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絵絞庵 幻の染め「辻が花」 前編 イギリス出身社員が繋ぐ、新たな出会いと着物への想い

絵絞庵 幻の染め「辻が花」 前編 イギリス出身社員が繋ぐ、新たな出会いと着物への想い

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幻の染めとも言われる、伝統的技法・辻が花。その美しさを丁寧に落とし込んだ「絵絞庵」の作品を、京都きもの市場でもお取り扱いさせていただくこととなりました。 ご縁の始まりは、渡英してきた辻が花を愛する新入社員。辻が花の魅力について、お話させてください。

執筆者 / 鈴木幸枝
京都きもの市場 社員。
インターネット通販から始まった京都きもの市場のリアル店舗第一号店である京都店の初代店長として、店舗事業の立ち上げに尽力。
その後一度社を離れるが、2018年に復帰。
現在はEC営業部の店長アシスタントという職種で活躍し、「京都きもの市場」にアップされる商品のバイイング業務のバックアップをし、お客様と商品の出会いのために日々奔走している。
趣味は和太鼓。
やわらかな風の心地よい感触と香り、
鳥や虫の声、
清く流れる川の音…
【絵絞庵】は、比叡山が一望できる、緑溢れる豊かな場所にあります。

京都左京区にある三宅八幡宮の近くに、
ひっそり佇む静かな工房。

その玄関をくぐると、
福村氏ご家族が、笑顔であたたかく迎えてくださいました。

幻の染め「辻が花」―

【絵絞庵】は、福村廣利氏(日本工芸会正会員)・健氏、の父子でなさっている工房です。
「辻が花」の美しさに魅せられ、
幻の染めを現代の形にアレンジし、
下絵から完成までの工程を工房で一貫して制作をなさっております。

作品の一つ一つからは、
お二人のお人柄が本当に滲み出ており、
時間をかけて、丁寧に、心を込めておつくりになっていることが、
語らずとも伝わってまいりました。
そんな我が子のように大切に制作された作品たちを、
この度、京都きもの市場でご紹介をさせていただくことが叶いました。

ここに行きつくまでに、半年以上かかりました。

実は、今回のご紹介は、
イギリスからやってきた女性社員が繋げてくれたご縁なのです。
京都きもの市場には、
【テーガン・ムート】というイギリス人の女性社員がおります。

以前は私と同じ、インターネット通販部門のアシスタントをしていたのですが、
現在は、商品部という、とても重要な裏方の部署でお仕事をしております。
日本の着物を心から愛し、
「世界に着物を伝えたい!」という強い想いを持って、
遠く離れたイギリスから日本にきてくれています。
(実は、彼女の他にも、台湾と中国からきた社員もおります)

イギリスでも呉服の仕事をしており、普段から着物を着ていた程。

着付けも本当に上手。感嘆します。
  • イギリスにいた頃の鏡なしでの着付けだそうです(15歳の頃)

故郷を離れ、 国境を越え、
たった一人で全く文化の違う日本で、
共に仕事をしてくれていることが、
本当にうれしく、心溢れるものがあります。

そんな彼女が、
日本へ留学にきた際、
工房体験を通して絵絞庵さんと出会い、
この度の縁をつなげてくれました。
テレビ出演した際の写真 留学生時代

「辻が花を本当に愛してる~!」といつも言葉にするほど。
辻が花といったらテーガン!とチーム全員が認めるほどです。

彼女自身、辻が花に魅せられ、
【絵絞庵】さんの着物を自分で購入し、
着用しております。

安いものでは決してありません。

それは、心で真の美しさを感じたからこそなのだと思います。
実は、半年前、
彼女自身がこのブログを通して絞りの魅力を発信できないかと、
一から自身で文章を考え、進めていました。
彼女にとって大きな【挑戦】でした。


日本語の問題や、
アシスタントとしての仕事の兼ね合い…
失敗をしながら、悔し涙を何度も…。


結局は一旦中止となり、
そのまま部署が移動に…



これほどまでに、
辻が花を、絵絞庵さんをを心から愛する彼女の想いを

やはりなんとか形にできないかと、
この度紹介をさせていただくことが叶いました。


日本をここまでも愛してくれている、
私はその想いをもっと多くの方々に、
多くの日本の方々に知っていただきたいと思うのです。
一つのことに真剣に向き合えば、向き合う程、
自分の嫌な部分や認めたくない部分が見えてきます。

その部分ときちんと向き合い、
執着を手放し、認める努力が必要なのだと思います。

そこには多くの学びや、成長、美しさがあります。
着物の世界におりますと、
「美しい」という言葉をよく使います。

美しいとは何か。
日々問い続けていきたい言葉です。

彼女自身が書いた着物についてのエッセイをご紹介します。
こんにちは!テーガンでございます。

このイギリス人の私がよく思うのは、

「できるだけ多くの人々にその素晴らしい、
芸術のような絞り染の美しさを知ってもらいたい!」

初着付け写真

私と着物の繋がり…

12年前、
クリスマスプレゼントとして父からビンテージ着物をもらったのが始まりです。


イギリスに着付け教室がないので、ネットで調べて、動画をみて、
着付けを独学で勉強しました!

着物について学べば学ぶほど、その深みに感銘を受けました。

すべての色、柄、飾り。
すべてにはそこに存在する理由があって…

辻が花―。
1つの着物に出会ってから私は辻が花、
あらゆる形の絞染めの大ファンでした!

この辻が花と呼ばれる技法は日本にしか存在しないものです。

イギリス人が思う簡単な絞り染め写真

一般なイギリス人が思う絞り染は、
日本の絞り染に対してより簡単なものです。

絞り染めに日本の文化や国民性が染み込んでいると、
本当に信じています!

日本人に誇りに思ってほしいです!
工房体験の様子

「絞り染が好きじゃない」と言う人もいますが…

そういう人はおそらく本当に素晴らしい絞り染めの作品に出会っていない!


その美しさをすべての人に納得させることは
私の個人的な使命だと誓う!!!(笑)

誰かが絞り染めのことを「地味」や「渋い」と呼んだときに
私の中に少し涙が湧いて…


なぜ好きなのかを考え込んで、私の答えを見つけました!

抽象。想像。幻。夢。 
有るような、無いような…


友禅染では、染料を塗った瞬間に、具体的な輪郭が存在します。

しかし、絞り染めでは、その場所に線を作ることを計画していても、
その線がどうなるかを確保することはできませんし、
少しぼやかした線が出ます。

架空の世界と明確な現実の間です。

宇宙。絵絞庵さんにて。

その曖昧さがあるからこそ、
ぞれぞれの作品がそれぞれの違う風合いを持ちます。

それはとてもお楽しみです!

わくわくさせる絞り染の素晴らしさ!

私にとってそこが辻が花の本当の魅力です!

辻が花とは?幻と称される染め物の特徴をご紹介

みなさまは「辻が花」をご存知でしょうか。辻が花と聞くと花の種類をイメージされる方もいらっしゃるかと思いますが、実はそうではありません。”幻の染め”とも称される辻が花の染め物についてご紹介いたします。

※この記事は、過去の「店長ブログ」に掲載しておりました
「【絵絞庵】幻の染め「辻が花」―①~⑤」を再構成したものになります。

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