着物・和・京都に関する情報ならきものと

伊達襟とは? 色選びのポイントや付け方をご紹介!

伊達襟とは? 色選びのポイントや付け方をご紹介!

記事を共有する

伊達襟は着物コーディネートを楽しむアイテムのひとつ。フォーマルシーンの着物を格上げしたり、おしゃれに見せてくれたりと幅広く活躍します。今回は伊達襟に焦点を当てて、その役割や選び方をご紹介します。シーンに合わせた伊達襟を選んで、着物姿をより美しく、おしゃれに仕上げましょう。

伊達襟(だてえり・伊達衿)は、着物を二枚重ねで着ているかのように見せるための襟のことで、別名「重ね襟」とも呼ばれます。主に礼装やお祝い事のときに使用する伊達襟は、着物にお祝いの気持ちに加え、華やかさやおしゃれさも足してくれます。

今回は、

・伊達襟ってどんなもの?
・伊達襟と半襟との違いは?
・伊達襟の色はどのように選ぶべき?

などの疑問にお答えしていきます。

着物の基礎知識として身につけておくと着付けのレベルもアップしますし、着物コーディネートの幅が広がりますよ。

伊達襟とは?半襟との違いは?

伊達襟は、重ね着しているように見せるための襟のことです。

それでは「伊達襟」と「半襟(半衿)」では、どのような違いがあるのでしょうか。まずは半襟と伊達襟、それぞれの役割と特徴についてご紹介します。

“半襟”の役割と特徴

半襟の役割と特徴

半襟(はんえり)とは、長襦袢に取り付けて着物が汚れることを防ぐ役割がある、長さは1m程度、太さは15cm程度の襟のこと。長襦袢の襟に付けて使用します。

もともとは着物を着たときに形を整え、汚れを防止するために使用されてきましたが、明治時代以降、着物コーディネートでおしゃれを楽しむ役割も担っています。

白色の半襟を使用することが多いですが、シーンや着用する着物によっては色付きの半襟や柄半襟を楽しむこともできます。

2020.02.07

まなぶ

半衿(はんえり)とは?着物との組み合わせ方・選び方や縫い付け方法まで解説

“伊達襟”の役割と特徴

伊達襟の役割と特徴

一方伊達襟は、着物を重ねて着ているように見せるための襟で、長さは1.2m程度、太さは11cm程度です。

大正時代以前の日本では、礼装では二枚以上の着物を重ねて着るという風習がありました。この風習の名残が、二枚重ねて着ているように見せるための伊達襟です。

伊達襟は礼装シーンで着用するのが一般的で、比翼仕立てになっていない色留袖、振袖、訪問着や付け下げ、色無地などに合わせます。伊達襟は半襟と比べやや細長い襟であることが特徴です。

伊達襟をつけることで、華やかな雰囲気が生まれます。

そのため、白色が基本の半襟とは違って、伊達襟には鮮やかな色も多く、着物と半襟との間にカラフルな伊達襟を使うことでより一層華やかさを演出することができます。

伊達襟が使われる着物

伊達襟はすべての着物に合わせられるわけではありません。着用するシーンや合わせる着物を覚えておきましょう。

伊達襟は礼装に合わせる

伊達襟は礼装に合わせる

伊達襟は着物に合わせることによって、着物の格を上げたり、華やかさをプラスするという役割があります。主に伊達襟を使用するシーンは礼装やお祝い事のときで、喪服には合わせません。

別名「重ね襟」と呼ばれていることから、伊達襟は「喜びを重ねる」という縁起の良い意味を持つため、お祝いの場で使用するのが良いとされているのです。

また、縁起が良いだけでなく、伊達襟を襟元に重ねることで首元に重厚感が生まれて、華やかで高級感が増します。

基本的に伊達襟は、下記のような着物に合わせることが多いです。

● 一つ紋・三つ紋の色留袖(比翼仕立てでないもの)
● 訪問着
● 付け下げ
● 色無地
● 振袖
● 小紋

伊達襟の色選びのポイント

実際に着物を着用するときに迷うのが伊達襟の色選びですよね。
伊達襟の色に「これが正解」というルールはありません。
着物を着用するシーンやお出かけ先の雰囲気、季節や着物の色に合わせて選ぶことが大切です。ここからは、伊達襟の色選びのポイントを、着用する着物ごとに紹介していきます。

一つ紋・三つ紋の色留袖に使いたい伊達襟

一つ紋・三つ紋の色留袖に使いたい伊達襟

女性の礼装である色留袖は、結婚式や格式の高いパーティーなどで着用します。

フォーマルなシーンでの着用となりますので、周囲から悪目立ちすることなく品のある女性という印象に仕上げることが望ましいでしょう。フォーマルに色留袖を着こなす場合、着物に明るさをプラスしてくれる白色や淡い色の伊達襟がおすすめです。

伊達襟が悪目立ちしないよう、色ものの場合は控えめな色を選びましょう。色留袖の着こなしについては、こちらの記事も合わせてご覧ください。

2019.12.25

まなぶ

黒紋付・黒留袖・色留袖・振袖とは?シーン・帯や小物の合わせ方【着物の種類 基本中のき!フォーマル編①】

訪問着・付け下げ・色無地に使いたい伊達襟

訪問着に使いたい伊達襟

訪問着や付け下げ、色無地に伊達襟を合わせる場合には、どのような場所に行くのかを基準に選んでみましょう。

卒園・卒業式、入園・入学式のようなフォーマルな場に行くのであれば、淡い色の伊達襟を選び、上品に仕上げます。きれいめな装いを意識しつつも、主役であるお子様よりも目立たない落ち着いた雰囲気の着こなしがポイントです。

結婚披露宴のような華やかでおめでたい場に行くのであれば、祝福の意も込めて金銀の色や金糸の刺繍が入った伊達襟を選ぶのもおすすめです。

どのような場所、雰囲気で、自らがどのような立場なのかを意識して伊達襟の色選びをすると良いでしょう。もし場の雰囲気が掴めないという場合には、シンプルな色柄の伊達襟を選んでおくと間違いはありません。

訪問着・付け下げ、色無地の着こなしについては、こちらの記事も併せてご覧ください。

2019.12.25

まなぶ

着物の種類 基本中のき!帯合わせ・小物合わせも解説「フォーマル編② 訪問着・付け下げ」

2019.12.26

まなぶ

着物の種類 基本中のき!帯合わせ・小物合わせも解説 「カジュアル編① 色無地・御召」

振袖に使いたい伊達襟

振袖に使いたい伊達襟

成人式などのように自らが主役の場合は、自身が好む華やかな色の伊達襟を選ぶことができます。

着用する振袖の色や柄に合わせて伊達襟で自由にコーディネートを楽しんでみましょう。

赤い振袖を着るのであれば白や金を、緑の振袖を着るのであれば、赤や黄色をというように組み合わせは何通りもあります。振袖は色や柄のバラエティに富んでいますので、お手持ちの振袖の色に自然に馴染む伊達襟を選ぶよう意識してみると、より一層振袖の華やかさが惹き立つでしょう。

どの色を選ぶと良いのか分からないという方は、振袖や帯の色や柄、バッグなどの小物の色と合わせるとバランスの良い組み合わせになりやすいので参考にしてみてください。

小紋に使いたい伊達襟

小紋に使いたい伊達襟

おしゃれ着として楽しむこともできる小紋にも、伊達襟を使用することはできます。小紋はカジュアルなパーティーや食事会などでも着用できるので、小紋に合わせた好みの色の伊達襟を選ぶと良いでしょう。

小紋の着こなしについては、こちらの記事も併せてご覧ください。

2019.12.26

まなぶ

小紋・江戸小紋とは?柄の種類や選び方【着物の種類 基本中のき!カジュアル編②】

伊達襟の付け方

伊達襟は、着付けを行う前に着物に付けておきます。

・糸と針を使って、伊達襟を着物に直接縫い付ける方法
・襟ピンを使って、伊達襟を着物に固定する方法

の二通りがありますので、今回はそれぞれの手順をご紹介します。

伊達襟を縫い付ける手順

伊達襟を付ける手順

伊達襟を着物の襟に縫い付ける際に準備するものとしては、以下が挙げられます。

● 伊達襟
● 縫い針
● 縫い糸
● ハサミ

上記を準備したら、以下の手順で伊達襟を縫い付けます。

手順

1. 半分に折った伊達襟の中央を縫い糸で留める
  ※すでに半分に折られているものの場合、そのまま用いる(step3からスタート)
2. 中央から左右10cmに位置する箇所を縫い糸で留める(計三箇所)
3. 着物の襟を半分に折り、伊達襟の中央と着物の襟の中央を合わせる
  ※伊達襟が着物の襟からはみ出さないように注意
4. 1.で留めた三箇所を着物の襟の端に合わせ、伊達襟を着物に糸で留める

伊達襟を襟ピンで付ける手順

伊達襟を襟ピンで付ける手順

襟ピンは、伊達襟を着物に固定する際に使用するアイテムです。襟ピンをお持ちでない場合は、ヘアピンでも代用可能です。

手順

1. 伊達襟と着物の襟の中心を合わせるように重ねる
  ※このとき伊達襟は、着物の襟より5mm程度内側に隠すようにして重ねると仕上がりが綺麗
  ※半分に折られていない伊達襟の場合は、「縫い付ける」のstep1・2を行う
2. 合わせた中心部分を襟ピンで固定する
3. 左右10センチの箇所も襟ピンで固定する(3点を留めたら完成)
  ※襟ピンの間隔は自由ですが、伊達襟がズレないように注意

まとめ

「伊達襟」は着物姿を華やかに演出しかつ重厚感も出してくれるアイテムで、使いこなすと着物コーディネートの幅が広がります。

色の選び方について絶対的なルールというものはありませんが、どのような色を選ぶのかによって印象は大きく変わります。着物を着るときには、着物の色や柄、帯合わせだけではなく、どんな伊達襟を選ぶのかにもこだわってみましょう。

厳かな場なのか、華やかな場なのか、楽しい場なのか…

などなど、着物を着る場の雰囲気がどのようなものなのかを意識して、シチュエーションにふさわしい印象を与えられる色選びにて、伊達襟のおしゃれをご満喫ください。

シェア

BACK NUMBERバックナンバー

LATEST最新記事

すべての記事

RANKINGランキング

  • デイリー
  • ウィークリー
  • マンスリー

HOT KEYWORDS注目のキーワード

CATEGORYカテゴリー

記事を共有する