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帯留めは、くちほどにモノを言い… 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.6

帯留めは、くちほどにモノを言い… 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.6

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着物姿における帯留めの存在感たるや。うっとり見惚れる和美人となるか、あら少し残念?の印象となるかはここにかかっています。世界のハイジュエリーを見てきた古谷尚子さん、今回は京都・東山にて思わず「あったー!」となった出会いを早速みなさんにシェア。

白衿派も納得、”唐織の半衿”みつけました!

清潔感のある衿元は、美しい和姿のための重要なファクター。レフ版効果のある白衿が定番の方も、時に、ちょっとお洒落な半衿が気になることはありませんか?今回古谷尚子さんが見つけたものは、そんな着物ファンの微妙な女心をくすぐる美しい半衿。お洒落だけど上等かつ上品。こんな半衿、あったんです!

舞妓さんに出会ったら

京都の夜桜

満開の桜に誘われて、久しぶりに活気ある京都を満喫してきました。南座で3年ぶりに開催された「都をどり」を楽しんだ方もいらっしゃるのでは。

今回は、京都の街で舞妓さんに出会ったらぜひチェックしていただきたい、きものファッションの究極のお洒落「帯留め」のお話です。

意外にも歴史の浅い帯留め

時代劇や浮世絵に描かれているきもの姿の女性たちを見てもわかるように、江戸時代中頃までは帯締めも帯揚げもありませんでした。

江戸後期に入って帯結びが多様化すると、結んだ帯を形よくとどめるために真田紐などが使われ、それらの紐を帯止めと呼んでいたようです。

見返り美人図

文化14(1817)年の江戸・亀戸天神の太鼓橋完成記念に、深川芸者が帯を太鼓橋のように持ち上げて結んだのがきっかけで太鼓結びが流行し、太鼓結びに必要な小物として用いた布や紐が登場、帯揚げ・帯締めへと発展していきます。

明治になると刀禁止令により、刀に使われていた組紐の職人、鞘や鍔の彫金の職人が職を失い、紐の職人はきもののための組紐(帯締め)を組むようになりました。

彫金の職人たちの技術は、近代国家の象徴である鹿鳴館での華麗な外交政策のもと、日本的なジュエリー「帯留め」に生かされることになります。

金工だけでなく、琥珀や翡翠、珊瑚、象牙などいろいろな素材を使い、七宝、蒔絵、螺鈿、宝石をちりばめたものなど、技巧と贅を尽くしたお洒落アイテムとして珍重されます。もし京都で出合った舞妓さんが大ぶりな帯留め(ぽっちり)をしていたら、そのころの贅沢な意匠を垣間見ることができるかもしれません。

帯留めは、きものファッションのジュエリー部門筆頭であることは歴史の観点からも納得ですよね。

その人らしさがわかる、自分らしさを出せるアイテム

ピアスや指輪の趣味にその人らしさが出るように、帯留めは、人となりがうかがえるアイテムでもあります。

贔屓の歌舞伎役者や演目に因んだモチーフで観劇へ。
日本的自然美や季節感の演出を託して。
江戸っ子のちょっとした洒落っ気を潜ませて。

ほんの数センチの小さな中に自分らしさのメッセージを込めることができるのが帯留めの魅力です。

とはいえ、きもののコーディネートが決まってしまうほど強烈な存在感を放つ場合もあり、私にとって帯留めスタイルは憧れではあるものの、正直なところ、くちほどにモノを言う感じの帯留めに躊躇してしまう部分もあったのです。

私らしいモダンクラシック、見つけました!

そんな中で京都・清水寺の門前にあるギャラリー「山清堂」さんで「上品モダンクラシック」な銀の帯留めを見つけ、私の帯留めスタイルがあったー!と嬉しくなりました。

帯留め いろいろ

オーナーの吹田栄子さんは彫金を学んだジュエリーデザイナー。

「S.MAKIE」ブランドを展開する長女の眞輝江さんとともに、日本の意匠を現代的に昇華した、モダンクラシックな世界観のオーダージュエリーが専門です。

山清堂店内

銀の帯留めはギャラリーのために制作しているオリジナル。

銀細工の帯留め うさぎと桜

わずか3㎝ほどのふっくらとしたうさぎに無数に施された細やかなエッジワーク、桜の花びらの繊細な可憐さ、葵の葉の凛とした美しさ……見れば見るほど惹き込まれます。

銀細工の帯留め うさぎ

海外ブランドのジュエリーとはどこか違う生き生きとした金工表現の秘密は、京都の職人さんによる「和彫り」の技法によるもの。

和彫りとは、手の力で刃を進める洋彫りとは逆で、金槌で鏨(たがね)を叩きながら手前に彫る技法のこと。仏具や甲冑、刀の鍔の彫刻技術で、深くて勢いのある線が彫れるため、ダイナミックで立体的な表情を出すことができるのだそう。

熟練の金工職人の技術を熟知し、ひとつひとつの仕上がりにこだわる吹田さん。古きに新しきを見る、という京都らしい美意識が息づいています。

帯留めと三分紐
銀細工帯留め 竹笹 19,000円 葵 52,000円 ※すべて外税・三部紐つき

三分紐の色との組み合わせで表情が変わるのも帯留めの楽しさでもあり、控えめに主張したい私の帯留めスタイルにピッタリ。

ギャラリーには、このほか、大ぶりで重厚感のある帯留めやペンダントにもなる帯留め、茶友へのお土産にしたいシルバーの菓子きりなども揃います。

帯留め(三分紐つき) 52,000円+税 バックルとして使う方も
お菓子切り
菓子切り 4,000~5500円+税 こなれたデザインが揃う

京都散策の際はぜひ足をのばしてみては。

山清堂 外観

写真撮影/スタジオヒサフジ(桜情景以外)

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