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新しい自分に挑戦!テーマは”和風美人” 「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」vol.6

新しい自分に挑戦!テーマは”和風美人” 「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」vol.6

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着物スタイリストのコバヤシクミさんが、きものと読者をパーソナルスタイリング!休日の芸妓さんの着姿に憧れるというゲストAさんの、大人の女性の魅力を引き出します。

前回のスタイリングはこちら!

2022.07.13

まなぶ

着物歴3ヶ月のクールビューティ!「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」 vol.5

着物スタイリスト コバヤシクミさんがご提案!

着物スタイリスト・コバヤシクミさんが読者の着物姿を丸ごとプロデュースする「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」。

コバヤシさん

これまで手がけた個人スタイリングは5000人以上。顔のパーツの直線・曲線の組み合わせ等を測定分析し得意なテイスト・柄・色合い・素材を診断する「顔タイプ着物診断」や、その方の内面性をふまえた論理的なアドバイス、さらには思わずハッと目をみはるような色使いや小物合わせといったコバヤシさんの天性のセンスが加わり、みたことのない新鮮なコーディネートが次々と繰り広げられます。

今回はどんなコーディネートを提案してくださるのでしょうか?

自作の帯はなんと…?

コバヤシさん帯

撮影は、朝晩の気温がひんやりしてきた初秋。コバヤシさんの今回の装いは、たてよこ絣の泥大島紬です。

「現代の大人っぽい大島紬の柄ゆきは、自分には着こなすのが難しい気がしていました。でも、この十字柄と翡翠色のドットは、ポップで愛らしく一目惚れでした!リサイクル品を洗い張りし、マイサイズに仕立て直しました」

そして帯はなんと手作り!

運命的に見つけたアイヌの木綿半纏を、帯教室に通って全て手縫いで自作したそう。柄はリバーシブルになっています。

コバヤシさん帯後ろ

帯揚げは深緑のちりめん、帯締めは苅安色の冠組。

「秋なので、こっくりした色合いのものを選びました。季節感を重視しつつ、メリハリも効かせた色使いを意識しています」

コバヤシさんらしい色合わせが光る、遊び心あふれる装いです。

ゲストAさんをお迎え

さて今回ご登場いただくゲストは、大人のキレイ色コーデがお得意なAさん。透明感あるなかにも秋らしさを感じさせる装いでお越しくださいました。

Aさんビフォー正面
Aさんの後ろ姿

大人かわいいピンク色の単衣の江戸小紋に、木の葉や木の実が描かれた秋らしい染め帯を合わせて。すでに十分に着慣れた身のこなしでいらっしゃいます。

Aさんビフォー帯周り

アクセントカラーの葡萄色の帯揚げに、キリリと焦茶色のストライプの帯締め、帯留めにはスワロフスキーがきらめきます。

幼い頃から着物に親しむ機会はあったものの、本格的に着物を始めたのは3年前というAさん。きっかけはお嬢さんの成人式の振袖を誂えたことだそう。

「あててみるだけで楽しそうな娘の笑顔を見て、あらためて、着物っていいなぁと思いました。そこから着付けを習いはじめ、母の形見の着物を着られることもうれしいです」

そんなAさんのお悩みは「柄物が苦手」ということ。

「洋服でもそうなのですが、なんだか顔が柄に負けてしまっているように思えてしっくりこないんです」

う〜ん、よくわかります!同じお悩みをお持ちの方、結構多いのではないでしょうか?

コバヤシさん流、柄物攻略術

着物攻略術

今回コバヤシさんは、京都きもの市場の約3000点の帯、そして約3000点の着物という無限の組み合わせの中から、柄物が苦手なAさんのための3つのコーディネートを組みました!

「柄物とひと口に言ってもいろいろありますよね。似合うものもあれば、ご自身のイメージから遠くなってしまうものもある。Aさんの場合、ポイントは”細めの線で描かれた繊細な柄を選ぶ”こと。端正なお顔立ちをされているので、コントラストのはっきりした強い柄よりも、繊細なもののほうがお顔が引き立ちます」

並べられた3つのコーディネートを見て意外な表情の表情のAさん。

「自分では絶対に手が伸びないものばかり!」と驚かれます。

お洒落訪問着で通な装いを

まずは1つめ。

問診票の「芸妓さんの休日の装いが好き」との記述をもとに組まれたコーディネートです。

まずは1つ目
1つめの着物

着物は、さらりとした質感の縞大島地に茶屋辻意匠が染めだされたお洒落訪問着です。絵羽柄の柄付けではありますが、気の張らないシーンにおすすめの一枚。

帯は、はんなりとした柳色の地に短冊模様が上品に描かれた、塩瀬の染め名古屋帯です。

無地場のスッキリと広い着物

「着物も帯も、全て柄で埋め尽くされたものではなく、こんなふうに無地場の広いスッキリしたものを選ぶのがおすすめです」とコバヤシさん。

Aさんも、「白地の大島ってなんだか洗練された雰囲気ですね!帯も京風のはんなり、という感じでとてもステキ!」と目を輝かせます。

最後にコバヤシさん流重要ポイント、杜若色に緑がアクセントになった唐組の多色帯締めを当ててみると…そこにはしっとりとした和風美人が!着物好きのスタッフ一同も沸き立ちます。

洋風ムードなドレッシーコーデ

洋風ムードなドレッシーコーデ

2つめのコーディネートの着物は、摺り友禅で唐花が横段に染められた単衣の結城ちぢみです。

2つめの着物

「地色の白緑色が綺麗ですよね。これも線が細い柄なので、お顔立ちと合うと思いますよ」

と、自信たっぷりなコバヤシさん。

地色の白緑色が綺麗

帯には、淡い藤紫色の地に唐花模様が友禅の技法にて描かれた塩瀬の名古屋帯を。

「洋風で、モダンかつフェミニンで華やかな印象の帯。着物も帯も柄物ですが、この帯がポイント柄なのでごちゃごちゃした印象にはなりません。Aさんのパーソナルカラーはおそらくブルーベースだと思うので、少し青みがかったこの紫はお肌の色となじむはず。顔タイプはソフトエレガントではないかと思います。基本「上質感+シンプル」テイストが似合いますが、あまりサッパリしたコーディネートだとものたりないかも。
この帯のように少し遊びがあると、華やかさが生まれます!」

Aさんは頷きながら、

「そうなんです!ブルーは好きで、つい手が伸びる色。このコーディネートはオリエンタルな雰囲気で好みです。この3つのコーディネートの中では、一番自分で選ぶものに近いかも!」

とうれしそう。帯締めには、水色と紫のバイカラーの平組をあわせました。

実はもう1本、粋な雰囲気の博多織のしゃれ袋帯も用意されていました。

濃淡のある紫系のグラデーションの色糸の中に箔糸がさりげなくきらめき、なんとも豊かな表情を見せてくれます。

「同じ着物でも、この帯を合わせるとキリッとした印象になります」とコバヤシさん。帯締めには、多色使いの丸組のをあわせました。

大冒険!な紬地の辻ケ花小紋

3つめは、コバヤシさんが「私にとっても冒険!」というコーディネート。

作家もので、松皮菱に辻ヶ花の絞りが施された、紬地の小紋です。

松皮菱に辻ヶ花の絞り
3つめの着物

「小紋ですが訪問着級の華やかさがありますよね。インパクトのある柄ですが、Aさんに似合うと思ったポイントは2つ。1つめは、絞りで輪郭がふわっと優しいこと。2つめは、色数が少ないことです」

合わせたのは、なんと野蚕の格子のしゃれ袋帯。

合わせたのは、なんと野蚕の格子のしゃれ袋帯。

「着物の柄が大胆なぶん、帯は無地にして引き算をしました」とコバヤシさん。

Aさんは、

「自分では絶対に考えつかない組み合わせ!色数は少ないですが決して暗くはないですね。19歳の時、祖母に初めて誂えてもらった着物がこの色なんです。でもなんだか地味に思えて敬遠していましたが…この帯合わせは参考になりそう!私にとって、大冒険のコーディネートです!」

と鏡を覗き込みます。

”自分では選ばない”コーデ

Aさんが選んだのは?

さて、Aさんが選んだのはどのコーディネートなのでしょう…?!

笑顔のAさん

笑顔で3つの着物に視線をうつすAさんと、その視線を追うスタッフ一同。

しばらく間を置いたあと、Aさんが「これ!」と指差したのは…

1つめのコーディネートでした!スタッフから歓声が上がります。

「3つの中でも一番”自分では選ばない”と思ったのですが、その分新鮮でこれが私!?という感じがしたんです。帯締めが決定打でした」とAさん。

ヘアメイクもプロが仕上げます

ヘアメイク・着付けを担当するのは「きもの、着てみませんか?」の連載が好評の、薬真寺香さん。

ご本人もきもの雑誌に掲載されるほどのお洒落な薬真寺さんのこの日のお洋服は、”大正時代の美容師見習いさん”イメージなんだそう!

ヘアメイク中のAさん

「1つめのコーディネートに決まった瞬間、頭の中でヘアメイクの計算が始まりました(笑)。テーマは芸妓さんの休日。ヘアは後頭部に高さとボリュームを出し、表面の毛流れを整えるようにコームを通しながら撫でつけます。Aさんはお肌も綺麗で端正なお顔立ちなのでメイクはあくまで自然に仕上げますが、眉は太く短く、が花柳界風です」

メイク中は、芸舞妓さんが通う京都の美容室の話で大盛り上がり!毎回、ゲストも一番リラックスされる瞬間です。

着付けの際にも薬真寺さんから気になるコメントがぽろり。

「これは私の考えですが、花柳界の方々のしっとりとした色気は、その世界に何年も身を置いてこそ身につくもの。昨日今日で真似することは難しい。ですので今回の着付けでは、襟合わせはあえてきちんと詰めてみました」

なるほど…!かつて浅草で”振袖さん”をされていた薬真寺さん。着付けにも哲学があらわれていて、奥深いです。

薬真寺さんから気になるコメントが

そしてヘアメイクと着付けを終えたAさん…いえ、Aお姐さんがこちら。

Aさんアフターアップ

大人な色彩のなかに、はんなりとただよう色香。ここは祇園…?とスタッフ一同錯覚するほどです。

着物の白地がAさんのお肌の白さを引き立て、お顔の印象をぱっと明るくしています。またおだやかな帯色が、Aさんならではの大人な一面を引き出して。多色使いの帯締めがアクセントとなってまさに”着慣れた”方の雰囲気を演出いたします。納戸色の帯揚げのセレクトは着物の柄のお色ともリンクしています。

Aさんアフター草履

Aさんがこの日履いてこられた博多織の鼻緒の草履も、運命的にバッチリと調和!

芸妓さん風のヘアメイクもとてもお似合いなAさん。撮影中も「何の撮影かしら…?」と道行く方々がみな振り返っていらっしゃいました!

ビフォーアフター拝見

あらためて、今回のビフォーアフターを拝見してみましょう。

ビフォー

Aさん全身

アフター

Aさんアフター全身

ビフォーでは”都会派キレイなお姉さん”なAさんが、アフターではプロの手によって、”しっとり和風美人”なAさんに。Aさんご自身も知らなかった新しい一面が引き出されました!

休日の芸妓さんの着姿に憧れていた

「休日の芸妓さんの着姿に憧れていたので、とても楽しかったです!自分の知らない一面を知ることができました。

コバヤシさんのコーディネートは3つとも最高!それにプロの着付けは、しゃんと背筋が伸びて気持ちいいですね。しっかり締まっているのに苦しくなくてびっくり。今日は本当に大満足です!このまま着て帰りたいくらい。

あ…!あまり喋りすぎては和風美人が台無しですね!」と、チャーミングなAさん。

いえいえ、そんなことはありません!こんなに喜んでいただけて、スタッフ一同も感激です。また遊びにいらしてくださいね!

撮影/湯澤藍
文章/都留詩織

薬真寺 香さん(本記事 着付け・ヘアメイク)のコラムもどうぞ!

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「きもの、着てみませんか?」

都留詩織さん(本記事 ライティング)のコラムもどうぞ!

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「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」

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