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単衣(ひとえ)の時期をスペシャルに 「花柳凜の、和でも洋でも美しく」vol.6

単衣(ひとえ)の時期をスペシャルに 「花柳凜の、和でも洋でも美しく」vol.6

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季節感にあふれ、四季の魅力を感じられるタイミングに出番となるのが、単衣(ひとえ)着物。だからこそ、よりスペシャルに楽しみたい!単衣の時期にぴったりの柄行きや色合わせ、そして今回も、着物をより美しく楽しむ「和仕草」のポイントをご紹介いたします。ぜひ参考にされてくださいね。

しなやかに楽しむ単衣(ひとえ)着物

柔軟にそのときらしい着物を楽しむのも大切

そもそも単衣(ひとえ)の元となったのは「帷子(かたびら)」と呼ばれた装束用の汗とりで、麻に限らず生絹(すずし)や麻布で仕立てた、夏に着る単衣仕立ての着物のことでした。

伝統衣裳とひとくちに言っても、長い歴史のなかで、気候の変化や素材・技術の進歩によって、その着方や着る時期は様々な変化を遂げ進化していきます。

たとえば江戸時代の武家。季節によって以下3つの種類の着物を衣替え(ころもがえ)していたといわれています。

①帷子(かたびら:裏地のない今でいう単衣の着物)
②袷(あわせ:裏地のある着物)
③綿入れ(わたいれ:表地と裏地の間に綿を入れた着物)

近代では徐々に気温が上がり、綿入れが使われることはほとんどなくなりました。
反して「絽」や「紗」などの薄物が広がりを見せ、真夏は薄物や浴衣を、その前後に単衣が着られるようになりました。

現在では、

10月〜5月が「袷」
6月・9月が「単衣」
7月・8月が「薄物」

という衣替えが一般的になっています。

しかしこれらにも今後は変化が起きると考えられますし、すでに現在でも、決まりを無理に守るよりその日その時期の気候に合わせて柔軟に対応することが一般的になっています。

私も、大量の汗をかく舞踊の稽古では、真冬でも浴衣を着ることがよくあります。

近代の気候やその日の天候に合わせ、しなやかな心持ちでそのときらしい着物を楽しむのも、大切な着物との関わり方なのかもしれません。

単衣(ひとえ)の時期におすすめの柄

昨今、単衣の着用時期が伸びているとはいえ、やはり限定された期間の着物である単衣。
とはいえその中心となる6月・9月は、非常に季節感にあふれ、魅力的な四季を感じられるタイミングです。着物愛好家にとって単衣の時期が楽しみな理由は、そんなところにもあるのかもしれません。

6月の単衣におすすめの柄

◇あじさい・百合・あざみ・てっせん・カキツバタなど、季節のお花
◇雨・雲・傘など、季節の風情をあらわす絵柄

9月の単衣におすすめの柄

◇秋草・菊・ぶどう・稲穂・コスモスなど、季節のお花
◇月・星・うさぎ・虫・雁など、季節の風情をあらわす絵柄

9月にしか着られないお気に入りの単衣

この着物はねじ梅に紅葉があらわされた春秋意匠のものですが、単衣仕立てにしていますので、1年で9月にのみ袖を通すことにしているお気に入りの一着です。

「季節限定」だからこそ魅力的に感じる気持ち、きっとみなさまにもご経験がおありではないでしょうか。

単衣(ひとえ)の色無地を、6月9月に

また、9月は特に「色を楽しむ」コーディネートもおすすめです。夏の前後、両方の単衣の時期に着やすいよう、色無地を仕立てるのも良いかもしれません。

色無地の単衣着物も、帯締めや帯揚げに赤や鬱金(ウコン)などの赤色カラーを用いて挿し色にすると…ぐっと秋らしく気軽に、9月の単衣コーデを楽しめます。

例えば、このように同じ色無地の単衣と帯でも…

秋らしい9月のコーデが楽しめます。
帯揚げ、帯締めを差し色に
この時期だけの大人な魅力溢れるカラーコーディネート

小物を変えるだけで、6月の単衣としても9月の単衣としても、うまく使いまわすことができますね。

こっくりとした暖色系の赤色は、この時期だけの大人な魅力あふれるカラーリング。ぜひメイクにも同じ秋色をポイントに使っていただいて、こっくりとしたお色味に季節の変化を漂わせてはいかがでしょう。

単衣(ひとえ)の時期に気を付けたい所作

着物の中で、実はもっとも所作を気をつけたいのもまた単衣(ひとえ)。

やわらかい正絹生地の単衣着物は、おはしょりや袖が折れやすかったり、裾さばきがバサついて見えたりと、気を付けたいポイントが多くあるのです。

寒い時期であれば着崩れ防止にしっかりとした補正もちょうどよく感じますが、かなり暑さを感じる日もある単衣の時期には、無理な補正も避けたいもの。

そんなときには、立ち居振る舞いはもちろんのこと、細やかに襟や袖・おはしょりなどに触れて着崩れを予防するクセをつけると安心です。

襟を直す所作を身につける

襟をさっと直す所作を身につける。

おはしょりを押さえるクセをつける。

おはしょりを押さえるクセをつける。

特にしゃがんだときや椅子から立ち上がるときなど、

・襟
・おはしょり
・着物の上前
・お太鼓の垂れ

この4箇所にサッと手を伸ばし整えるクセをつけておくと、長い時間着物を着ていても、着崩れることはほとんどありません。

秋への意識は洋装でも同じ

美しい所作と着こなしで、素敵な初秋を楽しみましょう。

9月に入ると、薄手であっても秋を意識した素材感のアイテムが増え、実は洋装でも、立ち居振る舞いに気を付けたいという共通点があります。

少しゆるっとしているくらいが魅力的だった真夏から、フォーマルが映える秋への変化は、少し背筋が伸びる気分。着物のときだけでなく、洋装でも同じく立ち居振る舞いを意識してみましょう。

暑さも落ち着きはじめ、初秋はもっともオシャレが楽しい季節かもしれません。

この時期だけの単衣着物、夏ファッションから変化して秋を取り入れる洋装…
どちらも美しい所作と着こなしで、とびきりステキな秋の訪れを楽しみましょう。

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