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愉しみ方は十人十色 『梅が香』水野小巻先生に聞く 「きもの好きの茶道はじめ」vol.4

愉しみ方は十人十色 『梅が香』水野小巻先生に聞く 「きもの好きの茶道はじめ」vol.4

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お稽古と和食ランチが楽しめる『梅が香 裏千家お茶の教室』神楽坂稽古場。一度に二度おいしい生徒さんたちの1日に密着しました!上手な茶道との向き合い方とは?今すぐにでも茶道を始めたくなる水野小巻先生のお答えにもご注目を。

よみもの

「きもの好きの茶道はじめ」

茶道はじめのさまざまな不安を解消!

生徒のTさんが点てるお茶

”きものを着始めるきっかけ”になった、あるいは逆に、”きものを着るための口実として始めた”ものとして頻繁に挙げられる「茶道」。

普段のお稽古やお茶会など、茶道はきものを着る機会が多いため、きものファンのなかには茶道に興味を持たれる方が多くいらっしゃいます

そんな方々に贈る連載「きもの好きの茶道はじめ」。

小巻先生と生徒のSさん

小巻先生と生徒のSさん

『梅が香 裏千家お茶の教室』を主宰する水野小巻(宗巻)先生とその生徒さん方にご協力いただき、どうしても敷居が高く感じられる茶道を始めるにあたってのさまざまな不安を解消してきた全4回に渡るこのコラムも、今回がついに最終回となります。

お食事中の一場面

東京・神楽坂の京料理屋『神楽坂 和食 千』の一室で行われているテーブルでのお稽古の模様をお届けした前回。

実は、神楽坂のお稽古に通われている方は、稽古後にそのままお店で小巻先生とお食事も愉しめるのです!

小巻先生の清涼感あふれるコーディネート

笑顔をより際立たせる着物コーデ

第4弾では、少々お堅いイメージのある茶道とは異なる、その楽しげなお食事の場面をレポートいたします。またお食事中の小巻先生に、”茶道との上手な付き合い方”について伺うとともに、小巻先生からきもの好きな読者のみなさまへのメッセージも。

どうぞ最後までお付き合いください!

お稽古について「教えて!小巻先生」【Q&A】

Q1 許状(※)は必ず取らなければならないものなのでしょうか?

※許状……稽古の各段階ごとに学ぶことを許可する”許し状”のこと。申請料は一律だが、申請料とは別に先生へお礼をお渡しするのが一般的(金額は先生によって異なる)。

初級のお許伏はみなさんにお取りいただいています

というのも、裏千家におけるお許状は「このお点前ができるようになりました」という合格証ではなく、「このお点前をしてもいいですよ」という“お許し状”なんです。

お食事中に質問に答えてくださった小巻先生

ですので、本来は初級のお許状をお持ちでなければ、お点前だけではなく、お客さまのお稽古もできません。

ただこれですと初心者の方は何もお稽古ができないことになりますので、入門後半年を目安に、初歩のお稽古である初級のお許状をお取りいただいております。

夏らしい団扇蒔絵のお棗

撮影は6月末の夏へと向かう時期。季節に合わせた団扇蒔絵のお棗

初級の先どのように進むかということに関しては、『梅が香』では自由です。

どんどん先に進みたい方もいれば、一つひとつのお点前をきっちり習得してから次に進みたい方もいらっしゃいます。せっかくご縁が繋がったのですから、私はなるべく生徒さんのご希望に添う形でお稽古していきたいと思っています。

ですので、梅が香では在籍されている方全員と1年に1回、必ず面談の時間を設けています。入門された時にもご希望は伺っておりますが、通っているうちにお気持ちが変わることも当然ありますから。

今年1月からお茶を始めたSさんも子育てが落ち着いたら、初級より先に進みたいと思っているそう

今年始めたばかりのSさんも、子育てが落ち着いたら初級より先に進みたいと思われているそう

なかには、いずれ子供の手が離れたら、本格的に習いお許状を少しずつ取っていきたいとおっしゃる方も。そういったライフステージに合わせて、お稽古のスタイルを変えていけるというのは『梅が香』の魅力かもしれません。

お茶の世界は、このお許状を取ったら次はこのお許状、というように進んでいくのが一般的です。その辺りは先生によりお考えは様々ですので、ご不安な方は入門なさるに前にお伺いした方がよろしいと思います。

Q2 小巻先生が考える”茶道との上手な付き合い方”を教えてください。

どのようなお考えの先生についていかれたいのか。お茶を極めたいのか、趣味程度がよいのか。また、1年後にはどういうことができるようになりたいのか、など。

このような自分の希望や考えを明確にしておくことは、お茶に限らず、なにかを始める上で大事になってくるかと思います。

どういう気持ちでお茶と向き合うかは人それぞれ

一方で、始めてみなければ分からないこともたくさんあると思います。

例えば、前述の通り、少し生活に余裕ができたら本格的に習いたくなるかもしれませんし、最初はこれくらいでいいやと思っていても、通っているうちに面白さを覚えてもっと深く知りたくなることもあるでしょう。

取材陣のためにお茶を点ててくださった小巻先生

先生との相性も同じです。

人のお気持ちは良くも悪くも変化するものです。最初は合うと思っても合わなくなっていくこともありますよね。逆に、最初はちょっと違うかな?と思う部分があっても、習っているうちに自分のお気持ちが変化して合うようになっていくこともあると思います。

環境の変化なども含め、合わないなと思われたら最終的にお辞めいただいて構わないです、と私はみなさんにお伝えしています。


冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが合わないと思いながら続けてもお稽古は楽しくありません。
お互いにとっても良いことではないからです。(ただ、突然お辞めになるとお伝えするのではなく、まずはご相談なさるのがよろしいですよ。改善できることもありますから。)

だからこそ、最初に先生の方針と自分の考えが合うのかどうかをできる限り見極めることは重要です。

そのためにもお稽古を続けられる条件を明確にし、少しでも多く体験に行かれ、できれば先生にお時間をいただいて、じっくりお話しされるのもいいことだと思いますよ。

Tさんの溢れる笑顔からも小巻先生との相性の良さを感じます

Tさんの溢れる笑顔からも小巻先生との相性の良さを感じます

そして、前回の記事でもお話いたしましたが、お茶の世界はまだ封建的であるということもご理解のうえ、お稽古をなされば上手に付き合っていけるかと思います。

Q3 最後に、着物ファンのみなさまにメッセージをお願いします!

何を始めるにしても、きっかけはなんでもでいいと思っています。やりたいなと思ったときが、始めどき。そのお気持ちが大切!

最初はお菓子が目当てでも小巻先生はOKとのこと

最初はお菓子が目当てでも

おきものに関しても同じで、とにかく着ることが大事、回数です。最初は着付けが上手くできなくても、着ていくうちに要領が掴めていくもの。コートを着てしまえばあらも隠せますし(笑)着る機会を作ってたくさんおでかけしてください。ハードルが高ければ、まずは浴衣から挑戦してみるのもいいですね。

茶道もおきものも、ちょっと勇気を出して一歩踏み出せば、その先の世界がとても広がって行きます!

ご自身のスマホで取材風景を撮影されていた小巻先生。笑顔がとってもチャーミング!

ご自身のスマホで取材風景を撮影されていた小巻先生。笑顔がとってもチャーミング!

お稽古後のお楽しみ!京料理に舌鼓

茶道具を片付け、お食事がスタート!

茶道具を片付け、お食事がスタート!

こちらは、先ほどまでお稽古が行われていた個室。お道具を片付けたら、お店の方がお料理を運んできてくださり、お待ちかねのお食事が始まります!

『神楽坂 和食 千』で提供されるのは、どれも目にも楽しく美味しい、趣向を凝らした京料理ばかり。

小巻先生は初めてこちらでお食事をされた際、焼き胡麻豆富のあまりのおいしさに感動したのだとか。

小巻先生が大好きな焼き胡麻豆腐

そしてこじんまりとしたお店の雰囲気と接客のあたたかさも気に入り、お稽古を頑張った生徒のみなさんにもこちらでリフレッシュしてもらえたら、と思ったそうです。

四季折々の食材を使ったお料理たち

四季折々の食材を使ったお料理たち

見ているだけでお腹が空きそうです……!

Sさんもお料理を前に、思わずにんまり。どれも美味しそうで、何から食べるか迷ってしまいますね。

何を食べても美味しいお食事に嬉しそうなSさん

お食事もそうですが、生徒さん方がもうひとつ楽しみにしているのは小巻先生を囲んでのお喋り。

先ほどのお稽古について振り返ったり、最近どんなきものを買ったか、どんなことに熱中しているのかなど、会話の内容は多岐に渡ります。

小巻先生とお食事と会話を楽しむ時間

小巻先生の教室では、数人の生徒さんが事務局を務め、いろんなイベントを考えてくださっているそう。今年はみなさんで器を作りに陶芸教室へ行かれ、自分たちで成形から色付けまでをなさったとのことです。

他にも有名なかき氷屋さんに出かけたりと、一緒にさまざまな体験をなさっているみなさん。

「〇〇さんの作った器上手だったわね」「この前の○○のかき氷がおいしかった!」などなど、思い出話がつきません。

日頃からの小巻先生と生徒さんとの親しさゆえですね。

盛り上げ隊長のTさん

盛り上げ隊長のTさん

お話し上手なTさんはいつもみんなの盛り上げ役で、Tさんがいるだけでその場がパッと明るくなるのだそう。私たち取材陣にも親しみやすい姿勢で接してくださり、その日一日を楽しく過ごすことができました。

Tさんの軽快なトークに笑いが止まらない小巻先生とSさん

Tさんの軽快なトークに笑いが止まらない小巻先生とSさん

小巻先生の教室に通い始めるかなり前に、茶道を習っていたことがあるというTさん。結婚を機に一度は離れたものの、あるきっかけで再び茶道を習うこととなりました。

そのきっかけとは、紅型作家・縄トモコさんとの出会い。

「歳を重ねてからは、きものを着るのがいいな」ときものに興味を持ち始めたTさんは、縄さんの作品のファンになったそう。実はその縄さんが小巻先生のお教室に通っていらしたので、Tさんも体験に行こうと思われたとのことです。

稽古が始まった瞬間、キリッとなる表情が素敵でした

稽古が始まった瞬間、キリッとなる表情が素敵でした

Tさんは普段から足が痛むそうで、テーブルでの稽古なら正座もしなくていいし、リハビリにもなって健康にもいいと思ったこと。さらには、以前身につけたお点前の復習にもなると感じ、小巻先生のお教室に通うことを決意したそうです。

また、「ゆるりと楽しく」をモットーとする小巻先生の柔らかいお人柄も決め手になったといいます。

女優と見まごうほどのオーラを放つTさん

お話し上手、かつ、しっとり和美人なTさん

「毎月1回の稽古には、必ずきもので」と決め、前日からコーディネートを考えているというTさん。

この日は、飛び柄で花輪模様が散りばめられた紋紗の着物をお召しになっていました。

黒地でも透け感のある生地なので、重たい印象にならず、涼しげでありながら他の人とは違った印象を与えてくれます。

そこに合わせるのは、きもの愛好家のみなさまに大人気のメーカー『貴久樹』の帯。

貴久樹だからこそなし得る、銀駒刺繍で浮かび上がった蔓ぶどうの繊細な模様がとても美しいです。

銀駒刺繍で蔓ぶどうが描かれた帯

爽やかなグリーンが夏らしさを漂わせる帯揚げは『ayaka_kimono renka』のオリジナル商品。『有職組紐 道明』の3色で構成された帯締めによる色使いにも、Tさんのセンスを感じます。

小巻先生の教室にはきもの好きの方が多く、Tさんはみなさんと一緒に『京都きもの市場』の催事にも来てくださったそう。ありがとうございます!

ちりよけには、紋紗の羽織を。白地でさらに爽やかな印象に!

紋紗の羽織を。白地でさらに爽やかな印象に!

若い頃はおまんじゅうが楽しみでお茶を習っていましたが、今ではお茶から趣味が広がり、色々なことに興味を持つようになったというTさん。新型コロナウイルスで日常が一変したこともあり、今は「やりたいことをやろう」と強く思っているそうです。

ご自身にとって、『梅が香』はどのような場所なのか。

『梅が香』が癒しの空間になっているというTさん

「日頃の鬱憤を聞いてもらったり、みんなでかき氷を食べに行ったり、この場所が癒しの空間になっています」(Tさん)

お食事が終わった後は、お店の外で恒例の撮影大会!

小巻先生のスマホでその日のコーディネートを撮影し合い、お稽古の一つの思い出として記録します。

素敵な小巻先生の装いに撮影ボタンを押す手が止まりません
Sさんのコーディネートを先生自らが撮影

写真はInstagramにて”#お太鼓コレクション”として人気

撮影した写真は『梅が香』のInstagramに随時アップされていくので、数ヶ月後、数年後にも手軽に振り返れるのがいいですね。

Sさんが羽織に使っていたフラミンゴのファンシーなストールも素敵でした!

Sさんが羽織に使っていたフラミンゴのファンシーなストールも素敵でした!

密着連載「きもの好きの茶道はじめ」はいかがでしたでしょうか。

お茶席での服装のマナーからお月謝のことまで、素朴な疑問に小巻先生が丁寧にお答えくださったおかげで、茶道を始めるにあたっての不安がかなり解消されたことと思います。

小巻先生が「きっかけは何でもいい。やりたいと思ったときが、始めどき」とおっしゃってくださったように、ぜひ気になる方は少しでも多くの教室へ体験に行かれ、ご自身に合う先生のもとで存分にお茶の世界を楽しんでください!

あらためて、大事なお稽古を取材させてくださった小巻先生はじめ生徒のみなさま、ありがとうございました!

小巻先生を囲み、生徒のSさん(左)とTさん(右)

小巻先生を囲み、生徒のSさん(左)とTさん(右)

撮影/TADEAI 久野藍

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