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コラム
来年の『二十歳の集い』に向けて「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.80

来年の『二十歳の集い』に向けて「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.80

2024.02.01 （2024.02.08 更新）

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知り合いの息子さんは和装に興味があるようで、最近『Snow Man』のPV（プロモーションビデオ）を見て、あんな風に着こなしたい！と言っているそうです。

女子の場合はいろんなところから振袖のカタログやイベントの案内が早々と届くようですが、男子の場合は静かなものですからね～。ひとつ学年上の子たちの様子を見聞きして、あら？うちの子来年じゃない？と焦る方が多いようです。

男子も女子も、数年前から用意する人もいるようですが、レンタルでも購入でも、今からでも十分間に合います。遠方にお住まいの学生さんなら、今回の春休みのうちに、ある程度の目星はつけておいたほうがいいですね。

「おじいちゃんの羽織袴が一式揃っていた！」と安心していたけれど、実際に羽織ってみたらカビだらけだったり、そもそも身長が全然違っていて袴がつんつるてんだったり、というのは本当によく聞く話。

特に袴は「袴丈」といって、足の長さで寸法が違ってきます。我が家にも父の黒紋付が一式あるのですが、さすが現代っ子、長男も次男も父よりもずっと……それは残酷なほど足の長さが違っていて、袴のお下がりは不可能と諦めざるを得ませんでした。

それでも、どうしてもおじいちゃんやお父さんの何かを身に着けたい、と願うケースには、寸法の違いが一番目立ちにくいきものか角帯を使うことをおすすめします。

実際に一番目立つのは面積の大きい羽織と袴。きものはその内側に隠れます。帯は袴の下ですから、ほとんど見えません。ただし、正絹のものなら良いのですが、ポリエステルの角帯は滑って解けやすいので注意が必要です。

知り合いの息子さんは和装に興味があるようで、最近『Snow Man』のPV（プロモーションビデオ）を見て、あんな風に着こなしたい！と言っているそうです。

どれどれ、とわたしも見てみました。堂々たる正統派の着こなしに、おお、やるぅ！このスタイリストさん誰だろう、超優秀……と、すっかり目を奪われましたが、これを見て憧れる男子がいることに、なんだか嬉しくなっちゃいました。いいぞ！

レンタルもいいのですが、振袖も羽織袴も、この日のためだけのものと考えず、その後もぜひ着てほしいもの。卒業式、友人の結婚式、その他のお祝いの会、何度でも着るチャンスは巡ってきます。

これからきものを楽しんでみたい男子は、お召で羽織ときものを作って、羽織の背中にはあまり目立たない色で縫い紋を一つ入れる着こなしをおすすめします。足元はブーツでもいいですが、金具がきものや袴の内側を傷めるので、甲側に金具がついていないデザインのものを履いてくださいね。

実は今年、わたしの長男が二十歳になったのですが、自治体による『二十歳の集い』の集合写真を見てびっくり。スーツ姿の息子の近くに、羽織袴にサングラスの派手な子もいれば、なんと着ぐるみの男子もいましたよ。芸術系の大学の卒業式に着ぐるみを着る話は聞いたことがありましたが、今はなんでもありみたいですね。

織物の産地米沢では、お召袴にお召の紋付袴という姿もあちこちで見られます。これがかっこいいんですよ。名古屋で見かけた黒紋付に袴姿、東京で見かけた色紋付に袴姿も、それぞれ凛々しくて素敵でした。

どのスタイルを選んでも、間違いなくいい時間が過ごせます。

「こんな感じで着てみたい」というのをぜひ声にしてまわりに伝えてください。ぜひ楽しんで！！

ほぼ一年中を着物で過ごし、着物ライフの楽しさをイラストとエッセイでつづる。執筆の他、着物や帯などのプロデュースも手がけ「着物は人生に寄り添うもの。おしゃれで楽しくて、お守りのような存在の布になれたらと願い、ものづくりをしています」と語る。著書に「大人かわいい着物読本」(主婦と生活社)、「おとなのときめきふだん着物」(河出書房新社)、「買ってはいけない着物と着物まわり」(実業之日本社)などがあり、最新刊は「東京着物さんぽ」(GB)。山形県在住で、子3人犬1匹の母でもある。