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ふわふわの結城紬 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.37

ふわふわの結城紬 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.37

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結城紬を触ったことがありますか?ふわふわ、という表現がよく使われますが、何も知らなかった頃のわたしには、どうしてもそれが信じられませんでした。だって、お店で見かける売り物の結城紬は、どれを触ってもゴワゴワ。

きものでハロウィン!! 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.13

ハロウィンといえば、お化け、カボチャ、蝙蝠、蜘蛛の巣など、いろんなアイテムがあります。飴などお菓子の柄もハロウィンにいいかもしれませんね。わたしもかつて蜘蛛の巣柄の刺繍半衿を手に入れたこともありました。ロックな感じのかっこいいコーデになるかな、と思って買ったのですが…

ずっと着心地が良くなった結城紬

結城紬を触ったことがありますか?

ふわふわ、という表現がよく使われますが、何も知らなかった頃のわたしには、どうしてもそれが信じられませんでした。だって、お店で見かける売り物の結城紬は、どれを触ってもゴワゴワ。紬なのに他のきもののように反物は丸く巻かれておらず、それが当然という面持ちで、板のように畳まれているのも不思議でした。

ある日なにげなく読んだ時代小説のワンシーンに、結城紬が登場しました。その時代は「お仕着せ」と言って雇い主がきものを仕立てて使用人に与えるのですが、それが新品の結城紬だったのです。

使用人にしばらく着せて、生地がこなれてきたら主人のきものに仕立て替えをするという流れに驚きました。着れば着るほどに柔らかくなり、着心地が良くなっていくんですって。それを知ってがぜん興味がわいたわたしは、そんな極上の手触りを試さないわけにはいかない!と一枚試しに作ることにしたのです。

そこで知ったのが、少しでも織りやすいようにと糸を糊でコーティングするので、織り上がった状態のときはゴワゴワしていて硬いということ。結城紬の場合、この糊は小麦粉(結城にはその小麦粉を使った紬うどんという名物もあるんですって)。

なるほど、それじゃぁふわふわとは縁遠いはずよ!
仕立てるときに糊を落とすのだそうで、無事わたしのところにやってきたのは、実に柔らかな一枚でした。

あれから何年経ったでしょう。じゃんじゃん着て、もっとふわふわにしようと張り切って着たせいか、仕立て上がったばかりの頃よりもずっと着心地が良くなっているのです。着ている、というよりも、包まれている、という感覚です。

離れて暮らす姑が断捨離(終活)をすると言うので、結城紬を遠回しにおねだりしたのですが、他のものはどれでもあげるけど、あれだけは!と言われました。去年よりも今年、今年よりも来年、もっと着心地がよくなっていくんですもの、それは手放せないですよ。わたしだって誰にもあげたくないもんね。

実は今年、リサイクルの結城紬を手に入れたので、洗い張りしてわたしの寸法に仕立て直しました。秋冬が楽しみで仕方がありません。

なんだかしみじみ結城紬って、今日より明日がどんどん良くなる、音楽の記号「クレッシェンド(どんどん強く)」みたいなきものですね。

イラストに登場したお品はこちら!

ぜんまい紬地型染め名古屋帯「桜松献上」
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京都きもの市場 アンティーク本結城

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