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師走、花から学ぶ柔軟な対応力 「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.4

師走、花から学ぶ柔軟な対応力 「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.4

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未生流笹岡の創流は、1919(大正8)年。三代目となる笹岡隆甫さんは、3歳からいけばなを始めた生粋の華道家です。家元となってもなお、花に魅せられて続けているという彼から“華やぎあるくらし”のヒントを学ぶ4回目です。

2024.11.17

まなぶ

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能「竜田」から得たインスピレーション

今年の締め括りとなる第4回は、2022年に手掛けた作品です。

「京料理」が国の登録無形文化財に登録されたことを記念して、『HOTEL THE MITSUI KYOTO』で行われたフェアでいけ上げられたこちらの作品は、京料理と関わりのある能といけばなのコラボレーションで生まれたもの。

金剛流能楽師・金剛龍謹こんごうたつのりさんが舞う「龍田」とリンクさせて、朱に色づいた紅葉がメインとなっています。

※龍田……紅葉の名所として名高い竜田川を舞台に、竜田姫が登場する能楽の一曲。

作品カット

「モミジは葉がすぐ丸まってしまう比較的弱い花材です。なので、黄や赤の鮮やかな菊を添えて、右側に配したクロマツとのコントラストを力強いものにしました」

背景となる池が竜田川を思わせ、そこで愛でられる紅葉と能舞台の「影向の松」を思わせる作品は、そのサイズ感を凌駕する存在感を放ちます。

「実は、作品を展示した場所は風がビュンビュン吹いていて、花をしっかり刺さないと飛んでしまうほどでした。そのため、モミジだけでは不安定だったこともあり、いつもより多めに花材を入れていけ上げています。

風に煽られてひっくり返らないよう高さを出さず、屋外だったので雨が降ることも考慮して仕上げました」

花が教えてくれる他人との付き合い方

「モミジのように傷みやすい花材を使うときは、同じような枝ぶりのものを何倍も用意しておきます。

その中から最も条件のよいものを使うのですが、似たようなカタチでも少しずつ異なっているので、注文した花材との出会いは重要です」

人も花も同じこと。

「左に流れるモミジと右に流れるマツの出合いがあってこそ、この作品が生まれました。同じ右に流れる枝ぶりでも、一本一本少しずつ角度も長さも違います。

どれも味わい深いですが、その中でもピタッとはまる組み合わせになるものは、それこそ、ご馳走ですよね」

家元イメージカット

注文した花材は入ってくるまでどんなカタチをしているか分かりません。だからこそ、その場で対面したところから、想像を膨らませ、微調整したり、思い切ったいけ方を考えたり。

「柔軟な対応力は、華道家の武器だと言えますね」

思っていたものと違ったからと慌てていては仕事になりません。想像どおりでなかったと落胆している暇もないのです。

「そういう意味では、花と向き合うことで人間とのつき合い方も自ずと身に付けているのかもしれません」

今月のお家元 ―師走の華やぐ思い出

家元イメージカット

東京の下町・千駄木にある和牛もつの割烹料理店「一富士」を訪れました。

手間暇をかけて丁寧に下処理されたモルモンを驚きと喜びのある創作もつ料理として供してくれる和牛もつ専門店です。

聞くところによると、元横綱・千代の富士さんもお気に入りで、足繁く通われていたそう。

「一富士」写真
「一富士」写真
撮影:笹岡隆甫

4つの胃の食べ比べ・松茸のテールスープなど、コース仕立てで多彩なお料理を堪能し、極上のホルモン体験となりました。ホルモンのイメージが大きく変わりましたね。

ご店主の、和牛もつへの愛を存分に感じることができました。

ホルモンが苦手な方でも愉しめるのではないでしょうか。一度訪れてみてください。

笹岡隆甫

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