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きものでリモートワーク「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.21

きものでリモートワーク「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.21

2021.02.01 （2021.08.03 更新）

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きものでリモートワーク、ひとりでパソコンに向かっているときはあまり気にしませんが、誰かと打ち合わせをするようなときは、きちんと鏡に向かって衿元が左右対称になっているかどうか確認しています。ここが揃っていないと、だらしない印象になってしまうのです。

「リモートワーク」という言葉、去年の今頃は知らなったな、と思いつつ、しばらくはこんな感じなんだろうなぁ。慣れていくしかない日々です。以前スーツ専門店では「ツーパンツ」なんて言っていたのに、リモートワークが進む昨今では、裾が切れることはなさそうです。上はジャケットにワイシャツにネクタイでも、机の下になって見えない部分はツーパンツどころかショートパンツにスリッパ、という時代なのです。

わたしもリモートでの会議や打ち合わせを何度かしているのですが、「ただいまー！おやつなんか無い？」という子どもの声が入ってしまったり、犬が乱入して膝の上に乗ってしまったり。先日某YouTubeのライブに出演したのですが、リハーサルのときにおとなしく寝ていた犬が、本番になったとたんはしゃぎ回ってしまい、始まるや否や強制退場～。アーカイブに犬を追いまわすコントのような様子が残ってしまいました……。

リモートで一番ショックだったのは、わたしが見ている画面と他人が見ている画面の見え方が違うという事実に直面したときでした。「いまさん、顔が近い！」と言われても、わたしから見るとちょうどいいバランスだったのです。先方から画面の写真を撮って送ってもらうと、なんと眉毛から下の顔のアップ！帯揚げもきれいに整えておいたのに、さっぱり映っていなかったなんてショック！それ以来しばらくは、相手の方に見え方を確認していましたね。

きものでリモートワーク、ひとりでパソコンに向かっているときはあまり気にしませんが、誰かと打ち合わせをするようなときは、きちんと鏡に向かって衿元が左右対称になっているかどうか確認しています。ここが揃っていないと、だらしない印象になってしまうのです。着るときに背中心をきちんと合わせて、衿を丁寧に合わせるようにすれば心配はいりません。

せっかくなので、きもの、帯、半衿、帯締め、帯揚げのコーディネートがきちんと見えるように気を付けていますが、見た目だけがきものになればいい、というのもこの際アリです。美容衿に半衿を縫い付けて長襦袢の代わりにして、半幅帯に帯締め帯揚げをしてお太鼓のように見せたとしても、誰も疑いません。
また、パーカーインにしたり、タートルネックのセーターを襦袢代わりにして、その上からきものを羽織り、半幅帯というのも。リモートワークの着るものに決まりや制限はありません。楽しんだ者勝ち！と思います。

エッセイスト・イラストレーターきくちいまさん

ほぼ一年中を着物で過ごし、着物ライフの楽しさをイラストとエッセイでつづる。執筆の他、着物や帯などのプロデュースも手がけ「着物は人生に寄り添うもの。おしゃれで楽しくて、お守りのような存在の布になれたらと願い、ものづくりをしています」と語る。著書に「大人かわいい着物読本」(主婦と生活社)、「おとなのときめきふだん着物」(河出書房新社)、「買ってはいけない着物と着物まわり」(実業之日本社)などがあり、最新刊は「東京着物さんぽ」(GB)。山形県在住で、子3人犬1匹の母でもある。