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パステル訪問着から、”オトナシック”な華やぎ小紋へ 「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」 vol.1

パステル訪問着から、”オトナシック”な華やぎ小紋へ 「コバヤシクミのパーソナルスタイリング」 vol.1

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自分の魅力って、自分では案外気がつかなかったりするもの。今回、”魅力を引き出すプロ”である着物スタイリストのコバヤシクミさんが、「きものと」読者の方のためにパーソナルスタイリングを実施!ご自身の新たな魅力に気づかれるその模様を、ビフォーアフターでレポートいたします。

着物スタイリスト コバヤシクミさんがナビゲート!

着る人の個性や人柄を、洋服以上に映し出す不思議な衣類、着物。
でも自分の魅力って、自分では案外気がつかなかったりするものです。

そこで今回「きものと」では、”魅力を引き出すプロ”である着物スタイリストのコバヤシクミさんにお願いしまして、おひとりおひとりとじっくりと向き合うパーソナルスタイリングの会を実施いたしました!

TVやCMをはじめ、さまざまなメディアで女優・モデル・著名人などの着物スタイリングを担当するコバヤシさん。
これまで手掛けた個人スタイリングは、5,000人以上というから驚きです。

顔のパーツの直線・曲線の組み合わせ等を測定分析し得意なテイスト・柄・色合い・素材を診断する「顔タイプ着物診断」や内面性をふまえた客観的で論理的なアドバイス。

そしてそこに、思わずハッと目をみはるような色使いや小物合わせといった、コバヤシさんの天性のセンスが加わり、みたことのない新鮮なコーディネートが次々と繰り広げられます。

コバヤシクミさん

はじめて着物に袖を通した時に戻ったように、みんなでわいわい、鏡とにらめっこしながら最高のコーディネートを作り上げる至福の時間…

そんなワクワクの詰まった時間を、コバヤシクミさんによる着物スタイリング、薬真寺 香さんによる着付け・ヘアメイクと、まさに全身、着物のプロによるプロデュースが実現いたしました!

コバヤシクミさん後ろ姿

コバヤシクミさんの装いは、新年の幕開けにもふさわしい松竹梅の小紋。黒地にキリリと着物の柄が冴えます。

帯にはのびやかな鶸色(ひわいろ)の友禅の塩瀬帯を。グリーンがお好きというコバヤシクミさんならではの鮮やかな色あわせです。

そして帯締めの水色が、一気に着姿を”今”のムードに。
着物や帯の挿し色ともリンクしていますが、実は着物の八掛にも水色が用いられていて、ちょっとした所作の合間にお袖口の水色がチラリ。
濃い地の着物を軽やかに着こなすコツは、こんなところにあるのかもしれませんね。

ゲストMさん、パステルの訪問着にてご登場

さて早速ご登場くださいましたのは、ゲストのMさんです。

変身前のMさん

さりげなく銀糸が織り込まれた淡いピンクの朧染(おぼろぞめ)の総柄訪問着に、西洋花をつないだ美しい文様の袋帯でお越しくださいました。帯締め帯揚げも、溶け込むようなお色セレクトで。
お気に入りの衿秀さんの草履は、衿元の重ね衿、胸元の着物の染め色ともリンクします。

いつも明るく、はじけるような笑顔いっぱいのMさん。

楽しく華やかなお人柄をあらわしたようなコーディネートがステキです。

現在お持ちのきものはパステルカラーの訪問着や付け下げがほとんどだそう。
今日は、「普段自分では選ばないものを着てみたい」というMさん。

コーディネートのお悩みを尋ねたところ、「悩む前に買っちゃいます!」というチャーミングな答えに、スタッフ一同大笑い。

和やかな雰囲気で撮影は始まりました。

変身前のMさん後ろ姿

Mさんのきもの歴はなんと40年!
それでも、Mさんの”きもの道”はまだ道半ばだといいます。

「昔のものは昔のもので大切にしたい。だけど、そこにかんざし一つでもいいから、新しいものを組み合わせます。きものは決まりごとも多いけど、TPOを考えた上で自分らしさも追求したい。ずっと、勉強です」

雅やかな文様の染め帯がテーマ

王朝意匠の塩瀬帯

審美眼を磨き続けてきたMさんにお持ちいただいたのは、白の塩瀬地に細やかな友禅と金駒刺繍で巻物や文箱等の器物文様が表現された、とても美しい染め名古屋帯。

某有名TVドラマの衣裳制作や有名雑誌の表紙を飾ることもある成謙(なりけん)さんのもので、京都きもの市場の銀座店で運命的に出会い、3本同時に求めたうちのおひとつだそうです。

お話しする2人

たとう紙をひらいた瞬間、スタッフから感嘆のため息が。

「お店でみた時、『私がずっと探していたのはこれだ!』と思いました」

そんなMさんのために、今回コバヤシさんがセレクトした着物は3枚。

「事前に拝見した写真から感じたMさんの印象は、エレガントだけれどもキュートさをもった大人の女性。今回はそんなMさんの魅力を、普段のパステル調のものとは少し違った着物で引き出したいと思いました」

とコバヤシさん。

セレクトされた3枚の着物
1枚目を羽織るMさん

1枚目は、七宝の柄が描かれた訪問着。

牡丹や蔦、菖蒲など四季折々の草花が霞ぼかしの中に描かれています。
パステル調ではあるものの、淡い青藤色に墨を一滴垂らしたような、ワントーン落ち着いた”大人なパステルカラー”です。

早速羽織ってみるMさん。

「柄がすごくいいですね」と頷きます。

2枚目を羽織るMさん

2枚目は、総柄の波模様の中に四季花が描かれた訪問着。

「これもピンクですが、ちょっとくすんだ、落ち着いた色味。お肌の透明感をアップさせ、大人の可愛らしさを引き立てる色です。
また斜めのラインや動きのある柄だと、視線がそちらにいくので、着痩せ効果にも繋がるんです。

お持ちいただいた帯は名古屋帯ですが、格調高い古典模様に精緻な手仕事、さらに金糸まで施されています。袋帯に負けない重厚感があるので、今回2着はあえて訪問着をご用意しました」

Mさんからは、「柄もいいけど、絹地の質感が好きですね。いい布地は写真で見てもわかりますし、うれしくなります」とのお答えが。

3枚目を羽織るMさん

3枚目は市松の地模様の入ったニュアンスあるライトグレーの古典柄小紋。

小紋は小紋でも、四季折々の草花があしらわれた大胆な色紙文様はまるで訪問着のように華やかです。大柄の小紋は仕立て時の柄合わせが重要ですが、バランスよく柄配置されており、また八掛には表地と同じ模様が描かれた別染めのものがつけられたこだわりの作品です。

「新年にぴったりな一枚。和様美を感じさせるモチーフですが、シックな地色でモダンさも感じます。

Mさんの帯は、文箱や巻物・冊子等、平安王朝文学を想起させるような雅な意匠。
和歌をしたためる色紙文様があらわされた着物は帯ともリンクし、また教養豊かなMさんにぴったりなのではと思い選びました」

「これですね!」

即答するMさんに、一同びっくり。
でも、まさにお似合いで納得の答えです。

「この帯にぴったりの着物です。帯と同じ疋田が入っているし、私の好きな橘も描かれていてます」

小物合わせも”コバヤシクミ流”

小物あわせもコバヤシクミ流

着物が決まった後は、帯締め、帯揚げを選びます。

「帯締めは、着物や帯と格や柄のボリューム感を合わせるため、多色の平組のものをセレクト。帯揚げも地紋があったり、光沢のある平織のものを中心にピックアップし、格をそろえました」とコバヤシさん。

帯締めを合わせます

鏡を見ながら合わせてみます。

帯締めを合わせます2

小物によってガラリと印象が変わります。

帯揚げを合わせます

帯締め、帯揚げの順に合わせて…

ここでもMさんが判断力を発揮!あっという間にコーディネートが完成です。

ヘアメイク・着付けもプロの手で

ヘアメイク中

今回、ヘアメイク・着付けを担当するのは、別コラム『きもの、着てみませんか?』も好評の着物スタイリスト・薬真寺 香さん。

テーマに沿って、Mさんの魅力が一層際立つヘアメイクを施していきます。

薬真寺香さんによる着付け

そして、いよいよお着替え。

みるみるうちに着上がっていきます。

帯を締め終え、くるりと正面を向くと…一同から「ステキ!!」と感嘆の声が!
Mさんのお肌の白さや透明感がきわだち、上品で華やかな装いが完成しました。

変身後のMさん
変身後のMさん後ろ姿

大きく華やかな着物の柄が帯の格調高さをひきたて、白地部分が効果的に抜け感を演出しています。
Mさんの持つ華やかさ、気品、優しさ、チャーミングさ…そんな個性が滲み出るような着物姿です。

変身後のMさん寄り

ビフォーアフター拝見

それでは今一度、今回のビフォーアフターを拝見してみましょう!

ビフォー

変身前のMさん

アフター

変身後のMさん

どちらもとってもステキなMさんが。

それでいて醸し出される雰囲気は、アフターでぐっと大人に”こなれた”ムードとなりました!

お二人の2ショット

最後にMさんにご感想を尋ねると…

「どうよって感じ!」

と、また周囲を盛り上げてくれた、チャーミングなMさんなのでした。

撮影/湯澤藍
文章/都留詩織

迫力のあるヘッドドレスで装いを新たに。

薬真寺 香さん(本記事 着付け・ヘアメイク)のコラムもどうぞ!
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都留詩織さん(本記事 ライティング)のコラムもどうぞ!
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