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更年期とのつきあい方 「きものとわたしのエイジング」vol.1

更年期とのつきあい方 「きものとわたしのエイジング」vol.1

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更年期には、きものを着ることが、苦痛に感じられる時期も訪れます。そんな時はどうか、無理をしないでください。 着ない時期があってもいいし、それはきものを好きじゃなくなったということではないのです。

新連載スタート

新しい年が始まりましたね。
ちょうどこのコラムが公開される日に、私も(また)ひとつ、歳を重ねます。

南国で、浴衣からはじめた「きもののある生活」も10年。
私自身の心身の変化とともに、「きもの」の着かたも、好みも、考えかたも変化してきたことを実感しています。

2023年は「きものとわたしのエイジング」と題し、継続中の更年期のこと、美容や健康についてなど、きものにからめて綴っていこうと思います。

歳の重ねかたも、きものの楽しみかたも、人それぞれ。

正解はないのですが、自分自身の記録と、それが、どなたかの参考になったり、勇気になる内容になれたらうれしいです。

エイジングとは

エイジングとは

エイジング(aging、ageing、エージング)とは、時を経ること。日本語では「加齢」と訳され、時間の経過にともなうさまざまな変化のことを言います。

「老化」と同義に用いられることが多いのですが、エイジングには成長や成熟に伴う変化も含まれます。

「成長や成熟」!赤線マーカーをひきたいところです。

そう、本当は「歳を重ねる」ことが「素敵」なことであってほしいと思っています。

ですが正直肌はハリを失い、しわは刻まれ、体は思うように動かしづらくなってくると、ついネガティブなことのように感じてしまいませんか?

人それぞれな更年期

更年期とは

「更年期」というワードもそう。

更年期とは閉経前後の約10年間の心身の変化を指し、それに伴う不調を更年期症状、更年期障害というのですが、女性であっても、「更年期=閉経」と誤解されているかたが多いように感じます。

また生理と合わせて、更年期やその症状について、人前でオープンに話すことを、いまだにタブー視されるかたもまだまだ多くいらっしゃるのではないでしょうか。

台湾では、昨年6月に「小紅厝 シャオホンツォ(The Red House)」という”月経博物館”なるスポットがオープンしました。

ジェンダー教育も進み、生理休暇も定着しているなど、女性の生理については理解されている印象でしたが、それでも足りない情報や理解を深めるために、社会で取り組む姿勢に驚くと同時に、うらやましくも感じました。

生理も更年期も、人によって時期や期間、症状や重さも違うもの。女性同士であっても「こういうもの」と定義しづらく、特に更年期については、月経が続いているうちに症状が出はじめるため、それが更年期と結びつかず、不調に悩むことも。

きもの生活における不調

不調とうまく付き合っていくのか。

きものがある生活を続けてきたなかで、この不調はまさに、突然はじまったのでした。

私の場合は51歳を越えたあたりから、めまいや頭痛が頻繁におこるようになり、続いて四十肩、五十肩と、間をあけて左右の腕の動きが辛い時期があったり、体温調節がうまくできないなど、次々と予測不可能で、なんとも輪郭のはっきりしない「不調」に見舞われてきました。

不調がなく、気づかないくらい軽く更年期は済んだ、という先輩の話を聞くと、自分は生きてきた上で、何かが悪かったから症状があるのか?どこかで何かを間違えてしまったからなのか?と原因があるかのような気持ちになる経験もしました。

これからのみなさまのためにお伝えしておきますが…

生理が重い軽いも人それぞれ。更年期の症状の出かたも人それぞれ。何が良くて何が悪いということではないのです。

自慢することでも卑下することでもなく、また女性として「終わる」ことでもありません。

ただ、どう不調とうまく付き合っていくのか。

諸先輩方から情報を得る時には心得ておくとよいでしょう。

無理をしない

私は毎日きものを着て生活をしているわけではなく、着たい日や、お出かけの際にきものを選ぶ日がある、というスタイルです。

それでも、「きもの好き」を公言していると「きもの」を着なくちゃいけないという感覚になっていることがあります。

事実はフラットに語れる自分でありたい。

また自分がきものを着て出歩くことに対して、最初はあまりよい顔をしなかった家族や近しい人に認知されはじめた頃には、これを続けないと。あたりまえにしておかないと。という気持ちが働いたりしたものです。

着付け時間をできるだけ短くしたり、外出先で「きものだから」という理由で行動が制限されないように気を遣った時期もありました。

「着たい」という純粋な思いのほかに「きものを着る人」という「期待に応えたい」気持ちを見つけてしまう時もありました。

もちろん、きものが好きです。

きものに癒されることも、きものを着ることで気分が高揚し、元気になることも多々あります。

が、やはり、ストンとワンピースを1枚着るより、手間がかかるもの。

きものは面倒です。

この10年で、この事実はフラットにいつでも語れる自分でありたい、と思うようになりました。

事実はフラットに語れる自分でありたい。

更年期には、きものを着ることが、苦痛に感じられる時期も訪れます。

高熱で動けない時にでも、袋帯を二重太鼓に結びたいでしょうか?外出先で、体温が突然あがり、暑さで吐き気がするとわかっている時にでもきものを選びますか?

そんな時はどうか、無理をしないでください。着ない時期があってもいいし、それはきものを好きじゃなくなったということではないのです。

洋服で楽をしましょう。

確かに洋服で出かけた時に、「ああ、きもの姿でここで写真を撮りたかったな」と思うこともあります。

旅行にきもので出かける楽しさもおすすめしてきました。

でも何事も「無理をしない」ことが1番です。

更年期は長いです。仮に10年だとすると、私の場合最初の5年が過ぎ、あと5年は続くことになります。

おかげさまで四十肩も五十肩も突然やってきて、すでに過ぎ去りましたが、腰紐や帯を結ぶ時、痛くないやり方を試行錯誤したものです。

次は何がやってくるのか、少し楽しみでもあります。

きものと出会えた、きものが身近にある状態で迎えた更年期は、たとえきものを着れない時期があったとしても、着れるようになる日に向けて、コーディネートを考えることや、美しい布に触れることが癒しになり、励みになりました。

家族の理解も救いになります。どうか、不調の時には我慢せず、不調を伝えてください。

自分ではどうすることもできないもろもろを、すべて「更年期」のせいにしてください。

10代から50代まで、日々生理を起こし、続け、終わらせる周期を刻んできた身体が、ゆっくりと10数年の時間をかけながら、そのリズムを変える時期なのです。

続いていくもの

木々の葉の移ろいや、空に浮かぶ雲を眺めていると、太古の昔から脈々と続いてきた営みのほんの一部に私は出現し、消えていくことを実感します。

きものが歴史上に登場し、日本独特のかたちで民族衣装となり、今の誰もが知る「きもの」となったのは江戸時代から。

子どもの頃、祖母がきものを縫っていた光景を思いだすと、この日本人の営みのなかで「きもの」は常に身近な存在だったのだとあらためて感慨深い気持ちになります。

事実はフラットに語れる自分でありたい。

たぶん、日本人の多くのかたはきものが好きだと思います。着れるか着れないか、またお手入れなどその先の心配をしないなら……

そして多少、いえ、かなり面倒だとしても、その「好き」を叶える時期は、身体の変化がはじまる時期に重なる場合も多いような気もしています。

それはまるでDNAに組み込まれているかのように。

身体が変わる時に、はっきり意識はしないものの、古来から続き、未来へ残してほしいものも欲するような仕組みになっているのかもしれません。

絹をはじめ、心地の良い布に包まれたい欲求は止められるものではありませんね!

更年期のせいですから。

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