LEONARD PARISのショーで 「WORLD KIMONO SNAPS」 ‐ FRANCE ‐
パリ、ファッション、美食、自分らしさ…着物! フランス・パリでの生活を通じて、着物のステキさ、着物を日常的に纏うことのすばらしさについてお伝えいたします。
今回は「パリならではの恋に落ちる瞬間」をご紹介したいと思います。
先日、2月26日にパレドトーキョー美術館で行われたLEONARD PARIS ( レオナール パリ)の2020-2021秋冬コレクションのショーにご招待いただきました。
レオナールとはジャック・レオナール氏がニット工房を設立した後、フランスのリヨンでテキスタイルへのプリント技法を学んだダニエル・トリブイヤールが社長兼チーフデザイナーとして迎えられた事によって1958年に創立された「世界で最も美しいプリント」とも称されるパリの老舗ブランドです。
でも、去年から毎日着物を着ると決めてから、洋服自体を減らしてきた私。
着物と合わせるもの以外は買わないと決めてるのです。
ヴィンテージなどでも探しましたが、これ!と言うものが見つからないまま、どんどん日が近づいて来ました。
どうしようと困っていた時に目に付いたのが、近所のおばさまからいただいた訪問着。
ミントブルーに春らしいお花も眩しい、オレンジ色のボカシの胴裏という非常に華やかなもの。色も柄もなんだかレオナールっぽい。
実は会長となるとトリブイヤール氏は大の日本好き、特に京都がお好きとのこと。
着物を作るにあたって数ヶ月京都に滞在し、技術や日本の花の意匠の研究を重ね、1984年に西洋人として日本で初めて着物のコレクションを発表した事でも有名です。
いただいた訪問着はレオナールでこそないものの、影響を受けた作家さんが作られたのかもしれません。
(写真はトリブイヤール氏のデザインした着物の写真とその着物を纏った山口小夜子さんのもの)
ステキに目立つのが礼儀と心得ました。
伝統的に着るのも良いですが、もう少しモード要素も必要かなと白のレースのワイドパンツを合わせて多めにおはしょりを取りました。
正面の方が見られることも考えて、前で菊紋の袋帯を帯枕なしの変形春結びで締めました。
あいにくの雨模様ですが、雨用の透明ブーツに合わせて、イブサンローランの透明ケープを羽織れば、春っぽいファッショニスタのできあがりです。
パンツ×着物や、前で帯結びというのは動きやすさなども考えて結構する組み合わせですが、ここまでいろんな目立つ要素を盛ったのははじめてです。
見られるのは慣れていると前にも書きましたが、会場に着いたら、パパラッチの人たちに大きなカメラでババババババッと撃つように写真を撮られ思わず逃げました。
でもその後すぐ思い直して、これでちょっとでも着物に興味を持つ人が増えればと思い、にっこりしたり、ポーズ取ったりしましたよ。(とっさの笑顔とポージングはこれからの課題にしたいと思います!)
会場にはたくさんのセレブが勢ぞろい。
パリコレモデルもつとめられ様々な分野でご活躍されているアンミカさん(美しかった!)もおられ、一緒に写真を撮らせていただいたりなどしました。
会場に入った瞬間にステキな着物をきこなしておられますねと褒めてくださり、一生懸命着てきた甲斐もひとしおです。
モデルさんたちにスタイルでは叶いませんが「孫にも衣装」とはよく言ったもので、着物はやはり目を引くものがあります。
精魂込めて創られているせいか、職人さんたちの技が着ている人の格まで引き上げてくれるような…そんな普段着にはない力があるように思います。
着物の力を借りて、セレブにも負けず(?)最前席に座ります。
繊細なプリントはまさにため息ものです。
1964年に国際特許を取得しているプルオーバーにプリントを施す“Fully Fashioned”という技法をもつレオナール。
シルクスクリーンプリントで熟練の手作業により、30以上の色を1色ずつ重ねて創られる繊細なグラデーションは、まさに職人技!ショーはメゾンの象徴でもある蘭のモチーフなどをあしらいながら、スポーティな要素を含みつつ、エレガントさを大胆にかつ軽やかに表現されていました。
プリーツスカートを短め丈の長着に合わせたいなとか、このオーバーサイズのコートは着物コートに使えそう、とかこの肌色に近いボトルネックを絽の着物で透けさせてミックスしたいな、逆にこちらのイエローのダウンジャケットの上に着物っぽいガウンを羽織るの真似したい!などなど妄想が絶えません。
とにもかくにも存分に堪能させていただきました。
(今は何をしているの?という疑問はまた次回…)
久々の、ファッションの裏方ではない空間に眼福&満足と帰ろうとしたところ、ファッションテレビからインタビューを申し込まれました。
「どうして着物を着ているのですか?」と言う問いに、「まずはレオナールに敬意を評して、このテイストの似た着物を着ようと思いました。また日本の職人とその技を本当に尊敬しているので毎日着物を着ています。」とコメントさせていただきました。
少しは海外の人にも着物を認識してもらえるきっかけになれば良いなと願いつつ、華やかなパリコレ会場を後にしました。
福西 園
パリ市が運営する営業施設で着物の総合店を開くべく準備中。 「着物は着る物」をモットーにパリの街中を自由な着こなしで闊歩する。
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