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春を待ち、春を追いかけて 「台湾きものスタイル考」vol.14

春を待ち、春を追いかけて 「台湾きものスタイル考」vol.14

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梅は台湾の国花だそう。厳しい寒さを越えてこそ花開く梅の花に、歴史に翻弄されてきた台湾のなりたちを重ねている…とも言われています。四季ではなく「二季」な台湾では季節感の演出はとても難しいですが、今年は意識的に梅柄を身につける機会を持てました。

早すぎる春の訪れ

2月の台湾は気温もほどよく、雨も少ないハイシーズンと言えるでしょう。ここまで気温があがれば、桜も藤も開花しますね。これは決して冗談ではなく、実際にこのあたりから台湾と日本とでは季節感にズレが生じてきます。

梅と桜の舞い散る台灣の2月

1月の終わりに、梅も椿もすでに満開を迎えた台湾。2月に入ると、早くも桜や菜の花の開花のニュースが入ってきます。

短い冬の終わりの合図です。

「二季」といわれる台湾では、春と秋ならではの草木や花柄のきものや帯を、日本の四季と同じタイミングで着こなすのが難しく、それが台湾に住んでいて一番残念に思うことでしょうか(上掲の昨年のコラムもどうぞ)。

梅は台湾の国花だそう

とはいえ今年は、意識的に梅柄を身につける機会を持てました。

梅は台湾の国花だそう。

厳しい寒さを越えてこそ花開く梅の花に、歴史に翻弄されてきた台湾のなりたちを重ねている…とも言われています。

また図案化された梅は、その花びらで台湾の憲法「五権」(行政、立法、司法、考試、監察)をあらわし、花弁の中の3つの雄しべで「三民主義」(民族、民権、民生)をあらわしているとのこと。

この国花の図柄は、昨年の東京オリンピックでも「チャイニーズタイペイ」(台湾)の旗として力強くはためいていたのは記憶に新しいところです。

ちょうど今は北京オリンピック開催中ですので、TV画面などで見られるかもしれませんね。

台湾の”赤い国旗を掲げられない理由”や、国際的・政治的にこの先の進み方が難しいという事情をこの国に住んでから知った私ですが、咲きこぼれる梅の花のように、未来が明るいものであってほしいと思います。

この先も、台湾を応援したり、感謝の思いを伝えたい時には、実際の花咲く季節に関係なく梅柄を身につけようとも思っています。

未来が明るいものであって欲しい

花柄どうでしょう

私のInstagramなどで、きものコーデをたくさんご覧いただいているかたはもうお気づきかもしれませんが、私の手持ちのきものに「花柄」は圧倒的に少ないです。

持っている花柄で思い浮かぶもの、といえば浴衣や帯。
帯を季節の花柄にして楽しむことはありますが、きもので花柄は、数えられるくらいしか持っていません。

突然花柄を着たくなる

そう思い込んでいるだけ…?とも思い実際に数えてみましたら、袷きもの・単衣・夏物あわせて花柄のきものは15〜6枚ありました(浴衣と帯はのぞく)。だいたい全体の1割程度です。

自分で思っていた数よりも多い印象ですが、一度も袖を通していないものや、出番がなく、その存在を忘れかけているきものがあることにも気づきました。

そのくらい花柄のきものは、私のワードローブの中では珍しい「あまり着ない」グループに入っているのですが、不思議なもので突然花柄を着たくなる周期というのがやってきます。

そして、花柄のきものを身に纏うと、普段着慣れないせいもあって少し照れ臭いような、気持ちが高揚するのを感じます。
      
台湾では、春節前に感染者が増えてまた外出を控えなければなりませんでした。
沈みがちになってしまった気分をあげるのにも、花柄のきものは威力を発揮してくれました。

そういえば、感染者数が増える前に友人と出かけたチームラボの展示では、さまざまな映像が映し出され、その光に包まれたり、自分が触れたり動くことで、模様や色や絵が変化していくインスタレーションを楽しみました。

チームラボの展示にて

「インスタレーションの画像とぶつからないように無地(感覚)のきものにしよう」とだけ申し合わせた私たちは、偶然3人とも、きものに帽子とブーツ、といういでたちでした。

ゆりえさんとphoebeさんと
チームラボの展示にて友人と

無地のきものが美しい花柄に!!テンションが上がったのを感じました。

私にとってはあまり馴染みのない花柄のきものですが、みなさまはいかがでしょうか?

花柄は気分のあげたい日に身にまとう

花柄は小紋でも華やかですし、春を待つ気持ちを込めたり、気分をあげたい日にぜひ身にまとってみてくださいね。

私のように、花柄は帯にまかせて、きものはシンプルなほうが落ちつくのよ、という方も、一度花柄にチャレンジすべく好きな花柄を探してみるのも、いつもと気分が変わって楽しいですよ。

歳を重ねても、似合う花柄やかっこいい花柄に出逢いたいです。

半衿のおしゃれ

花が咲き乱れると、やってくるのが蝶々ですが、蝶もきものや帯の柄によく使われています。
     
蝶は中国では長寿の象徴とされており、日本でも「向かい蝶」は、平安時代有職文様としておめでたい柄のひとつになっています。

蝶は中国では長寿の象徴
単独ならば季節も関係ない

単独ならば季節も関係なく使えますので、きものと帯の両方を花柄にして競い合わせることなく、どちらかを蝶柄にするのも物語性が感じられて素敵ですね。

ペタコさんの刺繍半衿

その蝶ですが…

なんと、身につけるよりも眺めていたい!という美しい半衿に出逢いました。

とても美しく、繊細に見えるのにしっかりとした刺繍で、芸術的でありながら洗濯にも耐える、実用性を兼ね備えているところに感動しました。

「バタフライ」半衿
甘い印象の半衿

さらに蝶がたくさん飛んでいる『バタフライ半衿』はとても立体的で、かつ斬新。なんと美しいのでしょう。

甘い印象なので、着こなせるかどうかが不安で、シンプルな白のほうを先に購入しました。

ひとり、人間お花畑がテーマ
帯でバランスを取りました。

白は、桜の刺繍が透け感のある生地に施され、蝶はブローチになっています。ブローチはつけてもつけなくても。付ける位置や場所も工夫できるのがうれしいですね。

早速花柄の小紋に合わせてみました。ひとり「人間お花畑」がテーマ。

私の場合、帯まで蝶にすると甘すぎてしつこくなりそうでしたので、帯は幾何学模様のものにしてバランスを取りました。

お顔立ちや雰囲気によっては、花柄づくし蝶々づくし、で春を呼び込むようなコーディネートも素敵かもしれませんね。

だいたい白か黒かグレイが定番
半衿を主役に組み立てることも

私は、半衿はだいたい白か黒かグレイが定番(写真左)で、すでに数枚は襦袢に縫い付けてあります。
ですが、定番以外にもたくさん持っていて(写真右)、つけ替えて楽しんでいます。

きものや帯、髪型メイクなどトータルでコーディネートを完成させますが、半衿を主役に組み立てることもあります。

似合う白を知っていると良いでしょう。

白い半衿はキリッと素敵ですし、白とひとくちに言っても、その色やニュアンスは生地によってさまざまです。

顔色が映える白なら写真撮影に使うレフ板のような効果で肌色を綺麗に見せてくれます。似合う白を知っていると良いでしょう。

茶道の席や、冠婚葬祭などには白は欠かせません。

でも普段のきものに白半衿だけと決めてしまうのはもったいないと思います。

難しく感じる方は、きものの中にある色か八掛と同じ色にしてみたり、半衿と帯揚げか帯締めを同じ色にしてみたりすると、まとまりやすいです。

顔に1番近いので影響力は抜群

きものによっては白い半衿より、あなたに似合ったり、苦手な色のきものが思いがけずスッキリ着こなせたりします。

小さな面積ですが、顔に近いので影響力は抜群です。

私の、半衿の付け方YouTube動画も参考にしてみてくださいね。

ブランドものの半衿や、ハンドメイドの刺繍半衿、またお気に入りの布やレース・リボンを活用するなど… 半衿に個性を出して楽しむことは、それ自体が新鮮な喜びです。

その上なんとなく出番の少なかったきものが、半衿を変えたことでお気に入りの一枚となったり、使いづらいと思っていた帯がしっくりくるようになったりと、思いがけずうれしい収穫もあったりしますよ。

帯揚げの数が少ない理由

半衿と同じように少ない面積なのに、印象を決めたり重要な役割をするのが「帯揚げ」「帯締め」ですね。

先ほど私の花柄のきものの数を数えましたが、同様に、帯揚げの数も少ないことを打ちあけましょう。

帯揚げ

こちらは普段使いの帯揚げですが、全く使っていないものも含まれています。そして、袷用と夏物とをあわせてこの枚数なのです。

68色の色鉛筆が並ぶように帯揚げのコレクションをされている方もいらっしゃると思いますし、ニュアンスが微妙に違う同系色をたくさんお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

ですが私は、よく使う帯揚げはだいだい決まっているのです。

持っているきものや帯の色柄にもよると思いますし、コーディネートの好みともいえるのではないでしょうか。

みなさまのよく使う帯揚げを見せていただいたら、それぞれの個性、コーディネートの傾向などがそこにみてとれそうですね。

帯揚げはきものと帯をつなぐ場所にありますから、大きく分けると「馴染ませる」か「差し色のように効かせる」かになります。

悩んだ時にはきものの中にある色から選んだり、帯と同じ色に合わせるとまとまりやすいですね。

馴染ませるか、差し色のように効かせるか
ウイッグ着用で一石二鳥

また私の髪型ですが、色と長さが短期間で変化していることにお気づきでしょうか。

現在地毛はショートヘアなので、ロングヘアにしたい時にはウィッグを着用しています。

かぶりものはあたたかいので、寒い時期には印象も変えられて一石二鳥です。

春はもうそこまで来ているのかもしれません。

昨年から引き続きグレイヘアへの移行中なのですが、残念ながら私は放っておいたら白髪が勝手に増えて美しいグレイヘアになるタイプではないため、段階を踏みながらもう少し時間がかかりそうです。

その間は、白髪染めではないカラーリングをしながら(結局染めながら)白髪を育てますので、カラー剤が褪色しやすく、短期間で違う印象の髪色になります。髪色が変わると似合うきもののコーディネートも変化しますので、また機会があればその話題も。

厳しい寒さのあとには、必ず暖かい春がやってきます。草木も芽生え、氷も溶けます。

3年も続くコロナ禍を冬だとすれば、春はもうそこまで来ているかもしれません。

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