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絞りのメッカ、有松を訪ねて。 「きもので巡る名古屋」vol.1

絞りのメッカ、有松を訪ねて。 「きもので巡る名古屋」vol.1

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「セルフ和髪のすすめ」も大好評、すーこさんの新連載がスタート!名古屋近辺のお気に入りスポットをきもので巡っていただきます。美しい和髪とコーディネートにもご注目。毎号、読者プレゼントもお届け予定です!

梅雨に濡れた新緑が瑞々しく映るこの頃。
しとしと雨と強い日差しが交互にやってくる季節の変わり目は、一体何を着るべきか悩んでしまう日も増えますね。

例年より早く訪れた梅雨に、先日慌ただしく単衣と夏物を箪笥の取り出しやすい位置に移動させました。
裏地のない軽さを実感するともうすぐ夏がやってくるのだなぁ、といろんな夏の思い出が脳裏に浮かんでまいります。

思いを馳せつつ、考えるのは今年の浴衣をどうするか。
コロナ禍により昨年は各地で夏祭りやイベントの自粛が相次ぎ、せっかく新調した浴衣をまとうことなく終わってしまった方もいらっしゃったのではないでしょうか。

“きもので巡る名古屋“

このたび新たに、“きもので巡る名古屋“と題してコラムをお届けすることになりました。

名古屋界隈での私のお気に入りスポットを、「きものと」をご覧のみなさまにご紹介してまいりたいと思います。

有松に行くなら、有松を

有松・鳴海絞りのメインストリート

第1回は「有松の町並」。
言わずと知れた有松・鳴海絞りのメインストリートです。

旧街道に沿って建つ伝統的建築物が美しい、絞りのメッカといえる場所です。
絞商の豪壮な屋敷と、その絞りに関わる方々の町屋が混在する景観が評価されて国の「重要伝統的建造物保存地区」に選ばれ、また2019年には文化庁より「日本遺産」に認定されています。

有松に行くなら、有松を着る!というマイルール。

有松に行くなら、有松を着る!というのが私の”マイルール”。

手持ちの中からお気に入りの有松絞りの浴衣を、5月の日中ということを考慮して単衣の着物風に装いました。

帯は白地に黒のオーソドックスな博多献上。
アクセントに赤の丸組帯締めを合わせて、安心感のある定番コーディネートに。

定番ということは飽きが来ない、ということ。
私自身何度もこのコーディネートを着ていますが、毎回、鮮度に違和感を持ったことがないところに愛され続ける理由を感じます。

定番ということは飽きが来ない、ということ。

有松・鳴海絞り会館

「有松・鳴海絞り会館」。

さて、最初にやってきたのは「有松・鳴海絞り会館」です。
有松の町の歴史や、絞りの工程や絞りの種類が展示されており、絞りが身近に感じられるお土産品もたくさん。

絞りの多種多様さに目を見張ります。

絞りの種類はかつて、ゆうに200を超えるほどもあったそう。
時代の流れとともに少なくはなったようですが、その多種多様さに目を見張ります。

日傘や洋服、ストール、ひざかけ…たくさんの商品たちが並び、気軽なお買い物を楽しめます。
一番奥には作家ものの反物の取り扱いもありましたよ!

作家ものの反物や、たくさんの商品たち
糸を取る体験ができるハンカチ

糸がついたままのハンカチ。糸を取る体験を含めて楽しめますね。

大人気の絞りマスク。時節柄、ワゴンいっぱいに並べられれています。
昨年には行列ができるほどだったそう!

大人気の絞りマスク

竹田嘉兵衛商店

次に伺ったのは創業413年の老舗「竹田嘉兵衛商店」さんです。

有松絞りの開祖・竹田庄九郎の流れを組み、有松界隈でも屈指の老舗。
間口の広さがひときわ目立つその屋敷は江戸期に建てられたもので、増改修を繰り返しながら当時の繁栄を今に伝えています。
顧客には名だたる著名人、アスリート、さらにはご皇室の方々もいらっしゃるとか…

創業413年の老舗、「竹田嘉兵衛商店」さん。

25もの部屋がある屋敷の中のひとつには、大正時代に作られた豪奢な応接間がありました。

「うちで唯一の洋間です」と自ら案内してくださったのは、九代目社長・竹田宗弘さん。

昔は住み込みの従業員もいらしたこと、たくさんの人に囲まれて過ごした幼少期のことや、有松の町を流れる川が藍色に染まった風景のこと、竹田嘉兵衛商店の着物にまつわるさまざまなことをユーモラスにお話しくださいました。

今でこそ、絞り=浴衣の印象を持たれる方も多いですが、振袖や訪問着などの格の高い着物を贅沢に総絞りのもので…というのは、着物愛好家の憧れでもありますね。

緊張感とともに糸をはずす、絞り

糸が外れていく様子を見せてくださいました。

こちらは、まだ括りの糸がはずされていない反物です。
「普段はふたりがかりでやる作業ですが…」と、プツプツっと小気味よく音を立てながら糸が外れていく様子を見せてくださいました。

同じ絞りの目に見えるのに…引っ張ってみると、濃淡で模様が浮かび上がります!
括る回数が多ければ白場が多くなり、少なければ黒場が多く濃くなる。
たったひと目でも括りが甘くにじみが出たり、糸が外れてしまったら”難物(B品)扱い”になってしまうとか…

引っ張ってみると濃淡で模様が浮かび上がります。
青海波模様を絞った訪問着。

こちらは、青海波模様を絞った訪問着。
仮絵羽の状態で括り、図案によっては色を挿し…型があるものもあれば、勘で括っていくものも。熟練の技術の結晶…触れる手にも緊張感が出ます。

絞りには裏打ちが必須?

光沢があり、濃淡が美しい綸子の生地

「これはうちにしかないものです」と、綸子(りんず)の生地を染めたものも拝見。
光沢があるので濃淡がより美しく映えています。

括るスピードが早く済む”平綸子”ではなく、あえて”駒綸子”の生地を採用されているそう。
理由は裏打ち(うらうち:裏に布を張って厚く丈夫にすること)の必要がなく単衣で仕立てられ、なおかつシボがへたることがないから。
絞りは裏打ちするもの、と思っていた私には目からウロコ!

そして、ちょうどこれからが浴衣の誂え時!
浴衣の反物もたくさんありました。

浴衣の反物もたくさんありました。
むくむくと物欲が沸いてしまいました。

こちらは、シンプルに麻の葉柄だけを染めた反物。
いろんな帯と相性が良さそう…!むくむくと物欲がわいてしまいました。

美しいお庭やお茶室を拝見

美しい庭を抜けた先には、徳川将軍も訪れたという茶室『裁松庵』が。

美しいお庭
徳川将軍も訪れたという「裁松庵」

耐震のため釘の一本も使わず建てられた、枯淡な趣のある庵。
定期的にお茶の先生をお招きしてお茶会が開かれているそう。

あいにくの雨模様でしたが、雨露に濡れた庭木も美しかったです。

あいにくの雨模様の日でしたが、雨露に濡れた庭木もまた美しく…時を忘れるようでした。

有松では毎年、6月の第1土・日曜日に「有松絞りまつり」が開催されています。
街道沿いの商店が一斉に店先いっぱいに反物を積み、きらびやかな山車(だし)も勢ぞろいする、それはそれは賑やかなお祭りなのですが…感染症の状況を鑑み、今年も残念ながら中止となってしまいました。

この度お伺いした竹田嘉兵衛商店さんでは独自に『笹加しぼりまつり』を開催予定。
6月3日~11日まで、午前10時から午後5時にて。
感染症対策徹底を前提のもと、浴衣の反物たくさんご用意してお迎えくださるそうです。

どうか来年こそは、有松の町に祭りの賑わいを取り戻せますように。

◆ 読者プレゼント ◆

ふるってご応募ください。

すーこさんセレクトによる有松絞りの小物を、『きものと』読者の3名様へプレゼント!
下記リンクより、お使いのSNS経由にてご応募くださいませ。

A・括り糸つきハンカチ2本セット
B・絞り染めの布を貼った団扇
C・雪花絞り&絞りのフチが可愛らしいハンカチ2枚セット

(A~Cいずれが当選するかは、どうぞお楽しみに!)

<応募方法> 各種SNSからのご応募となります。

◆Facebook
https://www.facebook.com/kimonoichiba/posts/4006588842731147
◆インスタグラム
https://www.instagram.com/p/CPz8ROoAj3P/?utm_source=ig_web_copy_link
◆Twitter
https://twitter.com/Kimono_ichiba/status/1401806164921225216

※応募期間:2021年6月15日(火)まで

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