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華やぎ、の定義「京友禅染匠・富宏染工 藤井友子」

華やぎ、の定義 「ひとつひとつの色をつくる 、京友禅染匠がみる景色」 vol.4

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私が描く、また表現したい柄や色は、その瞬間瞬間の美しさ、華やぎであり…美しいけれど絶えず変化し続けて決して永遠のものではないものたちです。今も京都に残る日本の自然観・世界観・美意識といった「根底に流れるもの」を形づくり、具現化したいと思っています。

絹地にたゆたう貝模様

京都の着物は「華やか」と言われますが、いわゆる派手とかゴージャス、というものとは一味違うと思っています。

うちは基本的に古典の着物が多いのですが、これは日本画、大和絵を基本にしていることによります。大和絵というのは中国的な主題を扱った唐絵に対して、日本の風景や四季を描く平安時代以来の伝統的な絵画様式をいいます。

衣桁にかけた着物はまるで一幅の絵画のよう

絵羽にして衣桁にかけた振袖・訪問着の姿は、まるで一枚の絵のよう。
着物の柄は日本画と同じで平面的で特定の焦点がなく、見る側見られる側の境界線が曖昧な空間意識が特徴です。

よく友禅は「はんなり」「雅やか」と言われますが「みやび」は平安時代の「宮ぶ」から出た言葉らしく、宮廷風という意味で、都会的な文化や感受性によって見出されたと言われています。「上品で優雅、知的に洗練された」という美しさをあらわす言葉と言えるでしょう。「あはれ」「をかし」も「雅び」の一面をなしていると言われます。この流れをくむように京都の友禅は野暮や無知と背反し、上品で奥ゆかしさ、しなやかさのある華やぎを基本とします。

華やぎの根底にあるものは変化であり諸行無常

もうひとつの華やぎの根底にあるものは、変化であり諸行無常。

日本は緯度方向に長いこともあり、多彩な植物生物などに恵まれた一方、地震・洪水・噴火など厳しい自然とともに生きてきました。雨・雪・風の表現が英語では240ワード前後なのに対して、日本語ではなんと3,000語もあると言われています。
現在でも、着物に春夏秋冬や自然の移ろい・情趣を描くものが好まれるのは、日本人が、巡り来る季節や儚く消えてしまうものを美しいと思い、その繰り返しを大事にする価値観が根付いているからだと思います。

私が描く、また表現したい柄や色は、その瞬間瞬間の美しさ、華やぎであり…
美しいけれど、絶えず変化し続けて決して永遠のものではないものたちです。
私たちが世界をどう見ているか。また、今も京都に残る日本の自然観・世界観・美意識といった「根底に流れるもの」をかたちづくり、具現化したいと常に思っています。

こうした華やぎを持つ着物は、日本女性の美しさを、表面的にではなく、もっと深いところから引き出すものと考えています。

洋服では着ない色も多く、帯や小物などとの色合わせが難しいと思われることがあるかもしれませんが、組み合わせは無限です。その時々の季節を感じ、ご自分が美しいと感じる色を纏って、オンリーワンの着こなしを楽しんでいただくお手伝いができればと考えています。

事業継承。その原点にある想い。

2020年8月25日
藤井寛から友子へと事業は継承され、彩琳株式会社として新たな一歩を歩みはじめました。

旧社名 有限会社彩琳
新社名 彩琳株式会社

令和二年八月吉日
代表取締役会長 藤井 寛
代表取締役社長 藤井友子

彩琳株式会社
富宏染工株式会社
RITOFU
IROMORI
MA・劇伴   松野 泉
プロデュース  安東夏子(株式会社AND)
撮影・編集   志子田 勇(MOM&DAVID)

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