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好きな着姿のためのマイサイズ 「台湾きものスタイル考」 vol.6

好きな着姿のためのマイサイズ 「台湾きものスタイル考」 vol.6

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譲られた着物や、安価で手軽なリサイクル着物の活用には、着付け方だけでなく「お直し」に出すなど「手を入れる」こともおすすめします。手を入れることで自分のオリジナルとなり、気に入ったものをより長く大切に着ることにつながる上、理想の着姿を仕上げる近道でもあります。

衣替えの時期といわれる6月より前から単衣着物を着たり、7月に入る前から透ける夏着物や浴衣、麻の着物や帯を選ぶなど…
リアルな体感に従い、着心地を優先させて今日着る着物を選ぶ方々が増えてきましたね。

晴れの日、ケ(日常)の日、TPOをおさえて楽しむのは着物だけでなく、洋服でも同じこと。普段着物は快適に着こなすのが1番です。
理想はいちいち言葉や文章で断りをいれずとも、それがあたりまえに受け流されるようになることでしょう。

台湾の今

このひと月で、台湾は様子がすっかり変わってしまいました。

昨年、世界に先がけて水際対策に成功し、ほぼ1年のあいだ国内感染を抑え通常の生活を送れていた台湾が、5月半ばより毎日、3桁の新規感染者数を更新し続けています。

明確な数と事態の変動によって、定められている台湾の防疫警戒レベルが上がり、ロックダウンとまでいかないにしても、外出は必要最低限。マスク着用義務があり、ずらしたり外したりした場合は罰金という厳しい措置がとられています。人の集まりは制限され、レストランやカフェは持ち帰りのみの営業となっています(今回掲載している写真は5月10日前のものになります)。

101バック

外出して店に立ち寄る場合には、必ず電話番号の登録をし(すぐアプリが開発されたので、煩雑さはありません)後から追跡調査ができるしくみや、感染者との接触があった場合には携帯電話にお知らせがくるしくみなど…
あっという間に大きな渦の中に巻き込まれ、世界が変わってしまったような印象です。

SARSを経験しているせいか、個々人が警戒レベルに定められている以上に自主的に警戒心を持って生活しているように見受けられますが、それも、長引けば限界が来るもの。短期での集中収束を願うばかりです。

たびたび書いていますが、海外では特に「平和でなければ着ることがはばかられる」のが「きもの」です。

残念ですが、出かけることもままならない今、自宅以外の場所で着物姿(浴衣もしかり)は自主自粛せざるを得ません。
台湾の風景の中での着物姿のショットはもし、この状況が続くようなら難しくなってしまいますね。

今は自宅で、出かけられる日を妄想しながら、この季節ならではの柄の帯を合わせたり、今年導入した新しいアイテムをどう組み合わせるかを考えて遊んでいます。

「着物1枚に帯3本」とはもともと、「色無地や江戸小紋などにカジュアル・セミフォーマル・フォーマルという格を変えた帯を3本持てば、TPOに合わせて1枚の着物が活用できますよ」というコーディネートの提案に使われた言葉です。

が、今では着物や帯を増やしていく際に参考になる言葉として使われているようです。

置きコーデ

手持ちの帯の3本くらいは似合うであろうという基準で着物を購入することがほとんどですが、こちらのしじらの着物は、3本どころかどんな帯でも合ってしまい…
半幅帯まで候補に入れたら、かえってどの組み合わせを最初に着るかに悩んでしまう結果になりました。

逆に、「1本の帯に手持ちの着物のどれが合うか」をみつけていくコーディネートの組み方もあり、そのどちらも楽しく、新しいアイテムは見慣れた手持ちの着物や帯に新鮮な伊吹を与えてくれます。

着物を着て出かけられる日はもう少し先になりそうですが、花は咲く季節を待つことはなく、次々に咲いています。

置きコーデ

目指す着姿は人それぞれ

着物が着れるようになると、それだけでうれしいもの。
自分で着るのも楽しいけれど、人の着姿を見る楽しさにも目覚めます。

ほぼ直線的なシルエットに帯という、ややもするとみな印象が変わらないかのような着物姿ですが、選ぶ着物と帯の好みや傾向であったり、半衿の出し方、衣紋の抜き加減ひとつなど、着付け方に、その人なりの個性があらわれます。

たくさんの着物姿の写真を見ると、好きな着姿、なりたい着姿がだんだんはっきりしてきます。
例えばIKKOさんの着姿などは個性的で好き嫌いが分かれたり、よく話題になっていますね。

また、着姿には憧れるけれど自分の体格とはまるで違う、という場合もあり、見て好きな着姿と、自分がそう着るかどうか、も分かれるところでしょう。

着物の柄や素材によって、日によって、またシーンによって変化させるもよし、自分にとっての着心地と似合うを定番に決めるもよし。
着姿を意識すると、見るのも着るのもさらに楽しめます。

あなたの好きな着姿はどんな着姿ですか?

ドア前

自分サイズを知っていますか

きっちり端正な着付けにしろ、ゆるめで抜け感のある着付けにしろ、目指す着姿をつくるのには、自分のサイズに合った着物が1番楽に着付けられます。
でも誰もが最初に反物から誂えるわけではなく、私も最初は仕立て上がりの浴衣から普段着物をはじめました。

その後アンティーク着物やリサイクル着物、譲られ着物など、さまざまな種類とそれぞれまちまちのサイズの着物をたくさん着るなかで、自分にちょうど良いサイズ感を学んできたのでした。

着物は洋服と比べてサイズ感がアバウトでも着れてしまう、というメリットがあります。ある程度は着付けでカバーできるのも事実です。
ですが、着付けでカバーできる許容範囲を超えたサイズの着物は、着にくかったり着心地の悪さに繋がることも経験してきました。

…と同時に、自分サイズで誂えた着物を着る時の着付けの楽さや、纏った時のフィット感に、喜びや特別感も感じてきました。

路地裏にて

私は相当いろいろ着倒してから、自分サイズの良さに気づいたタイプです。ですので、今になって少しずつお直しに出しています。
無駄をはぶくためにも、自分のサイズを早めに知ることをおすすめします。

自分に似合う着物のサイズのおすすめの選び方!通販で買うコツと、サイズが合わない時に使えるテクニック

着物のサイズはコチラの記事に詳しく載っていますので、ご一読下さい。
自分に似合う着物のサイズのおすすめの選び方!通販で買うコツと、サイズが合わない時に使えるテクニック

自分に合うサイズの着物の選び方はご存知でしょうか?初めての着物や通販での着物購入には、ページ内の身長別サイズガイドをご利用ください。また、サイズが合わず着られない着物のサイズ調整の方法もご紹介します。ぴったりサイズの着物で、着物ライフをより充実させましょう。

着物のお直し、おはしょりの役割

私の着物は、誂えたものや譲られたもの、リサイクルやアンティーク着物もあり、そのどれもが大切で大好きです。

数が欲しかった初期の頃は、お手頃価格なら数回着て、飽きれば捨ててしまえば良いかなと考えたこともありました。

ですが古いものであればあるほど、今では技術が継承できず作られていなかったり、その意匠に惚れ込んで、洋服を買うより割高な着物をわざわざ選んで購入していたので、いつのまにか「使い捨てる」感覚は全くなくなっていました。

紗裄

それどころか、今ではお手入れに出したついでに裄直しをしたり、八掛を替えたりと、さらに手をかけてより着やすくより愛着のあるものへと変化させています。

「せっかくお手頃な価格で買ったリサイクル着物に数万円もかけるなんて」と言われたこともありますが、反物から誂える値段のことを考えると…それでもまだお手頃の範疇なのだと思うのです。

さらに言えば、手をかけたぶん愛着も湧きますし、より大切にできます。
例えば、短い裄のままの着物よりお直ししたもののほうが今の気分にあい、着る回数も出番も増えたりするのです。

私が誂えたものでない着物は大抵身幅が少し大きめです。この数年で少し痩せてしまったせいもあるのですが…
また裄に合わせると身丈が長いものも多いです。もしかしたら身長のわりに手が長いのかもしれません。

身丈が合わない場合はおはしょりで調整します。
こちらの動画で説明しています。

きもの着付け初心者におくる【着付けの基本】リユースきものなど、大きめきもの小さめきものを綺麗に着るコツ

背中心のズレ

実はこのおはしょり、身幅が合わない場合にも調整場所となっています。
着物を着た時の背中の縫い目(背中心)は、

・帯上=背中ど真ん中
・帯下=体型によりずれる

ずれるのは間違いではありません。
着物サイズが大きい場合は、

・両端の縫い目でタックをとる
・上前の左脇を合わせて下前を多く左に寄せる

いずれかで調整します。
前者だと背中心は真ん中にきますが、脇がタブつくことがあります。後者だと帯下の背中心は右に寄ります(逆に着物のサイズが小さい場合は帯下の背中心は左に寄ります)。
※写真参考

この時、おはしょり部分は大きな役割を果たしています。

おはしょりは「身丈を調整するため」だけのものと思われている方もいらっしゃるようですが、実は、着物は直線で仕立てられた布を丸みと凹凸のある身体に巻き付けますから、その際上半身と下半身の辻褄を合わせるのに必要な遊び(調整)の部分を担っているのです。

苦手意識がある方が多いおはしょりの処理ですが、一度いつもよりゆっくり整えてみてはいかがでしょう。

美しい着姿にこだわるなら

蛍側面

この蛍柄の正絹絽の夏着物は、ご縁があり、故照美さんのご家族から、私に託されたものです。大変な着物好きだったご様子が、他に譲られた着物からも伺えます。

限られた季節だけに纏える贅沢な着物。
大切にされてきた想いごと纏う時、自分も守られている感覚になったりもします。

裄以外は私には大きく、決して着やすい着物とは言えませんが、それを綺麗に着付ける工夫もまた楽しみでもあり、お直しに出すタイミングは先送りになってしまっています。

蛍正面

最初は何も分からなかったことが、数年着物を着続けるといろいろ分かってきます。
好きな着姿、着心地の良い着付けなど、経年によっても変わってきます。

もともと着物は誂えるものでしたが、今はそうやって昔に誰かが誂えた着物が大量に市場に出回っています。また母や祖母などから譲られた着物など、運良くサイズが合うこともあれば、そうでないものもあります。

譲られた着物や、安価で手軽なリサイクル着物の活用には、着付け方だけでなく「お直し」に出すなど「手を入れる」こともおすすめします。

手を入れることで自分のオリジナルとなり、気に入ったものをより長く大切に着ることにつながる上、理想の着姿を仕上げる近道でもあります。

美しい着姿とは、着物が引き立つのではなく、その人自身の魅力が増す姿だと思います。
着物に着られず、着物の魅力を味方にした着姿を目指していきたいものです。

京都きもの市場 小紋

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