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『丸紅ギャラリー開館記念展III ボッティチェリ特別展《美しきシモネッタ》』 丸紅ギャラリー「きものでミュージアム」vol.17

『丸紅ギャラリー開館記念展III ボッティチェリ特別展《美しきシモネッタ》』 丸紅ギャラリー「きものでミュージアム」vol.17

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日本にある唯一のボッティチェリ作品《美しきシモネッタ》。《プリマヴェーラ(春)》や《ヴィーナスの誕生》のモデルでもあると言われるシモネッタについて、貴重な資料ともにその魅力を紹介する「1枚だけの、美術展。」、丸紅ギャラリーで開催中です!

2022.11.25

よみもの

『ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』 国立西洋美術館 「きものでミュージアム」vol.16

「1枚だけの、美術展。」

展示室エントランス

今回は、丸紅ギャラリーで開催中の『丸紅ギャラリー開館記念展III ボッティチェリ特別展 《美しきシモネッタ》』 をご紹介します。

※本コラム内の美術作品の写真につきまして、各美術館プレスより撮影および掲載の許諾を得て使用しております。

ボッティチェリ特別展《美しきシモネッタ》ポスタービジュアル

ボッティチェリ特別展《美しきシモネッタ》ポスタービジュアル

2021年11月1日にオープンした丸紅ギャラリー。開館記念展は第3回を迎えいよいよ主演女優の登場です。

今回は丸紅株式会社が1969年から所蔵するサンドロ・ボッティチェリのテンペラ画《美しきシモネッタ》を貴重な資料とともに紹介しています。

1枚だけで美術展は成立するのか?そんな心配は全く必要ありません。世界に誇るボッティチェリの名画を存分に鑑賞いたしましょう。

展示室冒頭

若くしてはかなく散ったシモネッタ

展示風景

《美しきシモネッタ》を描いたイタリア・ルネッサンスの巨匠ボッティチェリ(1444/45−1510)は、フィレンツェの皮なめし工房の4男として生まれました。画家のフィリッポ・リッピ(父)の工房で学び、《プリマヴェーラ(春)》や《ヴィーナスの誕生》、《ヴィーナスとマルス》などの名画を描いています。

そしてモデルであるシモネッタ(1453-1476)は、ジェノバの裕福な商人の娘。ボッティチェリの隣人マルコ・ヴェスプッチと結婚し、フィレンツェで暮らします。

展示風景・シモネッタを描いた画家たち

シモネッタを描いた画家たち

その美しさからフィレンツェの社交界で脚光を浴び、ロレンツィオ・デ・メディチ主催の馬上槍試合の女神役に選出されるなど華やかな生活を送っていました。ところが23歳という若さで肺結核でこの世を去ってしまいます。

人々は彼女の死を悲しみ、亡き後もボッティチェリをはじめとする画家や詩人たちによって描かれ、また神格化され、彼女の美しさは後世まで伝えられることに。ボッティチェリの前述3作品のモデルでもあるとも言われています。

ボッティチェリ《プリマヴェーラ(春)》の解説展示を観る

ボッティチェリ《プリマヴェーラ(春)》の解説展示

展示室にはボッティチェリがシモネッタを描いた作品やほかの画家が描いたシモネッタなどの資料や解説の展示があります。レオナルド・ダ・ヴィンチの習作《女性の頭部》もシモネッタがモデルではないかと言われています。

ボッティチェリ《ヴィーナスの誕生》の展示

ボッティチェリ《ヴィーナスの誕生》の解説展示

展示風景

《美しきシモネッタ》が日本に来るまでのストーリーや真贋騒ぎの顛末など、大変興味深い展示が並びますのでじっくりとご覧ください。

展示風景

すばらしい芸術の持つ力

左:サンドロ・ボッティチェリ《美しきシモネッタ》

左:サンドロ・ボッティチェリ《美しきシモネッタ》

そして、いよいよ《美しきシモネッタ》と対面です。シモネッタは、展示室奥の壁で待っていました。

サンドロ・ボッティチェリ《美しきシモネッタ》

サンドロ・ボッティチェリ《美しきシモネッタ》

鮮やかなドレスに身を包み、胸元にはパールとルビーとエメラルドの豪華なネックレス、波打つ豊かな髪には連なるパールの髪飾り。華やかで気高い横顔です。

ボッティチェリとの対面

実は私、この日と前日美術展に3展ずつ行き、丸紅ギャラリーは6展目で少し疲れ気味でした。ところが、《美しきシモネッタ》を観た途端、身体中に力が湧く感じで、疲れがすっかりどこかに行ってしまったのです。きっとドーパミンやアドレナリンが分泌されたに違いありません。すばらしい芸術作品の持つ力はすごいです!

ボッティチェリに感動

《美しきシモネッタ》の美の秘訣

私が《美しきシモネッタ》を観て驚いたのは、大変色が鮮やかで美しいことです。表面もひびなどなく大変きれいな状態を保っています。

サンドロ・ボッティチェリ《美しきシモネッタ》部分

サンドロ・ボッティチェリ《美しきシモネッタ》(部分)

サンドロ・ボッティチェリ《美しきシモネッタ》部分

サンドロ・ボッティチェリ《美しきシモネッタ》(部分)

レオナルド・ダ・ヴィンチの壁画『最後の晩餐』は、劣化が激しく近年大規模な修復作業が行われ話題になりました。《美しきシモネッタ》も修復作業が行われたのかと問い合わせてみました。

丸紅・広報部からの回答は、

「1969年に丸紅が購入後に修復は行われておりません。《美しきシモネッタ》は、テンペラ画という技法で描かれており、油彩画と比較すると経年劣化が少ないため、色が鮮明に残っています。また、常時温湿度が管理された部屋で保管されていることから、非常に良い状態でご覧いただくことができています。」

とのことでした。
テンペラ画は温度や湿度の変化に弱いというデメリットがありますが、その管理さえしっかりすれば鮮やかな状態を保てるのですね。来日してから大切に保管されていることがよくわかりました。
※丸紅所蔵以前には、最低2回修復されたと考えられています。

通路絵画や小説の展示を眺める

みなさまも《美しきシモネッタ》に会いにぜひお出かけください。

通路のシモネッタをモデルにした絵画や小説の展示

通路のシモネッタをモデルにした絵画や小説の展示

1階フォトスポットの大きなシモネッタ

1階には大きなシモネッタのフォトスポット

アフターは同じフロアのイタリアンバルへ

イタリアンバルVERTERRAZA

美術展を満喫した後は、同じフロアにあるイタリアンバル『VERTERRAZA (ヴェルテラッツァ)』へ。お天気の良い日は大きな窓から皇居が見渡せ、バラエティに富んだお料理とドリンクを楽しめます。ランチ・カフェ・ディナーと休憩なしで営業しています。

イタリアンバルVERTERRAZA店内

期間限定で、シモネッタの身に着けているドレスと宝石から着想したノンアルコールカクテル(オリジナルコースター付き)も!

美術展の半券によるサービスもあります。

カクテル

オリジナルノンアルコールカクテルとコースター

この日の装い

この日の装い・全身

この日はシモネッタに合わせ、ドレス風コーデです。永治屋清左衛門の唐織のきものはつややかな光沢が美しく、八掛も凝っています。帯は加納幸の銀環触と銘がついた袋帯。

帯締めは、道明の高麗組・信解品、帯揚げは「きものと」連載でおなじみのスタイリスト・秋月洋子さんオリジナルの「れん」、根付けはハンドメイドのものです。

秋月洋子さんのコラムはこちら

まなぶ

徒然雨夜話ーつれづれ、あめのよばなしー

後ろ姿

後ろ姿

帯回り

帯回り

きものの八掛

きものの八掛(撮影:akemi)

裾周りと草履

裾周りと草履

展示風景

撮影/五十川満

今回ご紹介の展覧会情報

ボッティチェリ特別展《美しきシモネッタ》ポスタービジュアル

丸紅ギャラリー開館記念展III ボッティチェリ特別展《美しきシモネッタ》

丸紅ギャラリー
https://www.marubeni.com/gallery/

日 時:2022年12月1日(木)~2023年1月31日(火)(入館は16:30まで)

休室日:日曜、祝日、年末年始(2022年12月29日~2023年1月3日)

※着物、浴衣など和装でのご来館の方は無料

※支払時に現金はご利用いただけません。交通系ICカード等電子マネーまたはクレジットカードのみご利用いただけます。
※本展は日時指定予約制です。詳細は展覧会公式サイトをご覧ください。

その他、おすすめの美術展

※日時など変更になる場合があります。おでかけ前に公式サイトなどで最新情報を確認してください。

「京都・智積院の名宝」 展ポスタービジュアル

京都・智積院の名宝

サントリー美術館
https://www.suntory.co.jp/sma/

日 時:2022年11月30日(水)~2023年1月22日(日)
    10:00~18:00
    ※金・土および1月8日(日)は20:00まで開館 
    ※いずれも入館は閉館の30分前まで

休館日:火曜日(ただし1月17日は18時まで開館)、12月30日(金)~1月1日(日・祝)

※作品保護のため、会期中展示替を行います。 
※会期等は変更の場合があります。最新情報は当館ウェブサイトでご確認ください。

『国宝 雪松図と吉祥づくし』ポスタービジュアル

国宝 雪松図と吉祥づくし

三井記念美術館
https://www.mitsui-museum.jp/

日 時:2022年12月1日(木)~2023年1月28日(土)
    10:00〜17:00(入館は16:30まで)   

休館日:月曜(但し1/9は開館)、年末年始1月/26日(月)〜1月3日(火)、1月10日(火)

※詳細は展覧会公式サイトをご覧ください。

企画展「遊びの美」 ポスタービジュアル

企画展 遊びの美

根津美術館
https://www.nezu-muse.or.jp/

日 時:2022年12月17日(土)~2023年2月5日(日)
    10:00〜17:00(入館は16:30まで)   

休館日:月曜日 ただし1月9日(月・祝)は開館、翌10日(火)
    年末年始1月26日(月)〜1月4日(水)

※オンライン日時指定予約制です。
※詳細は展覧会公式サイトをご覧ください。

◆ 読者プレゼント ◆

《婦女喫茶図》 堂本印象
《婦女喫茶図》 堂本印象

《婦女喫茶図》堂本印象 四面 昭和33年(1958) 智積院【全期間展示】

さて、ここでうれしいお知らせです。
今回は『京都・智積院の名宝』サントリー美術館の招待券を5組10名の方にプレゼント!
ぜひ、きものでお出かけくださいね!

下記リンクより、お使いのSNS経由にてご応募くださいませ。

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※応募期間:2022年12月18日(日)まで

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