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満ち満ちて 「自分らしさを解き放つ、シーン別着物コーディネート」vol.12

満ち満ちて 「自分らしさを解き放つ、シーン別着物コーディネート」vol.12

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明るい光に包まれて、さわやかな風の流れにのって、まばゆく満ち満ちるような心地。目に映る景色も淡く明るい春色に染められ、気持ち華やぎます。五感に響く早春に5ヶ月ぶりに「あの時の彼ら」が登場します。ステキな方と心弾む時間を過ごすコーディネートを楽しく想像して再現してみましょう。

満ち満ちて

淡い春色ときらきらしい光、真っ青な空とすがすがしい風。
甘く優しい早春に誘われ、身も心もかろやかに、どこにお出かけするのも心地よい季節になってきました。

先日は桃の節句でしたが、みなさまはひな人形を飾られましたか。
女の子の成長を祝う雛祭りは、平安時代の貴族の子女の遊びが元になっているようです。
変化大きい世の中においても、変わらず続いている伝統行事。
季節の移ろいと同様に、伝統文化に触れることは当たり前でありながら、とても貴重でありがたく心まであたたかくなります。

さて昨秋以来あの時の三者三様の男性にお会いすることになりました。(『口説かれ着物の纏い方』参照)(『甘美な誘い』参照)
みなさま覚えていらっしゃいますか。

”必要なのはお金じゃなくてセンスです” ラグジュアリーイケオジ
”いくつになっても冒険野郎” アクティブメンズ
”ストリート魂を忘れない男たちへ” モードメンズ

人気の男性誌から引用させてもらっています。
よりはっきりと男性像が想像できる方もいらっしゃるかと思います。
『LEON』『Safari』『SENSE』ー

着物を纏ってお会いする初回は、「着物をステキに着ている女性」もしくは「ステキに着物を着ている女性」と思ってもらえるよう、いろいろとコーディネートの想像を膨らませました。

また前回は、お相手の方と距離が縮まった分「遊びの要素」を加えて、コーディネートの幅を広げてみました。

今回も同様に調和美の中で、どなたとご一緒するかで彼らに焦点をあててみます。
どうやら、ユニークな彼らの忘れえぬ人になれたようです(『香る余韻』参照)。
五感に響く心地よい早春の訪れに心弾ませながら、喜び勇んでその日を迎えましょう。
さて何を纏いましょうか。

ラグジュアリー、アクティブ、モードな男性別コーディネートのコツ

ハイカロリーで生きる彼らは、周囲から見ると、ストイックがデフォルト。
常に動いている印象ですが、いたって当人は自然体。
自分軸を持ち全くブレない強さを備えながら、順応性や柔軟性は非常に高く、剛柔のバランスが絶妙。
自分には厳しいが、周囲には優しく穏やかで、関わる人たちはみな虜になってしまう―

彼らにとって、着物を纏う女性は特別でもなんでもない。

初回は、おしゃれ自由度が高い小紋でコーディネートし、彼らのファッションと調和するように色味を控え、上質感を感じてもらえるよう工夫をしました。(『口説かれ着物の纏い方』参照)

また前回は、着物や帯の柄や色味に彼らを投影し、遊びの要素を加えました。(『甘美な誘い』参照)

今回は、まずはご自身が好きな”自分らしい”美しい装いを念頭に、その上で、彼らに刺さるような装いは何かと想像してみましょう。
自分軸を持っている彼ら、きっと”自分らしさ”はお好きでしょう。

ラグジュアリーイケオジには、エレガントで華やぐ雰囲気で 
アクティブメンズには、カジュアルで粋な雰囲気で
モードメンズには、ハンサムであでやかな雰囲気で

みなさん自由に想像して、楽しく考えてみてください。
着物3枚に帯3本で3パターンご紹介します。お好みに近い感じはありますでしょうか。

着物コーディネート ラグジュアリー

ラグジュアリー前後横

・松柄の加賀友禅の訪問着
・花柄の御寮織の袋帯
・流水の地紋に金糸入りのパステルグリーンの帯揚げ
・グレーと金色の貝の口の帯締め

ラグジュアリーに満ち満ちて

着物コーディネート アクティブ

アクティブ前後横

・節がある紬
・黄八丈の名古屋帯
・格子の地紋入りの淡い黄緑の帯揚げ
・パステルイエローとパステルグリーンの三分紐
・陶器の帯留め

アクティブに満ち満ちて

着物コーディネート モード

モード前後横

・幾何学柄の絞りの小紋
・ペイズリー柄の型染の袋帯
・黄緑の縮緬の帯揚げ
・薄黄色の冠組の帯締め

モードに満ち満ちて

不思議な旅

不思議な旅

以前(『晩夏つつむ涼風』参照)、時代は”モノ消費”から”コト消費”に移行している中で、「着物はモノもコトもどちらも共存し満たしてくれる」とご紹介しました。
着物が”モノ”だけでなく”コト”として、価値ある楽しみ方ができるようになってから、不思議な旅がはじまっています。

過去は、着物と言えば、伝統行事や冠婚葬祭の特別な時の衣装。
着付けをしてもらって、”モノ”として美しいなと見る触れる、それだけで十分満足でした。

現在は、着物と言えば、ワードローブのひとつとしてのおしゃれ着。
着付けをして、”コト”として着物を纏っていろいろな場に出かけてみる、経験してみる、新たな楽しみを感じています。

いつもの場所がいつもと違うように感じられたり、新しい場所や新しい人との出会い、新しい機会の広がりを一層感じています。
”素敵な靴はあなたを素敵な場所に連れていってくれる”という謂れと近しいかもれません。

”コト”として価値を経験すると、あらためて”モノ”としての価値も実感します。
不思議な旅はまだ始まったばかり。
一緒に楽しみましょう。

センスを磨くには Part.20 最終回

センスを磨くには・最終回

以前(『口説かれ着物の纏い方』参照)センスを磨くにはの初回において、コツはないけれど、3つおすすめをしました。

1.想像力を養うこと
2.一般的な概念や型に囚われないこと
3.自分を知ること

最終回、”センスを磨く”ことを「もっと身近に」「もっと気軽に」「もっと楽しく」感じていただけるよう、『あ・そ・び』のキーワードで、以下3つをご紹介します。

センス(=感性)を磨くことは、自分自身を磨くことであり、生きている限り終わりがありません。
磨いてきれいにし、つやを出して、輝くようにする。
磨いたセンスは決してあなたを裏切らず、あなたから離れません。ポータブルな無形資産のため、いつでもどこでもどのようなことにも活用、応用できます。
ふと頭によぎったら、『あ・そ・び』を思い出してください。

『あ 遊び』

センスを磨くことは、何かに専念し、何かだけに絞る、狭めることではありません。
気になったことはどんどん試してみるような、遊びの要素があってこそです。
「遊び」とは、余裕や隙間、ゆとりの意味合いがあるように、こんつめて行うことではありません。遊びがある人が魅力的に感じるのも同様です。
まっすぐな道を一心不乱に進むのではなく、寄り道したり、立ち止まったり、違う道に行ってみたり…
迷ったらおもしろそうな方で、また楽しそうな方でと、常にご自身の直感を優先しましょう。

『そ そのまんま』

センスを磨くにあたって、今現在の等身大の自分自身であってください。
「そのまんま」が難しいと感じた際には、自分だけと特別視もしない、自分なんてと卑下もしないと意識してみてください。
他の誰かでなく、自分自身であることを実践していくことが大切であり、それが自分の軸となっていきます。センスは自分らしさがあってこそ光るものです。
センスは数値化できず優劣もないので、思いっきりそのまんまでまいりましょう。

『び 美意識』

センスを磨くにあたって、切っても切れないのが美意識です。
美意識とは「美を感じる心の働き」であり、「芸術や自然の美を味わうときに働く意識」です(大辞林より)。
こちらは”調和美”の感性であり、その概念にも通じるものです(『うららかな春の装い』参照)
美の感じ方は人それぞれ、対象物に関してもさまざまです。
しかし自身の琴線に触れるような時は、どなたも満たされるようなあたたかな感覚でしょう。
季節の移ろいはもちろんのこと、日々のふとした瞬間や日常のひとこまも、愛おしく美を感じられるようありましょう。

センスはずっと、あなたとともに。

センスを磨くには
自分らしさを大切に
あそび、を忘れない

最終回によせて

「光をはらむ季節の着物コーディネート」、「自分らしさを解き放つ着物コーディネート」とわたし自身がドキドキわくわくするテーマをいただき、その中でコーディネートも文章も自由にさせていただきました。

普段何気なく感じていることや行っていることをみなさまに文字としてお伝えするにはどうしたらいいかと、コーディネート以上に毎回悩み、内観とチャレンジの一年でした。

少しでもひとつでも何かみなさまの記憶に残る言葉やコーディネートがありましたらうれしい限りです。

不思議な旅はまだまだ続きます。
本当にありがとうございました。

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