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着倒しきもの”に大島紬 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.45

”着倒しきもの”に大島紬 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.45

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もったいない、と思う方もいるかもしれませんが、「着倒しきもの」こそ、着心地のいいものにしなくては続きません。大島紬は軽くて丈夫。皺にもなりにくいので、お出かけにもぴったり。

きものでリモートワーク

きものでリモートワーク、ひとりでパソコンに向かっているときはあまり気にしませんが、誰かと打ち合わせをするようなときは、きちんと鏡に向かって衿元が左右対称になっているかどうか確認しています。ここが揃っていないと、だらしない印象になってしまうのです。

大島紬の特徴2

大島紬の取材をするために、奄美大島へ行ったことがあります。
ちょうど他の方も取材されていて、その男性が組合長に「大島紬は丈夫だから三代も持つんでしょう?それじゃ儲からないから、粗悪に作って数を売ればいいのに」と言い放ったところでした。

なんてことを!とわたしが目を見開いたタイミングで、組合長が「そんなことはできません!」と毅然として答えていて、ああ、大島紬は真面目な人たちがきちんと代々作ってきたんだな、と嬉しくなり、ますます大島紬が好きになったのでした。

そうなんです、大島紬は三代持つと言われているのです。

振袖や訪問着などの晴れ着ではなく、日常着としてのきものですから、使用頻度の高さは比べるまでもありません。それなのに親子孫の三世代が着ても大丈夫なんですよ。

わたしが初めて大島紬を手に入れたのは、きもの初心者の頃。世田谷のぼろ市で手に入れたリサイクル品です。お店のおばさんが「これは大島だから、着るととっても気持ちいいよ」と教えてくれた濃紺に青い花の柄のきものは、驚くほど薄く軽く柔らかく、わたしの体にしっくりとなじみました。

着るというよりも包まれるような感覚で、まるで羽のような感じなのです。母からのおさがりの紬も何枚か持っていましたが、まったく知らない感覚でした。この一枚のおかげで、「気に入る」や「肌に合う」というのはこのことだったんだな、と実感する毎日になりました。

おそらくわたしは四代目の所有者だったのでしょう。一番負荷がかかっていたのであろうおしりの部分の布が弱って横に裂けるまで、袷の季節はほぼ毎日、それこそ何年もの間、ずっと着ていました。わたしの基礎を作ってくれた初代の「着倒しきもの」は、この大島紬だったのです。

「着倒しきもの」とはなんぞや?と思う方のためにご説明します。

これは「着倒す!」という意気込みで、そればっかり着るきもののこと。大事にしないというわけではありませんが、もったいないという気持ちを捨てて、多少の雑さは大目に見てもらう、言わば練習用の普段着のきもののことです。
きものに慣れるためには着るしかない。そのために必要なのが「着倒しきもの」なのです。

もったいない、と思う方もいるかもしれませんが、「着倒しきもの」こそ、着心地のいいものにしなくては続きません。大島紬は軽くて丈夫。皺にもなりにくいので、お出かけにもぴったり。

「着たきりスズメ」なんて言葉もありますが、無地感のものにすればコーディネートでいくらでも変化がつきますよ。

スズメ大歓迎!きものを楽しむ人が、少しでも心地よく過ごしてほしいなと思います。

イラストに登場したお品はこちら!

都きもの市場 大島紬大祭典

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