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備えあれば！優秀な草履のお話「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.72

備えあれば！優秀な草履のお話「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.72

2023.06.01

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上履きをスリッパでなく草履にしたら、着姿のシルエットが美しいんですよ。裾も汚れません。階段の途中でスリッパが脱げてシンデレラになることもありません。

「草履を履こうと思って箱から取り出したら底が剥がれてパカパカになっていた」

「しまいっぱなしだった草履を履いて一歩踏み出したら底が崩れた」

……残念ながら、よく聞く話です。

これは古いタイプの草履にありがちな経年劣化です。嫁入りに持参してそのまましまい込み、いざ履こうとしたら使い物にならなかった、という悲しい経験を、今も全国のあちこちで、誰かがしているのです。

卒業式や入学式を控えたママ友数人から、今の春にも同じような悩みが来ました。どうしたらいい？と聞かれても、残念ながら答えは、

「寿命です。買い替えるしかない」

「嘘でしょ、1回も履いてないのに？」

そうなんです、古いタイプの草履はどうしてもそうなってしまうんです。んもう！そんな草履作らなきゃいいのに！

よーし、わたしはそうならない草履を選ぼう！

また、入学式や卒業式は、学校の体育館で行われることが多く、スリッパで参加する保護者が多いのですが、きものにスリッパは相性がすこぶる悪い！脱げやすいし、草履の高さも失われるので、その分きものの裾も床につきやすくなる。気を付けないと裾が汚れます。

そこでわたしは上履き専用の草履を用意しました。もちろん、外用と中用に分けずに、底を拭いて使うことも可能です。上履きをスリッパでなく草履にしたら、着姿のシルエットが美しいんですよ。裾も汚れません。階段の途中でスリッパが脱げてシンデレラになることもありません。

今回自信満々にご紹介するのは、実際に自分が必要と思うものしかモノづくりができないきくちいまと、履きやすさ、お洒落さが抜群で、きもの人たちから愛されている菱屋カレンブロッソのコラボです。

この草履、小紋や付下げ、訪問着に合わせてお使いいただけますので、入学式や卒業式を控えた方だけでなく、茶席やそれ以外のおめかし全般におすすめです。あるママ友などは、なんと留袖と組み合わせたとか。

足が痛くならない、ずっと安心の草履ですので、頻繁に草履を履く方にはもちろん、着る日に備えてしまっておく方にも、贈り物とお考えの方にも、自信をもっておすすめできます。今回、京都きもの市場さんでも取り扱っていただけることになりましたので、ご報告を兼ねて、お話しさせていただきました。

ひとりでも、草履で悲しい思いをされる方が減りますように！！

ほぼ一年中を着物で過ごし、着物ライフの楽しさをイラストとエッセイでつづる。執筆の他、着物や帯などのプロデュースも手がけ「着物は人生に寄り添うもの。おしゃれで楽しくて、お守りのような存在の布になれたらと願い、ものづくりをしています」と語る。著書に「大人かわいい着物読本」(主婦と生活社)、「おとなのときめきふだん着物」(河出書房新社)、「買ってはいけない着物と着物まわり」(実業之日本社)などがあり、最新刊は「東京着物さんぽ」(GB)。山形県在住で、子3人犬1匹の母でもある。