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軽やかに春本番を迎える弥生 「月々の文様ばなし」vol.12(最終回)

軽やかに春本番を迎える弥生 「月々の文様ばなし」vol.12(最終回)

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日本の三月は、年度末で締めくくりの季節でもありますね。 卒業式など、着物をお召しになられる機会も多いかと思います。人生の節目のよき日に、または、待ちわびた春を喜びたい日になど、身も心も軽やかに着物をお召しになってお出かけください。

2023.01.21

まなぶ

先駆ける春を装う如月 「月々の文様ばなし」vol.11

早咲きの花が咲きはじめる3月

日ごとに春の日射しが強くなり、野の草や木々の枝に、早咲きの花が咲きはじめます。

この季節は、急な気候の乱れで強い風が吹く日もあり、薄手のちりよけや羽織もまだ手放せませんが、着物を着る気持ちはとても軽やか。

さあ、春本番の装いを思う存分に楽しみましょう。

厄災を祓う「雛祭り」

弥生の文様 「雛祭り」

三月三日は上巳(じょうし)の節句で「雛祭り」の日。地方によっては旧暦の四月上旬に祭りが行われるところもあります。

人形(ひとがた)に身の厄災を移し、水に流して祓うことで、健やかであるよう願う流し雛の風習や、男雛女雛とともに、輿入れのお道具を段飾りにして祝う家内の催しなどがありますね。

そんな雛祭りの時期に、大人の女性だけで集まり祝う席などには、立ち雛や流し雛を描いたお気に入りの着物や、染め帯などで参加して楽しみたいものです。

可愛らしい「犬筥」

弥生の文様 「犬筥」

雛飾りの中に、小さな耳と尻尾がついた一対の可愛らしい「犬筥」がよくみられます。

犬は安産の守り神として、女子の成長の魔除けや、お嫁入りの祝いに用いられてきました。典雅な雰囲気があり、雛祭りのころだけでなく、結婚式などの晴れ着としても装うことができる文様です。

雛祭りの彩りに欠かせない「桃」と「菜の花」

弥生の文様 「桃」
弥生の文様 「菜の花」

雛祭りの彩りに欠かせない花といえば「桃」と「菜の花」ですね。

桃の花、菜の花、絵柄としてはそれぞれ別に描かれることの方が多いようですが、ちいさな蝶と組み合わせて、のどかな景色のように描かれることも。

婚礼にまつわるおめでたい文様「貝桶」

弥生の文様 「貝桶」

貝合わせという典雅な遊びがあります。

平安時代に始まったとされ、蛤貝の内側に美しい絵を施し「貝桶」という装飾的な箱に容れられました。

蛤などの二枚貝は、同じ対の貝同士でしか合わさることがないため、良縁や夫婦和合の願いが込められ、雛道具などにも登場しますが、婚礼にまつわるおめでたい文様としても用いられている文様です。

春の訪れをよろこぶ装いに「野の草」

弥生の文様 「野の草」

この季節、野原や道端にさまざまに咲き乱れる「野の草」の可憐さは、見ていてあきません。

とくに、スミレ、たんぽぽ、早蕨(さわらび)、土筆(つくし)などの絵柄が、ときには蝶や小鳥、かすみや遠山などと組み合わせて描かれることも多い絵柄です。

春の訪れをよろこぶ装いにはピッタリな文様ですね。

日本の三月は、年度末で締めくくりの季節でもありますね。

卒業式など、着物をお召しになられる機会も多いかと思います。人生の節目のよき日に、または、待ちわびた春を喜びたい日になど、身も心も軽やかに着物をお召しになってお出かけください。

つたなく綴ってきました「月々の文様ばなし」も今回でおしまいです。一年間お付き合いいただき、どうもありがとうございました。

この春から、またちょっと違う視点で、和装と暮らし向きの絵と文を書かせていただく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

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