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京菓子司 俵屋吉富 『京菓子資料館』で一服を「京都・和の菓子めぐり」vol.12

京菓子司 俵屋吉富 『京菓子資料館』で一服を「京都・和の菓子めぐり」vol.12

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銘菓「雲龍」の誕生から100年を迎える「京菓子司 俵屋吉富」。烏丸店の隣にある「京菓子資料館」では和菓子の歩みに触れたあとに、お茶席で一服。そんな素敵な過ごし方をご紹介します。

2024.04.02

まなぶ

京菓子司 俵屋吉富 春色に染まる『花の袖』「和菓子のデザインから」vol.8

新緑が目に鮮やかな季節。
烏丸今出川の京都御所でも青もみじの絶景が広がっています。

現在、同志社大学の「寒梅館」などがある、烏丸今出川の北西に位置する一角は、室町時代に3代将軍足利義満の邸宅があった場所。鴨川の水を引き入れ、花がたくさん植えられた庭園の美しさから「花の御所」と呼ばれていました。

そんな「花の御所」跡のすぐ北隣にあるのが、「京菓子司 俵屋吉富」の本店と烏丸店、そして京菓子資料館です。

京菓子資料館の外観

烏丸店に隣接する「京菓子資料館」は通りから少し奥まっているため、打ち水された石畳のアプローチを抜けて玄関へ。

龍のつくばいや梅の古木、竹を配した落ち着いた風情は、きもので訪れたくなること請け合いです。

俵が描かれた京菓子資料館のエレベーター

展示室のある2階には、こちらのエレベーターで。山吹色の俵が描かれたエレベーターだなんて、運気まで上がりそうではありませんか?

2階でドアが開いて、真っ先に視界に飛び込んできたのが、ダイナミックな植栽——かと思いきや、こちらは「糖芸菓子」といって植物の部分は全てお砂糖でつくられた細工菓子

「花の御所」にも、きっとこんな美しい花が咲き乱れていたのではないでしょうか。

糖芸菓子

本物とみまごうばかりの紅葉とドウダンツツジの糖芸菓子

本物そっくりにつくり上げる糖芸菓子は、抽象的な表現を好む京菓子とはまた少しジャンルが異なり、日常的につくられるものではないのですが、「全国菓子大博覧会」への出品などを通して職人から職人へと技術が伝えられていく大切なもの

2017年に伊勢で開催された「全国菓子大博覧会」を最後に、コロナ禍でしばらく開催が延期されていましたが、2025年に北海道の旭川で開催予定とのこと。

実に8年ぶりということで、これは職人さんたちも気合が入りますね。

婚礼の際につくられたおめでたいお菓子

婚礼の際につくられたおめでたいお菓子

こちらは糖芸菓子の松や牡丹と、おめでたい京菓子の取り合わせ。

なんと現当主・義清さんの結婚式の際に披露されたもので、これまた気合の入った作品です。

2024.05.07

まなぶ

京菓子司 俵屋吉富 9代目当主・石原 義清さん「京のつくり手語り」vol.9

実際に訪れたときのお楽しみのために全てをご紹介するのは自重いたしますが、ほかにも、日本最古の和菓子にまつわる伝承や、源氏物語に登場する菓子が描かれた平安絵巻、南蛮から伝わったとされる木型や、砂糖が貴重な時代にはカタログとしても役立てられた菓子見本帖など、和菓子の歩みをたどることができる、充実の展示内容です。

唐菓子や橘などが描かれた貴族の様子

唐菓子や橘などが描かれた貴族の様子

ただ眺めているだけでもワクワクするのですが、できれば、資料館スタッフの方の解説を聞けた方がより深く楽しめると思いますので、グループで訪れるのであればガイド希望の予約をお忘れなく。

お菓子尽くしの展示をみたあとは、すっかり和菓子の口になってしまうもの。

そんな気持ちはお見通し、ということでしょうか。うれしいことに、こちらの資料館の入館料には、お茶とお菓子が含まれているのです。

逸る気持ちを抑えて、1階のお茶席「祥雲軒」へと参りませう。

お茶席「祥雲軒」

お茶席「祥雲軒」

お茶席では、季節の生菓子または代表銘菓の「雲龍」からお好みの一品を選ぶことができます

「本来、お茶席ではお茶が主役で、お菓子は脇役です。あえて菓子屋の中にお茶席をつくらせてもらったのですから、菓子屋なりのお茶席にできたら」と話してくださった当主の石原義清さん。

平素から茶道の世界と深い関わりを結び、さまざまなお茶席へとお菓子をお納めする立場だからこそ、みえてくるもの――

できたてのみずみずしさとやわらかさ。
すぐ裏に工房があり、職人がいるから提供できる菓子を。

そんな想いが伝わってきます。

なかでも「京菓子資料館」は、和菓子の“歴史”と“今”を存分に味わえる場所といえるのではないでしょうか。

「雲龍」とお抹茶で一服

撮影/スタジオヒサフジ

2018.11.22

よみもの

俵屋吉富 茶ろん たわらや 見惚れる『クリームあんみつ』 「京都・和の菓子めぐり」vol.3

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