人な色を着せてもらうようになりますね。

そしてみなさん、絵画などでもご覧の方もいはると思いますが、長い方やと1ヶ月近く「先笄(さっこう)」と言うて鳥の尾っぽのような髪、鼈甲の簪、おめでたい簪をみんなそれぞれ簪屋さんへお願いしてこしらえます。

もともとは、若い既婚の女性が結っていた髪型だそうです。

もともとは、若い既婚の女性が結っていた髪型だそうです。
松喰い鶴になっている簪

うちのさしている簪は私の姉さんのもので、その簪をぜひさしたいと思いお借りしたものどす。
松喰い鶴になっているのが特徴どす!!

この後、襟替えした子から「姉さんの鶴の簪真似させてもらいました〜!」と聞くこともありました(笑)

舞妓最後の日そして「襟替え」当日

そして、このときに舞わせてもらうのが『黒髪』という唄どす。
独り寝の女のせつない思いを唄にしたもので、手おどりで舞います。
昔はお祝いの華やかな『石橋』などだったそうですが、いつからか『黒髪』になった、とお座敷で姉さんがいうたはりました。

先笄(さっこう)結うてお家元さんのところへ挨拶へ行った日が2月3日のお化けの日やったので(「お化け」については前回コラム『思い出深い2月のこと』参照)、お化けの格好で先笄を結うてんのやと勘違いされながらお座敷をまわったことをよく覚えてます(笑)

このときに舞わせてもらうのが『黒髪』という唄どす。
京都とは思えへん雪で、とってもええ写真で気に入ってます。

この写真は、舞妓最後の日に大原三千院へ寄せてもたときの写真どす!
京都とは思えへん雪で、とってもええ写真で気に入ってます。

舞妓としての宴会の最後は、小田本の姉さん方や同期がなどが集まり、断髪式をしてもらいます。

その時の裏話で、普通は「もう舞妓の格好はできひんのやなぁ〜」とさみしく思うところ、うちはその年の春秋座で開催した『都をどり』に舞妓役で出演することが決まっていたので他の子よりも寂しさはおへんどしたね(笑)

小田本の姉さん方や同期がなどが集まり、断髪式をしてもらいます。
襟替え当日は黒紋付を着て男衆(おとこし)さんと一緒に挨拶まわりとなります。

襟替え当日は、舞妓のときと同じく黒紋付を着て男衆(おとこし)さんと一緒に挨拶まわりとなります。

妹を引くということ

そして遅ればせながら紹介すると、今うちには2人の妹がいまして、佳つ桃・佳つ駒といいます。

佳つ桃は2018年2月に、佳つ駒は2020年3月に見世出し(舞妓デビュー)しました。

まだまだ未熟なうちが妹をというのがとても不安で不安で、どうしたらええのかという気持ちがいっぱいでしたが、きっと姉さんも同じやったのにうちを引いてくれたんや!と思いまして引き受けさせてもらいました。

妹の紹介

先月のコラムは「お化けのこと」と「うちの見世出し編」どしたが、今回は「うちが妹を見守る編」で書かせてもらいます。
見世出しの簪についてなどはうちと同じなので省略させてもらいます、すんまへん。

いざ挨拶まわりへの前に、門出を祝い火打ち石をします。

支度が終わり、いざ挨拶まわりへの前に、門出を祝い火打ち石をします。

挨拶まわりから帰ってきたら、妹との盃をかわします。
まず姉から盃をとり、次に妹、そしてまた姉がとります。
姉妹の契りを結ぶというかたちどす。

自分のときは、全く緊張しすぎて何をしたのか記憶におへんどしたね。

挨拶まわりから帰ってきたら、妹との盃をかわします
自分のときは、全く緊張しすぎて何をしたのか記憶におへんどしたね。

そしてその後「おちつき」といい、ご贔屓のお客様と姉妹でお食事に連れてもらい、またお座敷へと向かいます。

2020年にでたばかりの舞妓ちゃんらは、コロナの影響でなかなかお座敷も大きなパーティーでのおもてなしもおへんどしたので、今年こそまた通常に戻ることを祈ってます。

『都をどり』開催中止ですが…

そして残念なお知らせになりますが…
2021年度の『都をどり』の開催中止が発表されました。
今年こそは開催できることを信じていたのでとても残念なことになってしまいました。
うちは『都をどり』を中学生のときに観たのが舞妓になるきっかけやったので、同じように『都をどり』を観て憧れて入ってきた子もたくさんいはると思います。

ですが、『都をどり』にかわるイベントなども計画されていますので、ぜひそちらへ観にきとくれやす!
よろしゅうお頼申します。

おおきに。

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