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京繍作家 長艸敏明さん 〜インタビュー編〜 「紗月がゆく!祇園・人気芸妓が訪ねる京の技」vol.3-1

京繍作家 長艸敏明さん 【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がゆく!祇園・人気芸妓が訪ねる京の技」vol.3-1

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祇園の人気芸妓 紗月さんが、“伝統工藝師”の作業場を訪ねるスペシャル企画、第3弾!今回はいよいよあの『長艸繍巧房』へ。文化財の復元制作に数多く携わられ、今や全国区、全世界レベルでの人気作家である長艸敏明さんに、絹糸で着物を彩る伝統技術「京繍」のルーツや特徴を教えていただきます。「きものと」webでしか見られないおふたりのオフショットにも注目です!

軽やかな初夏の装いで、紗月さん登場!【YouTubeリンク】

約350年続く花街文化を支える職人さんたちの匠技を紹介することで後継者を発掘し、この先も絶えることない花街文化を継承していくお手伝いがしたい!そんな思いからスタートしたスペシャル企画番組「紗月がゆく!祇園・人気芸妓が訪ねる京の技」。

のれんをくぐる紗月さん

YouTube動画では、祇園甲部の人気芸妓・紗月さんがMCとして、京都が誇る“伝統工藝師”の作業場を訪ねます。

今回の撮影は6月に敢行。第1〜2回に続いて今回も、紗月さんはそんなり姿で軽やかにご登場です。

そんなり姿の紗月さん。今回は薄グリーンの単衣小紋で登場です

着物は、楊柳ちりめん地が心地良い薄グリーンの単衣小紋。

全体に小花が染め入れられており、上品で、かつ愛らしさもありますね。

着物に散りばめられた小花が紗月さんの可愛らしさを象徴しています

後ろ姿には、夏にぴったりな団扇模様が。絽塩瀬の夏帯でお越しくださいました。
淡い色味の小紋に黒地の帯がきりりと映えて、はんなりとしたなかにも涼感が感じられます。

帯はキリリと黒の夏帯
団扇に花々が染め入れられた、絽塩瀬の染め帯を締めて。

時代の変化に合わせ、新しい魅力を増す「京繍」

第3回目に訪れたのは、京都西陣の伝統工芸「京繍(きょうぬい)」の長艸繍巧房『貴了庵』です。

長艸繍巧房の入り口

京繍とは、様々な色彩の絹糸や金・銀糸を使って手作業で着物を彩っていく刺繍のこと。経済産業省の認定で、京都で行われている繍いのことを指します。「京焼き」「京人形」「京くみ紐」など、他府県で作られているものと区別するため「京○○」という名前がつけられたそうです。

今回は、この工房を設立した長艸芳之助さんの次男として生まれ、京繍作家として伝統を今に引き継ぐ長艸敏明(ながくさとしあき)さんにお話しを伺いました。

京繍職人・長艸敏明さん

穏やかで物腰柔らかな敏明さん。少年のようなお茶目な瞳も垣間見えつつ…紗月さんの問いに、ゆっくりと語りはじめます。

京繍の歴史は奈良時代にまで遡り、刺繍の起源は刺繍で仏様を糸で縫った「繍仏(しゅうぶつ)」。
その技術が後世にも伝わり、平安京の時代には刺繍を担う部署が作られ、十二単衣などを縫製するようになりました。

「鎌倉、室町、元禄、江戸…京繍の歴史を話したら、2時間あっても足りへんな(笑)」

そのくらい、京繍の歴史は長い年月をかけて培われてきたのですね。

お話を伺う紗月さん

敏明さんが京繍の特徴を教えてくださる時に例えで出したのは、「田舎の千日、京の昼寝」という言葉。

「田舎で千日かかってできたものを『いいものができた』と都に持っていったら、『去年流行ったで』と言われるような話。ようするに、それくらい都市部では流行りすたりが早い。昔京都には平安京という都があったから、おしゃれでセンスの良いものを生み出していた。常に時代の変化に合わせて、新しい魅力を増していく…それが京繍の特徴やな」

幼い頃から京繍職人の父の背中を見て育った敏明さん。お父様のご兄弟は全員織屋を営んでいましたが、お父様だけは刺繍に魅せられてこの長艸繍巧房を設立。
当時は絵が描ける人を大勢雇っていたそうですが、その名残で長艸繍巧房は”絵の描ける刺繍屋”として他と一線を画しています。

敏明さんも18〜19歳の頃から大学に通いながら家業を手伝い、卒業後に京繍の世界に入りました。

特別な日に着る衣裳を、艶やかに彩る

能衣裳や祇園祭の水引幕などの文化財を製作しているため、普段は非公開となっている長艸繡巧房。
今回はギャラリーを公開している貴了庵で取材のため特別に、敏明さんが手がけた貴重な作品を見せてくださいました。なんと紗月さんが来られるからと、そのイメージでセレクトくださったお品をかけてお迎えくださったそう。

お二人の後ろに飾ってあるのが、貴了庵で刺繍された着物

右に飾られている鮮やかな萌黄色の作品には、てんとう虫やブタ、虹にうさぎなど、可愛らしいモチーフがたくさん繍い散りばめられています。

「これは、『これだけ頑張ったんやから着物を一枚買いたい』という方のために作った“自分へのご褒美着物”。てんとう虫やブタなど、全部、幸運をもたらすものと言われてるんや。
おっちゃんはいつも、”この人のための一枚”を作ってるのや」

ちょっとおどけておっしゃる敏明さん。
どんなリクエストにも応じて、世界にたったひとつのオーダー品を作られることを楽しまれています。

てんとう虫やブタが刺繍された着物
幸運をもたらすモチーフを刺繍した着物
もみじ唐草に鹿が飛んでいる様子を描いた刺繍
もみじ唐草に鹿、正倉院由来のモチーフを繍いあらわした着物

そしてもう一枚は、もみじ唐草に鹿が遊ぶ正倉院由来の柄の着物。こちらも綺麗な青色の生地で存在感があるため、刺繍はボリュームを抑えつつ効果的に入れられています。

ただ、こういった存在感のある着物を着こなせる人はなかなかいないのだとか。
西陣の言葉でいうと「着物の方が“貫録勝ち”してしまうんやな」と。

それでも「着物や芸に精通しているあなたのような方(紗月さん)なら着こなせる」とお墨付きをもらい、紗月さんは照れ笑いを浮かべます。

照れ笑いを浮かべる紗月さん

「能や歌舞伎などの役者さんに着ていただき、衣裳が役者にとって気持ちよく舞えることが我々の仕事。衣裳とは、その人のバックボーンが見えるもの。地位、名誉、権力などを織り交ぜた中で衣裳というものが出来上がっていくんやな」

”ケ”の衣裳ではなく、”ハレ”の衣裳を作ることにこだわる敏明さん。
いつ誰と何をするのか。その日その時にだけ着る晴れ着を作ってほしいとオーダーされるば、俄然やる気が出るのだそうです。

刺繍中の敏明さん

動くたびにキラキラとつやめく、美しい光沢感にあふれた絹糸による刺繍。

「刺繍とは糸の光沢で見せるもの。反射によってどの角度がよく見えるかなど、見る角度によって使用する糸がすべて変わってくる。これが絹糸の特徴」

青紅葉にオオルリがとまってい絵柄の掛け軸

貴了庵では毎月2回、季節に合わせた図案の掛け軸にかけ替えています。
この日伺った時にかけられていたのは、青紅葉にオオルリがとまっている様子を刺繍で表現した掛け軸。よく見ると、紅葉の輪郭がほわっと立体的に浮かび上がっているのがわかります。

これは輪郭に細い糸を使い、ひとつひとつの葉っぱを時間をかけて刺繍しているため。

「刺繍はどこまでいっても線。しかし、どう面積を糸で埋めて立体的に見せるか。そこがテクニックの見せ所であり、職人の技巧が出てくるところ」

そして、敏明さんの作品は、ユーモアにあふれています。
こちらは風神雷神の雷神をモチーフにしたものですが…

風神雷神の反物。タイトルは「あっ」。
京繍名古屋帯 作品名『あっ』

お分かりいただけますでしょうか、雷神が太鼓を落として「あっ」という表情を浮かべている姿を描いているのです!
落とした太鼓はたれ先に出るように刺繍されていて…、思わずふふっと笑みがこぼれてしまいますね。

本日のインタビュー編はここまで。

後編となる恒例の体験編では…
普段からお裁縫をすることもあるという紗月さんが京繍に挑戦!紗月さんはどのような絵柄を刺繍していくのでしょうか?お楽しみに♪

◆紗月さんファン必見!撮影オフショット

薄グリーンの単衣小紋に夏の染め帯を合わせたそんなり姿の紗月さん
薄グリーンの単衣小紋に夏の染め帯を合わせた紗月さん
京都の町並みを歩く紗月さん
京都の町並みがしっくりと映えます
撮影前に見せた笑顔
撮影前には、いつもの紗月さんの笑顔が
おたのもうします!と今回も元気に長艸繍巧房さんに伺いました
今回も「おたのもうします!」と、元気に貴了庵(長艸繍巧房)さんへ
お話を伺う紗月さん。マスクでコロナ対策バッチリです
コロナ対策もバッチリに
敏明さんの作品の前で並ぶ二人
敏明さんの作品の前で、パチリ
MCの紗月さんと京繍職人の長艸敏明さん
敏明さんとのツーショット。和やかに談笑されていました
次回の体験編もお楽しみに!
次回の体験編もお楽しみに!

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