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"好きな映画と、再び出会える"　モデル・小谷実由さん（インタビュー前編）「きもの、着てみませんか？」vol.8-2

“好きな映画と、再び出会える”　モデル・小谷実由さん（インタビュー前編）「きもの、着てみませんか？」vol.8-2

2024.11.28

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ファッションモデルであり、エッセイの執筆なども行う小谷実由さん。小谷さんが一目惚れしたという浴衣を手に入れた際のエピソードや、薬真寺さんに聞く「着物で映画や喫茶店へ出かけるなら？」というヒントまで。気軽な着物の楽しみ方を探ります。

ハレの場で着てきた着物と、これから着たい憧れ
一目惚れした百合の浴衣
着物で映画館へ出かけるなら、こんな楽しみ方がおすすめ
映画の観方が変わるかも。着るだけではない「着物」の魅力
インタビュー後編もお楽しみに

薬真寺香（以下、薬真寺）：普段、着物を着る機会はありますか？

小谷実由（以下、小谷さん）：残念ながら、これまではあまり多くなくて。まわりだと、役者のお仕事をしている友人は、時代劇に出たことをきっかけにハマったと言っていましたね。

薬真寺：モデルとしてのお仕事でお召しになられたことは？

小谷さん：昔、振袖カタログのモデルをやったことはありました。

ただ、そういう撮影の現場では2～3日ですべて撮影を終えるスケジュールなので、着たら撮ってすぐに脱いでまた次の振袖を着て……という繰り返しで。じっくりと見惚れる時間もなく、立っているだけで精一杯でした。

だから今日は、可愛い着物を着て、それをじっくりと見られるのがうれしいです！

薬真寺：成人式や卒業式などでも、着物や袴はお召しになられましたか？

小谷さん：私、専門学校に行ってから大学に入り直しているんです。だから卒業式に2回参加していて。一度は母親の着物、もう一度は祖母の着物でしたね。

成人式では、髪がすごく長かったので、とにかくまとめてソフトクリームのようにぐるぐると（笑）。そこに生のお花を挿していました。

薬真寺：生のお花を髪飾りに使うのは、今でもすごく人気がありますよ！その時だけ、という特別感も良いですよね。

小谷さん：素敵ですよね。私、成人式のときは「ちょっと面倒くさい」と思ってしまって前撮りをしなかったんです。でも実際に当日、着飾ってもらったら、やっぱりすごくうれしくて。

結婚式でも洋装だけだったので、何周年などの記念の時には憧れの和装にも挑戦したいですね。

薬真寺：着付けの練習をするのなら、まずは浴衣からいかがでしょう。おうちの中でYouTubeなどを見ながらトライしてみるのも楽しいですよ。

小谷さん：実は、一度しか着ていない浴衣があるんです……！

ある百貨店のカタログで見かけたときに一目惚れして手に入れた、白地に大きな百合の花が描かれたもので。

浴衣ってこんなにおしゃれに着られるんだ！と驚くとともに「いつか浴衣の仕事をしたい！」と思うようになりました。

薬真寺：それはぜひ着ていただきたいです！ 浴衣の着付けはご自身でされるのですか？

小谷さん：高校生の頃に、オーストラリアに2週間だけ語学研修にいく機会がありました。そのとき、日本の文化を紹介しようということで浴衣の着付けは練習していて。

薬真寺：（当時の小谷さんの浴衣の写真を見て）これは可愛い！！

大胆な柄ですが小谷さんの今のヘアスタイルで着たら、大人っぽくまとまりそうですね。ぜひ、”なんでもない普通の日”にも和装を楽しんでいただきたいです。

薬真寺：映画を観にいくのなら、おすすめの帯結びがありますよ。

小谷さん：え！気になります！

薬真寺：半幅帯での「カルタ結び」なら、結び方も簡単だし、背中が平らになるので背もたれにも寄りかかれるし、崩れが気になりません。

小谷さん：そういう工夫もできるんですね。

薬真寺さん：長時間座ることになるので、しわになりにくい着物を選ぶと、気持ちもより楽になりますね。

小谷さん：実は帯結びって少し難しいなと思っていたんです。でもこれなら自分でもうまくできそう。ちなみにヘアスタイルも、和装に合うものを考えると、どうしたらいいんだろう？と迷うことがありました。

薬真寺：小谷さんの今の長さならそのままでも素敵だと思います。ボブやショートで着物を着ると、軽やかさが出せるんです。もちろん、せっかく着るならということで、美容院でセットしてもらうのもおすすめです。

小谷さん：そういうときは、着物や浴衣を着てからどんな髪型で美容院まで行けば良いのでしょう？

薬真寺：簡単にバレッタなどでまとめるくらいで十分ですよ。

私は京都でも何度か髪を結っていただいたことがあるのですが、楽しいからぜひ行ってみてほしいです。着物ファンの間では有名な『エメラルド』という美容室は、素早くて技術もすごいし、ピンが頭皮にかすらない。先生も本当に素敵な方で。

小谷さん：（エメラルドの画像検索をしながら）すごい！ 看板もレトロでとっても可愛い……

薬真寺：目の付けどころがさすがです（笑）。あとは『ディティール』というお店でもセットしていただきましたが、こちらは祇園の芸妓さん方にすすめていただきました。

ロングヘアじゃないと着物のヘアアレンジできないと思われがちですが、実はえりあしが2センチあればできると言われています。

小谷さん：そうなんですか！

薬真寺：映画にもお詳しい小谷さんですが、特にウォン・カーウァイ監督の映画がお好きな印象が強かったので、この撮影前にたくさん見直してみたんです。

そうしたら、一連の作品の醸し出す空気感というか、色味や湿度が、どこか着物にも通じるムードがあるように思えて。新しい気づきを得られました。

小谷さん：もしかしたら、チャイナドレスに憧れる感覚に近いのかな。”自分の体にぴったり合う”という感覚も似ているのかもしれませんね。

薬真寺：小谷さん、アクセサリーづくりなどもされていますよね？

小谷さん：はい。最近はビーズでのアクセサリーづくりが楽しくて。家が絨毯だから、一度落としてしまうと猫が食べてしまわないように床を這いつくばって一生懸命探したりもしています（笑）。

薬真寺：着物の帯や半衿でも、ビーズがあしらわれているものもあるんですよ。

小谷さん：絶対に可愛いですよね。立体感も出ますし。

薬真寺：もともとお好きなものと着物に、通じる部分が多いですね！いまの延長で少しずつ親しんでいただけたら、とってもうれしいです。

1991年東京生まれ。14歳からモデルとして活動を始める。
自分の好きなものを発信することが誰かの日々の小さなきっかけになることを願いながら、エッセイの執筆、ブランドとのコラボレーションなどにも取り組む。猫と純喫茶が好き。
通称・おみゆ。
著書に「隙間時間（ループ舎）」。
J-WAVE original Podcast番組「おみゆの好き蒐集倶楽部」のナビゲーター。
J-WAVE「FAV COLLECT CLUB-OMIYUNO SUKI SHU SHU CLUB」ナビゲーター。